鞠子はすてきな役立たず (河出文庫 や 17-8)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418353

感想・レビュー・書評

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  • 【性暴力撲滅へ】「加害するとき、多くの人は意識していない」作家・山崎ナオコーラ取材“今日からできること” | 日テレNEWS|日本テレビの動画ニュースサイト
    https://news.ntv.co.jp/category/culture/306b3334652947d79da68c72e6d680f1

    【書店員のおすすめ】BOOK 山崎ナオコーラ「鞠子はすてきな役立たず」 一生懸命働く人こそ読んでほしい趣味のお話|シティリビングWeb(2021/8/27)
    https://city.living.jp/osaka/l-osaka/1264393

    「鞠子はすてきな役立たず」山崎ナオコーラ著|日刊ゲンダイDIGITAL(2021/9/16)
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/294768

    鞠子はすてきな役立たず :山崎 ナオコーラ|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418353/

  • 専業主婦で、趣味に邁進する鞠子。
    言っちゃいけない、思うだけでもみっともない、と私が思っていたことをあっけらかんと口にしていて、しかもそれがチャーミングで、面食らってしまった。
    「ナシ」な生き方なんてないんだな。
    根っからの能天気というよりは、思考した上で楽観的に生きることを選んでる。
    その選択を信じる強さというか、豪胆さというか。
    鞠子、かっこいいんだけど…。
    自立してないかっこいい大人の女性。
    なるほど。瞼をかっ開いてもらった心地。
    どんな人だっているのだ。

  • 春に読むのになんかいい感じの内容だった。
    変わった考えの鞠子が 肩の力を抜いて生きている様子がとても心地よくて、読んでいてゆるく励まされるような感覚になった。
    こんな人になりたいな、とも思う。

  • 働かざるもの食うべからず」と幼い頃から育てられた高卒の銀行員の小太郎と、大学院で文学を研究し現在書店アルバイトの鞠子。そんな二人が結婚する。鞠子は専業主婦を希望し、いろいろな趣味に没頭。そんな鞠子に小太郎も影響される。
    鞠子のマイペースで自分の生き方を貫き、自分の満足を大切にする生き方に羨ましいとも思いました。鞠子が「自己満足は大切だよ」と言っていますが、結局はどんな生き方をしても、自分自身に満足し、自分で自分を肯定しないとしんどいかも。生き方に正解はない。

  • 価値観の異なる2人が夫婦となり、鞠子の趣味を通じて自分たちなりの生活を築くようになる。
    働くことを望まず、周りの意見などにも振り回されず、常に自分らしく楽しい生活を送ろうとする鞠子。一方、「働かざる者、食うべからず」が体に染み込み、そこに違和感を覚えながらも働いてお金を得ることが生きることだと考える小太郎。そんな小太郎も鞠子と生活を共にする中で、だんだんと価値観が変わっていくようになる。
    なるほど。鞠子のような生活が送れたら、そりゃ素敵だろうよ。なんだかんだと言っても鞠子のやりたいことをやらせてあげる小太郎は理想な旦那様でしょう。だけど、結局のところ鞠子が趣味に邁進できるのは、小太郎の稼ぎがあってからこそであり、銀行員をやめた小太郎だって小説家としてある程度の収入が得られているからこそ何の心配もなく生活できているのではないか。例えお金がなくても、鞠子は鞠子らしく暮らすのだろうけど趣味を持てるというのは、ある程度お金に余裕があるからこそできることだと思う。
    鞠子の考え方や生き方自体は嫌いではないが、あまり共感はできなかった。

  • 2023.4.6読了
    鞠子の生き方いいなぁ、楽しそうだなぁ。
    自分も楽しく生きたい、どうやったら楽しくなるのか…と考えている時点で、その考えにとらわれていることに気づく。
    苦しんで生きよとも楽しんで生きよとも言わず、ただ自分がしたいことをすればいいんだというのが鞠子の考え方。つまり、究極に主体的なのだ。
    まずは、あまり深く考えないところからやってみようかな?

  • まず鞠子の口調が「〜だわ」とかじゃないのがいい。

    「自分と異なる価値観の人と話すと心に風穴があくような気持ちになる。」根底で共感がないとそうもいかないかもしれないし、そういう余裕があるかどうかという見方もある。でも自分と異なる価値観の人と出会った時に、敵だ!と心を閉じてしまうか、風穴を開ける人が現れたのかも!と一旦受け入れるかの選択肢を持っておくのは良いことだと思った。

    お金を稼がない人を責めない、無理に受け入れない、でも良さを認める、そんな作品。

  • 最近ハマりつつある山崎ナオコーラさん。
    タイトルにすごく惹かれて購入。

    ワークライフバランス、働くことに対する価値観、趣味に対する価値観のお話。

    社会人になってから、手当の出ない残業ばかりで自分の時間が削られ、何度となく「働くために生きてるんじゃないのにな」と思ってきた私を肯定してくれた。

    小説では、主人公が何かに苦しみ悩み、成長していく様が描かれることが多いけど、山崎さんの小説は、自分の理想を形にしていることが多いのかな、という印象。
    だからいつも、心がほくほくと温かくなり、大丈夫、と少し思えるようになる。

    とんとん拍子すぎる節はあるけれど、人生を豊かにするために趣味を楽しむ余裕は持っていたいと思わせてくれた。
    最近、小説の執筆を趣味にするのも楽しそう、とPCに向かい始めたので、なおのこと読んでいてワクワクした。

    職場とプライベートの服装が同じようになってきたら、ワークライフバランスが崩れてヤバいらしいよ、という内容に、やはり私はヤバい、となった。

  • 今の自分の状態を肯定してもらったような気持ちになった。特に、金氏さんの「大して稼いでいなくても、自分なりに工夫することで幸せに慣れたなら、それはそれで胸を張っていい」この言葉に救われた。
     労働や自立が全てだとは思っていないつもりだったけど、いつのまにか小太郎寄りの考え方が染みついていたんだなと思う。
     鞠子の生き方は楽しそうだけど極端で、私にはついていけない部分もあった。裏を返せば羨ましいのかもしれない。鞠子の言葉で楽になることもあったから、たまに読み返して彼女の考え方を摂取したい。

  • 久しぶりに山崎ナオコーラさんの小説を読んだ。等身大の文体で、恐らくナオコーラさんが感じたこと、考えたことを丁寧に描写しているのが好きだ。ナオコーラさんは、世間の常識や暗黙の了解に疑問を持って、「こういう考え方があってもいいんじゃないか」と小説を通じて投げかけている気がする。
    本書で言うと、
    ・働かなくても、胸張ってご飯を食べていい
    ・趣味でも社会参加できる
    みたいなこと。

    自分にない考え方に出会うと、反発することもあれば、癒しや救いになることもある。ナオコーラさんはいつも私に新しい道を示してくれる。私がその道を歩むわけでもないけど、人生の選択肢が増えて気が楽になる。

    鞠子との生活を通じて、小太郎が少しずつ考えを変えて、人生の舵を大きく取る様子が読んでいて楽しかった。鞠子の、自由な、悪い言い方をすると緩くて世間を舐めているような考えを頭ごなしに否定しない小太郎が素敵だ。

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著者プロフィール

1978年生まれ。「人のセックスを笑うな」で2004年にデビュー。著書に『カツラ美容室別室』(河出書房新社)、『論理と感性は相反しない』(講談社)、『長い終わりが始まる』(講談社)、『この世は二人組ではできあがらない』(新潮社)、『昼田とハッコウ』(講談社)などがある。

「2019年 『ベランダ園芸で考えたこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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