この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた (河出文庫 タ 4-1)
- 河出書房新社 (2018年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309464800
感想・レビュー・書評
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原題は『Knowledge』
仮に現代文明がなんらかの形で終焉を迎え、生き残った数少ない人々が再度この地上で文明を築くためには、なにが必要なのか?という問いに答えていくための数々の必要な知識を思考実験的に紐解いていく一冊。「失われる前に集めなければならない何よりも重要な資源は、知識である。」
この一文を農業、食糧、衣服、物資、材料、医薬品、動力、輸送、通信、化学、そして時間と位置、などに分類してたどっていく。本書を読み進める中で、思い及んだ単位についても最後に言及される。
実に多くの技術が言及され、そこまで専門的にはなっていないと思うけど、基礎的な理解が追いつかない項目もしばしば。
実際には過去の多くの社会がそうであったように、人が集まったらいろんな争いが起きて即「発展するぞ!」とはならないんでしょうが。現代文明を支える根幹技術を垣間見る。身近にはあっても知らない知識だらけ、ということを認識するにはよい一冊。ちょっとSFっぽい部分もあり。個人的にはわからないことも多いなりに、人に話したくなる蘊蓄もあり読んでよかった。もうちょっと基礎的な科学知識を増した上で、何度か読み返した方がよいかなーと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今ではDr.STONE巻末の参考文献としても知られる本作。世界滅亡のあと生き残っても、数年ならがんばれそうな気がしてくる。文明すごい。木もすごい
人参のオレンジとか、時計が時計回りなのは北半球だったから、など随所にはさまれる雑学も楽しい -
世界が崩壊して生き残れた時にどこまで文明を戻せるか。読んだだけでは到底実践は不可能で、バイブルの様に抱えて世界滅亡を待つしかないと感じた。何事においても仕組みをさくっと知りたいと思う方はお勧め。
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Dr.STONEだね。結構、面白い!理系の深い話にはついて行けなかったけど、へー!と思うところも多くて割と楽しめた。
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文明復興の為の知識が網羅されていると思うのだが、図解、図説がほとんど無いので分かりづらい。
解説が豊富な副読本が欲しい。
自然現象の理解から技術への応用の流れが何となくわかった。 -
2019年12月の子どもへのプレゼント。
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壮大な思考実験を繰り返された、徹底的サーベイに基づく、百科的、学際的実用書。
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自分で始めるなら?というひとつの視点から、日常生活を支える科学技術について考えてみる本。
「十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」というアーサー・C・クラークの言葉があるが、現代の科学技術も別に魔法ではなく、小学校の理科や自由研究の延長線上にある。そのことを、この本は教えてくれる。
第1章でいきなり世界の終焉が描かれる。SFめくが十分にリアリティがある。以後その世界において我々がどうやって生き延びていくべきか、ひたすら実用的な話が続く。土を耕す方法、食料を保存する方法、衣服やモノを作る方法。時に歴史を振り返り、現在の技術がなぜそうなっているか納得する。それぞれは農業家や工学を修めたひとなら知っていそうだが、全体を知ることはなかなか難しい。
簡単なものなら自分でもやってみたいとわくわくしつつ、こうした営みと試行錯誤の上に現代生活が成り立っていることを認識する。本書では一見かなり高度な技術の復活まで掲げる一方で、たとえばプラスチック生産等は複雑すぎるとして諦められている。逆に言えば、そんな高度な技術の粋を当たり前に消費できている状況のなんと凄いことか。
徹底的に即物的なマニュアルである一方、本書はおとぎ話でもある。第1章でシミュレーションされる世界の終焉では、社会秩序の破壊をごくさらりと描く。主題ではないから当たり前だが、実際に生きる人間にとってはその部分こそ地獄で、その過程を経た後に現代と同じ心性を持つ人間が残るかどうか。せっかく巨人の肩の上にありながら、迷信や偏見をまた刈り取るところから始めなければならないかもしれない、と空想。 -
内容が盛り沢山すぎるので、とりあえず石灰岩(CaCO3)の使用方法だけでも何とか覚えておこうと思う。私は千空にはなれん…。