輝く断片 (奇想コレクション)

制作 : 大森 望 
  • 河出書房新社
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感想 : 33
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309621869

感想・レビュー・書評

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  • 自分の中に潜む、何か別のものが蠢く感覚へ……。

    シオドア・スタージョンといえば“少し不思議”系SF短編、ということで、再編集後の短編集として大森望訳『不思議のひと触れ』を呼んだ後、ずいぶん経ってこの『輝く断片』と読んでみた。

    この短編集は“SF( Science Fiction)系ではなくミステリー(Ⅿystery)系”ということだそうだが、もうミステリーだとかSFだとかなんて……。

    SF(Suckosi Fusigi)系ではなく、CF(Chokotto Fusigi)系からZF(Zuibunto Fusigi)系まで、スタージョンの生み出す物語は、呼んだ後にどれも妙な感覚を覚える。

    特にこの短編集では、読者自身も自分の中の“ワル”が、ちらっと覘く……。

    ククク…
    ムムム…
    フフフ…

  • 全編通してキラキラ分はずいぶん控えめ。表現が地味。


    ・取り替え子

    ・ミドリザルとの情事
    なんだか、マッチョな男がでてくる。君微笑めばも同様。
    なんだか、肩肘張ってる印象。

    ・旅する巌
    ビックリするほどのSF!おいおい、マジかという展開。

    ・君微笑めば
    マッチョな男が滔々と喋るが、実は結構惜しいところにいってた、という不思議な驚き。
    自分が人間じゃないとか言い出した時点で、あいたた

    ・ニュースの時間です
    最初と最後がすごい。読後にもやもやが残る。

    ・マエストロを殺せ
    既読。忘れていたが、再読すると壮絶な一人相撲。

    ・ルウェリンの犯罪
    これは作られすぎている。ただ、キャラクターが皆憎めない。

    ・輝く断片
    皿を投げるところからは嫌な予感しかしない。これを力強いと自評するのか。

  • 短編集。
    前半3作は軽めの作品らしい。
    後半5作はサイコサスペンス。
    「マエストロを殺せ」は「死ね、名演奏家、死ね」というタイトルで有名な作品。文体が特徴的。
    最も印象的だったのは表題作。序盤から刺激的な描写が続き、引き込まれた。
    サイコだけど真面目で悪人ではない、という主人公の物語が多く、逆にリアルでありそうで不安になった。
    1冊を通して、感情を揺さぶられる作品でした。好き。

  • 話の内容はともかく、『一角獣・多角獣』を読んだ後だと、『マエストロを殺せ』ではないだろうと思ってしまう。

  • 初めてのスタージョン。真面目で優しくて痛々しい男の人が頻繁に登場する印象を持った。表題作が強く心に残る。

  • ●…前回読んだ『ベスト・アメリカン・ミステリ』があんまりと言えばあんまりだったので、癒されたい一心でこれにしたんですよねー。
    確かに『取り換え子』には若干癒された。
    しかるにあとの作品はなんだよ(泣)

    ●後書きに拠れば、編者はミステリ作家としてのスタージョンを紹介したかった模様。
    …だから、ミステリって犯人と犯罪と探偵と解決が要るんじゃないのかあ!? 自分の概念が間違ってるのかあ!!?(゜Д゜) 
    まあいいや。面白かったです。

    『君微笑めば』:ざまあwってこれの読後感のことですかね。嫌いじゃない。
    『ニュースの時間です』:いらんことしいなや。わりと好き。
    『マエストロを殺せ』:“Die,Maestoro,Die!”って原題が、なんでこの邦題になるんだ? 旧訳では「死ね、名演奏家、死ね」だそうですが、印象としては『くたばれマエストロ、くたばっちまえ!!』て感じ。マエストロって日本語訳しにくいですね。本訳の口語体自体は、主人公のメンタルをとっても素敵に表していて好きです。
    本作品集のベスト1。なぜなら自分の共感度がもっとも高いから。←うわあだめだ
    『ルウェリンの犯罪』&『輝く断片』:「クラック・コカイン・ダイエット」集にくらべると、主人公達はずいぶんとピュアでその分おそろしい。異常じゃない。素直なだけです。

    ●『不思議のひとふれ』集でスタージョンに関心を持った人には、まったくもって向かない一冊。
    作家には複相がある事を知らしめるにはもってこい。
    他の作品集も読みますよ!

  • サイエンス・フィクションってゆうよかサイエンス・ファンタジー。
    なかなかのサイコパス登場率で、ハラハラしながらよんじゃう。
    毎朝ちょっとずつ読むのにぴったり。夏の朝はSF!

  • 収録作品
    ・取り替え子
    ・ミドリザルとの情事
    ・旅する巌
    ・君微笑めば
    ・ニュースの時間です
    ・マエストロを殺せ
    ・ルウェリンの犯罪
    ・輝く断片

  • 雨降る夜に、瀕死の女をひろった男。友達もできず顔も醜い孤独な男は決意する。おれやる、全部やる…。「自分がいままで書いた短篇の中でももっとも力強い作品」と著者みずからが語る表題作「輝く断片」、スタージョン・ミステリの最高傑作「マエストロを殺せ」、先駆的なサイコサスペンス「君微笑めば」ほか、高密度なミステリを5篇、さらに彩り豊かなオードブルとして、コメディ調ファンタジー「取り替え子」、奇妙な味の「ミドリザルとの情事」、愛すべき「旅する巌」の3篇をとりそろえた名作の饗宴。

  • スタージョンの文章には破壊力がある。
    特に「ニュースの時間です」は良かった。
    この主人公が精神異常なのか、それとも
    我々の社会のほうがおかしいのか。
    もどかしそうに切羽詰まった文章で
    つきつけられる純粋。

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著者プロフィール

シオドア・スタージョン(Theodore Sturgeon):1918年ニューヨーク生まれ。1950年に、第一長篇である本書を刊行。『人間以上』(1953年)で国際幻想文学大賞受賞。短篇「時間のかかる彫刻」(1970年)はヒューゴー、ネビュラ両賞に輝いた。1985年没。

「2023年 『夢みる宝石』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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