座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.39
  • (58)
  • (128)
  • (286)
  • (34)
  • (5)
本棚登録 : 1275
感想 : 157
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032500

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • クラシックとか、いわゆる名作偏重みたいな感じがちょっと…って感じだけど、実際、時代に揉まれて生き残ってきた名作たちはそれ相応の価値があるのでせう。ゲーテのことばにしても、現代でも色褪せず、十分応用がきくと思える発言も多かったし。自分の座右の銘とか、イマイチ曖昧だけど、こういう書の中から見つけ出していきたいものですね。

  • チェック項目13箇所。そもそも知とは、古代ギリシャの時代から、人生を豊かにするはずのものであった、その最高峰に達したのがゲーテであった、ゲーテ以降、知が専門化、細分化されてしまったが、それとともに、知が本来もつ豊かさが失われてしまった、もちろん先端の知の追求は必要なことだが、それに到達するための「技法」こそがいま必要ではないだろうか。結局、最も偉大な技術とは、自分を限定し、他から隔離するものをいうのだ。自分が本当に使いこなせる技術、つまり活動面で他者に対しても通用する技術を何か確立すべきである、しかもその技は、他の人と決定的に違うレベルに達していなければならない。「表現手段はミニマムに、吸収の器はマキシマムに」。ゲーテは、人に思想やプランを話すことで、意欲が失われてしまうことを恐れた、沈黙したまま静かに自分の中でエネルギーが満ちるのを待ち、あふれんばかりにたまったときに一気に吐き出すと、いい仕事ができるというわけである。どんなジャンルでも、頂点の人たちを見ていくと、胸にくるものがある。独学で褒められるべきはその意欲だけである、才能のある人は、大家について修練した方がはるかにいいのだと言う。重要なことは、けっして使い尽くすことのない資本をつくることだ。人はただ自分の愛する人からだけ学ぶものだ。本当に大事なものを学ぶのであれば、情熱が湧くような相手でなければむずかしいとゲーテは言う。性に合わない人たちとつきあってこそ、うまくやって行くために自制しなければならないし、それを通して、われわれの心の中にあるいろいろちがった側面が刺激されて、発展し完成するのであって、やがて、誰とぶつかってもびくともしないようになるわけだ。『スラムダンク』の成功の秘訣を聞かれて、「登場人物すべてに、必ず一つ欠点をつくること」だと答えていた(井上雄彦)。どんなビジネスでも、小さなアイディアを大きく育たせ、「その手があったか」と思わせることがある、すべてを自分が生み出す必要はない、徹底することにすごさが生まれる。

  • 特に壁に突き当たってはいないですが、読みました。

    ゲーテの言葉を現代の事象を例に分かりやすく、
    大きな活字で解説してくれています。

    ゲーテは若いころに読んだ「若きウェルテルの悩み」と「野ばら」くらいしか知らず、
    生家のあるフランクフルトを訪れながら素通りした過去があるくらいなので、全くゲーテを語る資格は無いのですが、
    この本を読んで、もっとゲーテに触れてみたいと思いました。

    独創性や独学を否定するゲーテの言葉に特に感銘を受けました。
    ニュートンも同じようなことを言っていたと思います。

  • [塩見図書館長より]
    著者の齊藤さんは、明治大学文学部教授です。本書のサブタイトルは「壁に突き当たったとき開く本」となっています。そのとおりに役立つ本です。皆さんは若いからゲーテと聞いただけで、たぶん「引ける」でしょう。しかし、ゲーテは親しみやすい隣りのおじさんですよ。この人の人生を見る目は現代人にも素敵だと思います。そのおじさんの知恵を借用しましょう。ひとことひとことがみな素晴らしいですよ。

  • ドイツ語にこだわり、自然科学、音楽にとどまらず歴史、文学などすべての分野に造詣が深いゲーテの含蓄に富む言葉を紹介した本。ゲーテを呼んだことのない人向けのガイドブックといったところか。この本を読んで、ゲーテに興味を持つ人も多いと思います。「ゲーテは敷居が高い」という人には、ぴったり。かく申す私も「ウェルテル。。。」くらいしか読んだことがありませんでしたが、ゲーテに興味をもちました。

  • ゲーテってこれまでまったく触れたことがなかったんだけど、齋藤先生の本なら、ということで手にとったわけです。いや、これは当たり。数百年前にここまで真理に到達していたんだったら、もっと早く読んでおけばよかったよね、と思うことが綴られている。今の自己啓発書に書いてあることのだいたいはこれでカバーできている。結局真理は何百年たってもさほど変わるものでなく、それを補うとか、説得力を持たせるために著者の実績なり語り口が必要になるのだなということがわかるわけです。

  • ただもうゲーテが読みたくなった。
    今は「吸収する」と「出会う」の時期か。できるだけ間口は広く、雨をよくよく吸収する土壌のように。

  • シンプルかつ、ぐっと響くような名言を丁寧にわかりやすく解説してある本でとても読みやすくて良い。
    悩んでいる時に、ふらっと読んでみると何かヒントが見つかるかもしれない、そんな作品だと思う。

  • とっつきにくいと思っている人物を、実はそうではないと紹介する、斎藤先生ならではの本。『ゲーテ』はその最たる方だが、観念よりも実践の人ということのようだ。原著である『ゲーテとの対話』、読んでみたくなります。巻末にある、斎藤先生の『座右の書』は、今後に非常に参考になる。

  • ゲーテの言葉は孔子の言葉と重なることが多い。
    「人間が自分に与えることのできる最も驚くべき教養は、他の人たちは自分のことなど求めてはいないということである」
     これは「人の己れを知らざるを患えず、人を知らざるを患えよ」と重なる。

     他人が自分のことを全く求めない、気にしないということは所属欲求、名誉欲求が充足されないという欲求不満につながる。反面、人は他人の目を気にしないでもいいことも意味する。だから自分の思うがままに生きていい。世の中にあなたを必要とする場所も役割も存在することはない。陳腐な言い方をすれば「あなたがいなくても地球はまわる」。

     あなたは地球にとって、宇宙にとっても無価値な人間である。しかし、自分の人生に於いてはそうではない。自分の人生の時間に於いて自分の価値を創り出す可能性がある。自分の時間に於いても価値が創出できないのだとしたら、あなたは全く無価値だったのだ。
    座右のゲーテ -壁に突き当たったとき開く本 (光文社新書)

全157件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

齋藤孝の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
ジェームズ アレ...
綿矢 りさ
斎藤 孝
ヘミングウェイ
ロバート キヨサ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×