わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
3.39
  • (100)
  • (214)
  • (392)
  • (62)
  • (23)
本棚登録 : 2784
感想 : 298
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334033224

作品紹介・あらすじ

「わからない」ことよりも、「わかったつもり」でいることの方がはるかに問題だ!理解力・読解力を磨くための一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 国語という教科に苦手意識が無いのに高得点が取れない…という経験はないだろうか。本書は国語が苦手な人と言うよりそういった中堅層向けの本かもしれない。
    人は簡単に「分かったつもり」になり文章を誤読してしまう。一見起こりえなさそうな錯覚を見事に視覚化させてくれる。文章の選定にもかなりの労力を要したであろう。
    「文章を1回読んだ後自分なりにまとめてみる。まとめた文章があまりに簡素であったり、通りの良い綺麗事でまとめられている場合は『分かったつもり』になっている可能性が高い」と筆者は言う。なるほど読書感想文で型にハマったつまらない文章しか書けていなかったのは上っ面だけ読んでいたからかもしれない。
    こういう自身の欠点や見えていないものを論理的に叩きのめしてくれる本は貴重だ。大事にしたい(あれ?これは綺麗事になっているか?)

  • ■2005年9月初版、2023年4月30刷のロングセラー
    ■題名のとおり、わかったつもりになる読書や読文の問題とその解決法
    ■スキーマ、文脈などを何回も読んでそれでも理解は半分程度か
    ■それでも漫然と読書することに警鐘を鳴らしている
    ■読みやすいが、それでも読むのに時間がかかった

  • 認知心理学で言うところの「スキーマ(人の中に存在しているひとまとまりの知識)」をメインに話が展開する。経験の中で蓄積されてきた知識が元で、文章の行間を埋める(解釈する)ことによる影響を論じている。

    私が学んだ速読術はこのスキーマをフル活用したものと言える。だがそれに頼りすぎると本来の解釈を誤ってしまう可能性もある。そのため読む内容によっては速読ではなく熟読に切り替えている。

    本書を読んでいるうちに、自分がなぜ国語教育が嫌いだったのかを改めて認識する。文章の解釈を1つの「正解」に持っていかれることへの反発だ。解釈はそれぞれにあって良いはずだがと。

    と思っていたら本書の最後でこのことに言及された。著者は国語教育のこうした面を是正すべきと最後の最後で少し触れているが、そこまでの言及ではやはり「あってる、間違っている」論が多く、なんだか釈然としないまま読み終えることになった。

  • 忘れたもう一回読む

  • 「わかったつもり」とはどういう状態なのか、を実例で体験できる面白い一冊。
    最近、速読ばかりに気を取られて“読み落とし”が多い自分としては、
    どういうメカニズムで読みが浅くなったり、誤解したりしやすいのか、
    が理解できたことは大きな収穫だった。
    また、「わかったつもり」は音楽の解釈などにも通じる部分があるかもしれない。
    なお、国語の試験での選択肢の選び方(適切なものを選べ=整合性の観点からあり得る解釈はどれか)については、
    無意識のうちに実践していたらしく、学生時代から悩んだことがなかったな・・・。
    分かりやすさ向上のためのトレーニングに主眼をおいた池上彰「わかりやすさの勉強法」、分かりやすさ向上のためのハウツーに主眼をおいた木暮太一「『わかりやすい説明』のルール」
    などとの併読もおすすめ。(2011.1.7)

  • 感想
    文章を読む。なぜその文章が紙に残っているのか。なぜその文章が必要だったのか。その言葉はどうして使われたのか。それらを全て考える。

  • 人はものを読む時、わかったつもりの状態に陥る。わかったつもりもそれ自体はわかっている状態の一種だが、より深い読みをするための障壁になっている。より深く読むためには文脈を駆使することが重要。文脈によりそれぞれの記載から意味が引き出される。その際は読み手の想像や仮定が欠かせない。その解釈は整合性を欠かない限りにおいては棄却される必要はない。

    国語教育への提言も含めて目から鱗の一冊だった。大胆に整合性を欠かない範囲で想像力を働かせながら読むことが大事だと感じた。

  • わからないことがないからわかったつもりになっている、目から鱗でした。小学生の頃から文章を読むのが得意としているところがありましたが、確かに国語のテストで"著者が伝えたいこととは"という設問があると不思議に感じていました。大人になった今、読んでみて良かったなと思いました。

  • 知識の引出しが、個人ではなく社会に任されていく。衆愚に流れている今の風潮に対して物申したくなる。
    「無知の知」に多くの概念が集約されているから、ソクラテスはすごい(語彙)
    トイレの構造は描けないが、自転車の構造は正確に描ける自信がある。

  • 読み始めてからすぐに著者の別の本を読んだことがある時に気づいた(「知ってるつもり」)
    なので、目新しさと言うのはあまりなく、復習のつもりで読んだ。

    中学校高校の国語のテストの間違い方のように、一般的な考え方に飛びついてしまう、あるいは冒頭から主旨を、詳細を捏造してしまうといったところに落とし穴があると言うことを繰り返し述べている。
    著者自身の大学での講義においての、学生のレスポンスにも基づいており、彼らのコメントにとても共感できる。

    最終章のところでちょっとどきっとしたのは、自分が書く文章や資料が、このようなミスリードを招いていないか。

全298件中 1 - 10件を表示

西林克彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×