- Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334044015
感想・レビュー・書評
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第1章 野球を再定義する
「最適バランス」を探るすごろく/田中角栄に学ぶ相対思考/高速化する現代野球/正解のコモディティ化/
「柔よく剛を制す」の思い込み/イチローと上原の「ありえない」技術/才能へ回帰する残酷な世界
第2章 ピッチング論 前編(投球術編)
最も「野球的」なプレー/「パーフェクトではなくグッドを目指せ」/藤浪と薮田に見る制球の最低ライン/
野村、吉見、三浦……技巧派投手の罠/「8割の力」がプロで活躍する鍵/過度なクイックの弊害/メジャーのストライクゾーンは狭い
第3章 ピッチング論 後編(変化球編)
ボールはどのように変化しているのか/軌道を決定する3要素/縫い目を使う特殊な変化/ストレートの「ノビ」を科学する/
ありふれたジャイロボール/深すぎるカッター/構造的に打てない落ちる球/大谷と田中のスプリットが「魔球」であるわけ/
万能変化球「スラッター」/あらゆる弱点を克服?/スラッターの欠点/88マイルの最適バランス/スラット・カーブ理論/
カーショウと星野伸之/スラット・シュート理論/「必要経費」のツーシーム/変化球論がもめるわけ
第4章 バッティング論
フライボール革命とバレルゾーン/投手は大型化、野手は小型化/柳田や丸の必然的な弱点/ダウンスイング信仰の闇/
日本で「右の大砲」が育ちにくい理由/連続ティー練習の問題点/「動くボール」は前で打て/「フォーム」ではなく「トップ」が全て
第5章 キャッチャー論
キャッチャーの5ツール/フレーミングという技術/数字でわかるフレーミングの重要性/帰納法的アプローチ/「古田型」と「里崎型」/
配球の影響は証明できるか/「ビジネス的中間球」の必要性/玉砕戦法「インコース特攻」/落合、松井、大谷に見る強打者への近道/
クロスファイアに依存する日本の左投手/野村克也の大いなる功罪/「秀才」里崎智也は意外と保守的
第6章 監督・采配論
大阪桐蔭が体現した野球の本質/良い監督の条件/プレイングマネージャーという愚行/監督はシェフであり主婦である/采配が狂っていく理由/
増し続けるコーチの重要性/打順における不毛な「格」/「2番最強打者論」の本質/「ジグザグ打線」の真の意味/日本人の異常な送りバント信仰/
小技の野球は弱者の野球/ビッグボールとマネーボールが勝てない理由/「トータルベースボール」の実践/真の「守護神」はストッパー/
レバレッジで考える継投ルール/先発投手のリリーフ化/オープナー、ブルペンデー、規定投球回/ポスト分業化時代のユーティリティ/
180度異なる短期決戦/ピッチャーズパークとバッターズパーク/球場のデザインが試合に与える影響
第7章 球団経営・補強論
ソフトバンクモデルと日本ハムモデル/アイビーリーグ人材の参入/アメスポは社会主義なのか/戦力均衡策が「タンキング」を生む逆説/
タイミングが命の「コンテンダー」/「目利き」が基本の日本球界/成功体験の幻影/「球界の盟主」争奪戦/セイバーメトリクスの落とし穴/
バレンティンのWARと本当の価値/「三振以外は全て運」なのか/ピタゴラス勝率に表れるレベルの差
第8章 野球文化論
「一発屋」と「作業ゲー」/再現性により失われるドラマ性/伝説的名将、栗山英樹/カーショウという名の怪物/スラット・カーブの極み/
永遠のアイドル、ミゲル・カブレラ/オールラウンダーの時代/「見えすぎる時代」の功罪/意外と大きい「パワプロ」の影響/蔓延する勝利至上主義/
「合成の誤謬」で負け続ける日本/野球は輪廻を繰り返す/開幕オーダーは所信表明演説/世界の野球を見る意義/野球にも「感想戦」を詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Twitterでは有名なお股ニキ氏による野球の分析本。
野球に関して本当に深く分析していて、MLBのことはわからないもののの、とても勉強になった。 -
こんなにちゃんとした人だとは思わなかった。野球のトレンドについて体系的に整理されている。少し古い本だがそれを感じさせない。栗山監督が褒められてて嬉しかった。やっぱり野球は、面白い!
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野球に関しても
仕事や日常生活に関しても
新しいものをデータを参考に受け入れることと
大局観が大切だと感じさせられました。 -
「マネーボール」に匹敵するおもしろさだった。最近サッカーを見るほうが多く、野球は大谷翔平以外は見ていないに等しい。そんな私が「今年は日本シリーズを見よう」と思うくらいハマった。
スラッター、ジャイロ、フライボール革命、フレーミング、パークファクター、タンキング戦略など最近耳にはするけれどよくわかっていなかった用語のわかりやすい解説と図解。愛情あふれるMLBとNPBの選手評。古田敦也を「打てて体力があって波の少ない小林誠司」、ミゲル・カブレラを「楽しそうにプレーする落合博満」と例えるセンス。控えめにいって最高。
データをこれだけ読み込んでいる著者が、最近の野球はビジネスになりすぎて、エンターテイメントが消えつつあるのが残念と。データ主義がいきすぎると、縮小均衡に陥るのはどこの世界も同じなのかもしれない。だからこそ大谷翔平はすごいのだなあ。 -
●セイバーメトリクスのはしりとなった名著「マネー・ボール」の中で「三振を恐れるな。しかし三振するな」と言う言葉が出てくるのだが、これは実に本質をついている。
●FBR(フライボールレボリューション)ゴロではなく、積極的にフライを打つことで長打率を向上させ、それにより多くの得点を狙う理論。
●MLBの打者には、頭や耳の近くにグリップを置き、少しオープンスタンスで鋭い体の回転を利用してスイングする選手が非常に多い。ソフトボールの打ち方に似ている。
●ワインドアップとセットポジションでスピードコントロールに差が出ると問題なので、ダルビッシュのように、常時セットポジションで投げる投手も増えてきている。
●巨人の坂本はコンディション依存度の高い天才型の選手である。下半身の調子が良ければ4打数4安打、悪ければ無安打といった浮き沈みが激しいバッター。ベースから離れて立って体を大きく捻る打ち方。 -
球速の最適値、中間球の重要性が分かる
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自分のかんがえに通じている点が多くて楽しく読めたし、自信にもなった。ただ、俺は連ティー好きなんだよなあ。緩急への対応という目的もあると思います。
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たまにある
「著者の分析力に感嘆して、この著者でありとあらゆるものを本にしてほしい」
と思わせる好著!
そんな概念なんか知らなかった、プロ解説者からでも聞いたことないようなことが盛りだくさん
ダルビッシュさんのお墨付きですし、好きな分野を極めるとこれほどに痛快なのだなと