- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751579
感想・レビュー・書評
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紀伊國屋書店新宿本店で開催されていた「本のまくらフェア」で購入した本。
冒頭の文が非常に詩的で魅力的だったので、思わず手に取ったが実際は著者の前書きだったのでちょっと反則された気分。
しかし面白かった。
チェスタトンと言うとブラウン神父シリーズが有名なのでてっきりミステリ作家かと思ったが、実際はジャーリズム精神に溢れた詩人、哲学者のようだ。
本作も無政府主義者と言われる、今で言うテロリスト集団に一人の刑事が潜入操作をしてそこから巻き込まれるドタバタ劇を描いた長編小説だが、ミステリ的などんでん返しを織り交ぜながら「人の幸福」とは果たして何なのかを登場人物が語り合っていくラストは読み応えがある。
何度も何度も読み返しては自分なりの考えを見つけていくための、スイッチのような小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
題名に即効で惹かれた。
「木曜日だった男」って、もうほとんど勝ち逃げのようなものだ。
内容が気にならない方がおかしい。
期待は裏切りません。
むしろ想像していたよりもずっとアクションに飛んでいて、冒険活劇で、ドキドキしてワクワクしました。
なんか映画でいうと「アメリ」みたいなのを想像していたので(どんな話だよ)、それがどっちかというと「ロード・オブ・ザ・リング」みたいだったとは驚きでした(どっちかっつーとだよ、どっちかっつーと)。 -
メンバーが七曜を名乗る無政府主義者の秘密結社に、「木曜」として潜入した詩人の活躍を描いたミステリ、の形式を借りた風刺小説。
チェスタトンお得意の逆説や風刺、繰り返しギャグ風の展開で”正義”を笑いのめしつつ、終盤では神と対峙し世界の秘密に触れる凄まじさ。ラストの対話には恐怖すら感じる。「一つの悪夢」というサブタイトルも示唆的で興味深い。
完全には理解できてないだろうから何年後かに読み直したいね。
創元から出てる『木曜の男』に比べると読みやすくなってるけど、セリフ回しなんかは『木曜の男』の方が好みかな。 -
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お邪魔しますね。tetwarrowと申します(読み方はご自由に)。ONE PIECEのバロックワークスがこの作品から由来しているのではという...お邪魔しますね。tetwarrowと申します(読み方はご自由に)。ONE PIECEのバロックワークスがこの作品から由来しているのではという発想に驚きました。確かにその可能性はあり得ますね。なんで結びつかなかったのかと、yasu13さんの感想に拍手を送りたいと思うとともに、なんだか嫉妬してしまいました。また感想読ませていただきます。2016/09/15
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チェスタトンは初めて。
ミステリかと思ってたんだけど、何というか奇妙な、とにかく奇妙な話。
ブラウン神父ものも読んでみよう。 -
逆説に逆説を重ねたら、ゼロだ
逆説の積み重ねで成り立つ世界は、虚無の観念に覆われている
主人公ガブリエル・サイムは、「詩的直感」という名の奇跡、もしくはあてずっぽうで
虚無を現実化しようとする陰謀、すなわち無政府主義者の世界に切り込んでゆく
しかし・・・
まさしく終わりのない悪夢のような小説だが
最終的に、「ただ生きていくこと」の幸せが暗示されることは救いだ -
ゴトーに続き、なんともつかみがたい作品。はまる人とはまらない人の差がはっきり出そう。敵味方の区別や信仰の対象がもやもや最後まで続く。
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チュンソフトという会社の出したゲームに、「街」というサウンドノベルがあった。ザッピングシステムや、一人の主人公の行動が他の主人公の物語に影響を与えるシステムなど、画期的・先進的・かつ面白いゲームだった。
その中に、各構成員が「金曜日」などの曜日の名前を持つ秘密結社?に主人公が参加するという話があった。その元ネタこそがこの本、G・K・チェスタトンの「木曜日だった男」である。 -
The Man Who Was Thursday
1905年、今から100年以上前の作品ということですが、小説として本当、すごくすごく面白かったです。思想的にも話の筋も痛快で、表現や人物のちょっとした台詞なんかも大好き。時代背景も興味深いです。形式的に楽しい探偵小説とも言えるのですが、考えるべきことも山ほど与えてくれます。賢さとユーモアの同居。この話はリズムがあるから読みやすい新訳もナイスです。良い時間を過ごさせてもらいました! -
追いかけっこ。ラストも好き。