純粋理性批判 (3) (光文社古典新訳文庫 Bカ 1-4)

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  • / ISBN・EAN: 9784334752132

作品紹介・あらすじ

3巻の「図式論」と「原則論」では、カテゴリーの根拠づけが対象にたいしてどのように機能するのか、それと時間がどのように関係するのかが解明される。イギリス経験論(ヒューム)を根本的に批判し、認識の主体と対象の相互の関係を論じた観念論も批判する。

感想・レビュー・書評

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  • 決して読んで分かったとは言えない。しかし、同じインタレストを共有できた納得の気持ちはある。三巻はより近づいてる。因果関係、時間、現象、物自体(あるいは病気自体)、空間。存在、観念論、反省といった僕ら臨床屋が毎日取っ組み合っている命題がここでは議論される。

    カントの文章は分かりづらい。あえて言おう。文章が下手である。一説には当時のドイツ事情からわざと分かりにくくしたという説もあり、ドイツ語独特の長々した文章の特徴という説もあり、翻訳の問題という説もあるが、それを差し引いてもカントの文章が下手だ、という要素は大きいと僕は思う(素人が偉そうにごめんなさい)。中山元の解説を先に読むほうがよい。こちらはとても理解しやすい、納得のいきやすい文章である(難しいけど)。そのあとでカントの地の文を読むとずいぶん違う。

    4巻も楽しみだ。一所懸命読みたい。

  • 2022/08/11再読 読了
    訳者あとがきで、この巻は「特に手強いところかもしれない」と書いてあって正直ホッとした。
    必死に食らいついて、何とか読み通せた感じがある。

    以下、読書中のメモ(2022/01分とは異なる)
    純理3

    p17
    知性一般 知性―概念
    規則の能力 判断力―判断(あるものが形式的な規則に従うかどうか)「練習して鍛えるしかない」
          理性―推論

    p23
    実例の効果
    判断力を鋭利にする
    判断力の才能を欠いている人には不可欠

    p26
    超越論的な哲学
    概念と一致した形で対象が与えられる条件を一般的、十分な特徴を示して提示する必要がある

    【カテゴリーはどこから来るのか】
    p30
    直観をカテゴリーのもとへくりこめるのはなぜか
     カテゴリーが現象一般に適用できることを証明する必要
     判断力の超越論的な理論(?)が必要
    p31
    超越論的な図式
    カテゴリー(純粋・知的)―〈第3のもの〉―現象(表象・感覚的)
    p34
    知性の概念を使用する時、感性の形式の制約にも従わねばならない
    =知性の概念の図式
    知性の概念の図式を使って行う手続き
    =純粋な知性の図式機能

    形象 「5」・・・・・
    概念 「5」、「1,000」頭の中で作られる形象
    p37
    形象 産出的な想像力、経験
    感性的な図式 純粋な想像力、形象を描くことができる
    概念の図式 超越論的な想像力・時間の条件に従う、形象はこれによらなければ概念と結びつかない


    知性的な図式 純粋な総合、カテゴリー
    p44
    1.量 時間によって対象の継続的な把握をする
    2.性質(実在) 感覚が時間を満たす
    3.関係(因果) 知覚が時間によって互いにどんな関係にあるか
    4.様態(必然) 対象がどのような時間に属するか

    図式
     時間系列
     時間内容
     時間秩序
     時間統括
    p45
    カテゴリー
    想像力の総合、知性の図示機能

    客体
    直観から来る多様なものの統一

    意味
    自己統合の意識の統一
    「カテゴリーは経験的に可能な用途にしか使われない」
    p47
    感性の図式・形象を作る
     カテゴリーを実在的なもの(形象)にする
     カテゴリーが適用できるものを知性の外部のものに制限する(?)

    図式
     現象に過ぎない
     対象の感覚的な概念がカテゴリーに一致した場合のみ認識できる

    p51
    【分析判断を総合判断(←本来の目的)との対比】
     アプリオリな原則の証明につながるらしい
    p53
    認識の普遍的な条件・自己矛盾を含まない(矛盾律)
     分析判断・判断の心理が矛盾律で認識できる
     分析判断の普遍的な条件は「矛盾律」
     注!「矛盾律に反しない=真理」ではない!
    p59
     総合判断・超越論的な論理学(この論理学の目的は純粋な知性の範囲と限界を規定すること)のもっとも重要な課題
      1.総合判断自体の可能性を吟味する
      2.条件と範囲を吟味する

    分析判断・主語の中に留まる
    総合判断・主語とは別の概念を関連させる、このため判断そのものからは真理か否か見分けられない
    p60
    真理か否か見分けるには?
     主語ともう一つの概念を総合的に比較する

    総合判断の基礎
     1.内的な感覚能力(その形式である時間)
     2.像を総合する想像力
     3.判断を総合する自己統合の意識の統一

    p63
    経験が可能(=客観的な実在性がある)
     対象にしたがって総合が行われることによって可能
    経験
     認識をもたらす唯一の方法
     すべての総合に実在性を与える
    すべての総合
     経験一般の総合的な統一しか含んでいないことによってのみ真理性(認識と客体の一致)を確保する

    p65
    【すべての総合判断の最高原理】
    すべての対象は
     可能な経験において
     直観に含まれる多様なものが総合的に統一されるために
     必然的に満たさねばならない条件に従う
    (?)
    p66
    アプリオリな総合判断が可能になる方法
     1.可能な経験的な認識一般
      時間
      想像力の総合
      自己統合の意識の統一
     2.経験一般が可能になる条件=経験の対象を可能とする条件
      客観的な妥当性を持っている
    p67
    純粋な知性
     原則の源泉
    原則
     1.対象としてあらわれるものが必然的に規則に従う
     2.自然法則(すべての経験に先立って規定されたものを推定)

    原則
     規則一般の条件
     ⒳を含んだ概念
    経験
     規則に従う
     事例を示すだけ
    p68
    純粋な知性の原則と経験的な原則の見分け方
     必然性があるか否か
    p71
    原則表
     1.直観の公理
     2.知覚の先取り
       数学的な原則
        直観的な確実性、必然的に結び合っていない「合成」
     3.経験の類比
     4.経験的な思考一般の前提要件
       力学的な原則
        論理的な明証性、必然的に結び合っている「統合」

    【数学的な原則】
    p75
    1.直観の公理
    「直観されたすべての像は外延量である」
      現象の統一 合成による、量の概念によって思考される
      外延量 部分が集まることで全体を描ける量のこと、継続性
    p79
    幾何学の普遍性(空間の形式の普遍性を証明)
    「3本の線があり、2本の直線の和が残りの1本よりも長い場合には三角形を描くことができる」
     どんな大きさ、三角形にも適用
    数式の単称性
    「7+5=12」
     7も5もその合成の12も他に適用できない
    p82
    2.知覚の先取り
      知覚 
       経験的な意識、感覚を含むような意識
       時間や空間の形式を持っているだろうなという先取りができる
    「すべての現象において、感覚の対象である実在的なものは強度(=内包量)をもつ」
      空間・時間の直観も見出されない=外延量が存在しない
      それでも存在が把握できる=強度が存在する
    p87
    内包量・瞬間的
    実在(ある)>>>>>>>>(0)否定

    直観による外延量
    知覚による内包量
     ともに連続性(集中するのをやめると中断される)がある
    p93
    知覚の先取りの原則の効用
     実在しないものを経験することはできないと証明すること
    p98
    アプリオリに認識できるもの
     量 連続性(外延量)
     性質 強度(内包量)のみ
      他はすべて経験による

    p99
    【経験の類比の原理】
    経験(知覚によって客体を認識すること)は知覚の必然的な結合の観念(概念によって規定)だけによって可能となる
    p106
    数学の類比 構成的、部分が分かると全体も見える
    哲学の類比 統制的、部分が分かっても次を当てることができない
    p109
    持続性 純粋で完全にアプリオリな自然法則の頂点に立つ命題
     現象がどれほど変化しようとも、実体は持続し続け、自然に含まれる

    現象
     時間の中でしか存在しない
    実体
     量そのものは増加も減少もしない
    p114
    持続性の証明は概念だけから導くことができない、経験との関係だけにおいて妥当する

    ある現象を実体と呼ぶ
    =その現象がすべての時間において存在し続けることを前提としている
      これまで存在していた必然性
      これからも存在するだろう予測……哲学の普遍性を訴える上で弱点になる気がするなぁ
     現象の変動するものは実体と区別して考えたくなる
     「だからこそ実体は〈関係〉のカテゴリーに含まれる」

    p122
    【因果関係に基づいた時間的な継起の原則】
     すべての変化は原因が結果と結び付けられる法則にしたがって発生する

    変化
     2つの対立する規定を持つ同一の主語が持続していることを想定している

    _A_____(A)___>時間 ※(A)はAの消滅を表す

    Aと(A)を結びつけるのは想像力
    どちらが前でどちらが後か必然的に規定(因果律)される
    p128
    把握して継続し続ける多様な像を統括
    →1.対象そのものとして与えられる
     2.対象そのものと概念は一致しなければならない

    2.について
    認識と客体の一致=経験的な真理の形式的な条件
    p130
    把握の順序
     空間 どこからでも可能
     時間 一定の規則が必然的にある
    p134
    あるものの生起を経験すること
     それに先んじている何かの中にある規則にしたがって継起したことを前提としている
    p136
    原因という概念
     「出来事の系列がある特定の規則」にしたがうというという考え
      つまり「時間」が現象を総合的に統一するための条件であるはず
    p141
    時間が連続した関係にあると経験的に認識
     現象の必然性を担保する時間
     時間の連続性を担保する現象 もちつもたれつ関係
    p142
    人間の経験が可能になる条件
    1.ある対象の像を心の内で描く
    2.その像を1つの時間軸に配置する(その像の先行する現象の帰納として位置付ける)

    さまざまな現象が1つの時間軸のうちで相互の位置関係を規定
     時間の順序におけるその位置が必然的になる
    p144
    ライプニッツ「理由なしに何物も生じない」(充足理由律)
     経験を可能にする根拠が客観的な妥当性をもつための根拠
     経験的な判断が真理になるための条件

    p156
    【変化の連続性の原則】
     A<<<<原因>>>>>B
    ______________>時間

    「モメントの法則」原因は強度を持つ
    p160
    原因>結果という関係性
     時間が一定方向に進む
     相互に支えあっているためアプリオリである

    p161
    【同時存在の原則】
     すべての実体は空間において同時に存在できるものとして知覚できる限りで完全な相互作用のうちにある

    AとBが同時に存在
     時間 Aを見る時、Bは見れない
     概念 別々のものが同時に存在する規定があるはず

    相互性、相互作用(影響が両方で起こること)
     空間のうちで複数のものが同時に存在することを経験によって認識できるための前提
    p165
    同時存在を認識する条件
     時間においてどのような位置であるか規定しあう(「共働」)
      同時に存在するものとして経験的に思い描くことができる
    p168
    知覚は空虚な空間を客体とすることはできない
    p171
    現象の存在を時間関係によって総合的に統一することができるのは知性の規則だけ
    p172
    経験の統一が可能になる条件
     すべての存在に時間が含まれる
     すべての現象は自然のうちにある
    p173
    第三の類比(相互性)はすべての現象が自己統合の意識に統一される形式を示す
     現象に含まれるすべての存在は時間の形式に規定されることの証明
      「時間を経験的に規定する」

    p176
    経験的な思考一般の前提条件(様態のカテゴリー)
    1.経験の形式(直観と概念・時間と空間)と一致 可能的
    2.経験の実質(感覚・実存性) 現実的
    3.経験の普遍によって現実的と規定 必然的

    様態で問われるもの
     客体が理性とどのように関わるか
    p180
    現実性の特徴
     知覚の仕方
    ex.磁力は直接知覚できないが、引き寄せられる鉄粉によってその現実性を知る
    p183
    「あるものが実在するかどうかは……経験の質料である感覚にかかわる問題」
    p185
    想像力が作り出す概念
     現象の把握(経験)が可能であることを証明
    p190
    不確定性を唱える観念論(多分ヒューム)への反駁
     「我思う、故に我あり」も外的な経験を前提にしなければ不可能であることを示せばいい
    p191~197←時間はどこから来たのかに対する答えがありそう
    「わたしは外部の空間の中に対象が存在することを証明するのは、わたし自身が現実存在するという、たんなる経験的に規定された意識である」
    「内的な経験一般は、外的経験一般によってしか可能とならない」

     我(現実存在)   外部(現実存在)の知覚
    ________時間_____________持続←規定_>

    p199
    必然性
    「原因が与えられた出来事の結果の必然性を認識できるだけ」
    p209
    可能的 概念<知性>経験の形式的な条件
    現実的 概念<知性>知覚による規定
    必然的 対象<知覚>概念による規定
    p219
    内的感覚も外的直観から実例を得ることで働く
    p225
    知性は自分の働ける限界を自ら判断できない
     知性は「経験的に」使用することができるだけ

    p234
    純粋理性概念(カテゴリー)
     超越論的に使用してはいけない
     つねに経験的に使用される
    純粋な知性の原則
     感覚能力の経験可能な対象だけに使用
    p238
    思考の形式
     客体(感覚がとってくる)がないと働けない 
    p239
    1.フェノメノン 感覚的な存在
      現象の存在、感覚の対象    
    2.ヌーメノン 叡智的な存在
      対象にそなわっている特性、知性の対象
     2.は人間にあるとしても消極的
    p255
    反省をどこで行うかという問題
    1.感性 同一・質料・一致
    2.知性 差異・形式・反対
    3.理性←我々には感知できない領域があると教えるだけの存在 
    p283
    現象
     認識が客観的実在性を獲得できる唯一の場所
     概念が直観と一致することができる唯一の場所

    p302
    【対象が何かあるものか無か】
    1.量 いくつかあるもの ⇔皆無「対象をもたない空虚な概念(思考物)」
    2.性質 何かあるもの(実在性) ⇔欠如「概念の空虚な対象」
    3.関係 対象の関係性 ⇔純粋な時間と空間(直観される対象ではないもの、対象の形式の条件)「対象のない空虚な直観」
    4.様態 可能性 ⇔否定、不可能なもの「概念のない空虚な対象」

    1と4はどちらも空虚な概念
    2と3はどちらも実在するものがないため、概念を持つことができない

    解説---
    p341
    2巻の目的 カテゴリーの根拠づけ、カテゴリーとは?のお話
    3巻の目的 カテゴリーを実際どう使うか、判断力のお話

    判断力
     広義の知性の働き
     「規則のもとに包摂する能力」
    p346
    認識
    1.対象の直観を概念の下に配置
    2.対象の概念を感覚的にする

    1と2の2つの異質なものの間の媒介
    「超越論的な図式」=時間規定
     純粋性(カテゴリー)・具体性(心に描かれた像)
     知性的(カテゴリー、概念、言語)・感性的(現象、時間)

    p352
    【言語の問題】
    知覚判断 言語「木を持つと重い感じがする」←「木」という言葉がないと、この判断はできない
    経験判断 カテゴリー「物には重さがある」

    言葉=多様なものの流れからある対象を特定する
     下記の図式があるため可能となる

    図式
     感性の形式的で純粋な条件
     知性の概念が使用されることで制約される
     「思考の中」だけに存在して「想像力が総合のために利用する規則となる」

    対象・図式
     個別の犬・「犬」という概念、経験的な概念、想像力によりもたらされるモノグラムのようなもの

    p355
    言葉を概念として利用する知覚判断
     「経験的な概念」としての図式が働いている

    「図式はカテゴリーが働く場を用意し、カテゴリーが働くことができるようにするのである、これが言葉の機能なのである」

    p357
    『判断力批判』
     規定的な判断力 概念を感性化←『純理』で想定されている図式
     反省的な判断力 感性を概念化

    図式の2パターン
     実在的な図式機能 客観的な実在が直接直観に描き出される、図示機能
     類比による図式機能 客観的な実在がその結果においてだけ描き出される、概念の抽象化

    p361
    数学的
     量 時間の系列
      1つの点が続いて線になる
     性質 時間の内容
      ある時間が満たされている度合い(実在性)>>>ゼロ(否定性)
    力学的
     関係 時間の秩序
      実体 時間の持続性
       実体が変化しながらも持続的に存在することが時間の存在も保障する
      原因 時間の継起
       変化に順序があること
      相互作用 時間的な共存
       ある瞬間に変化しないものと変化するものが共存すること
       時間がすべての存在の土台であることを保障する
     様態
      可能性
       特定の時間における対象の像の規定
       ある時間において対象が在ることが可能
      現実性
       ある時間において対象が在ることの現実在
       ある時間において対象が在ることが可能であることを認識できる
      必然性
       すべての時間における対象の現実在

    p370
    図式論
     カテゴリーが知覚の素材に付け加えられる、経験になる
      共通する「言語」と「時間」が媒介
    原則論
     媒介がどのように行われるか解明
     
     規則
      知性が利用
      さまざまな像を1つの意識に合一する条件
     ・法則
       自然において必然的な規則
     ・原則
       すべての認識において根底に存在する規則
     ・原理
       理性の能力、特殊なものから普遍的なものを認識する

    p373
    分析判断
     主語を分析することで述語をみちびけるもの、新たな発見がない
     矛盾律で真理を判断できる
    総合判断
     時間・想像力・自己統合の意識を土台、媒介として可能になる
     アプリオリな総合命題は客観的な実在性をもつものとして誰もが認めるもの
      ex.「物体は重さをもつ」
    客観的な実在性の条件
     1.知覚 直観(時間と空間の形式に則る)によって与えられる
     2.カテゴリー 現象が総合されて統一される ←概念化するってことかなぁ?
     3.判断力の原則が働く 1と2がつながるやり方

    知覚判断 他者の同意は求められない
     「石が温かい」
    経験判断 他者の同意を求める力がある
     「太陽が照る(知覚)ことで石が温められる(知覚)」
    総合判断
     「上記の判断は原因のカテゴリーからなる」

    p380
    カテゴリーを対象の直観に適用する方式=原則
    1.直観の公理 量 外延量 ex.幾何学、直線
    2.知覚の先取り 性質 度 ex.数式、色
    3.経験の類比 関係 相互性
    4.経験的な思考一般の前提要件 様態 現実存在の違い

    1と2 直観だけに関係、数学的、同種のものの総合、構成的
    3と4 現象一般の存在に関係、力学的、多様なものの総合、統制的

    自然科学の基礎付け
    1、2だけでなく客体の存在を確認するために3、4も必要

    想像力
     再生的 すでに概念が与えられており、それを個別の直観に包摂する力
     産出的 個別の直観から始めて、それが包摂されるべき全体を描き出す力

    p407
    数学的な原則 カテゴリーのもとに包摂
    類比的な原則 図式のもとにとどまる
    力学的な原則 カテゴリー・図式どちらのもとにも包摂されない

    量・性質 カテゴリーを使い、現象を構成
    類比 カテゴリーを利用して「ぼくらはそのように理解できる」範囲を作る(カテゴリーの利用を制限する)

    自然から人間が理解した法則≒自然法則≠人間が決めた法則によって自然が動くと考えるのは間違い

    p411
    大前提
    「同時存在も継起も時間のうちでしか思い描くことができない」
    小前提
    「時間そのものは知覚できない」
    「知覚の対象のうちに時間そのものを描き出す、実態が必要」

    実体
     現象すべての変動の基体
     現象においてつねに同一なままで実在的なもの
     実体の量は増減しない
    p415
    実体の根拠づけ
    1.時間の中で持続する主体の判断だけが根拠となる
      
      主体<持続(概念)>

    2.判断する主体は時間の概念を獲得するために実体という概念を必要とする
      これなしでは自己の同一性、判断の同一性、客体の同一性も手にすることができない
      
      主体の認識
     (_____)
      持続という時間の概念

    実体の概念
     人間が自己の同一性を確保するために必要な概念だが、客体そのものに実体があると考えるのは間違い
    p421
    「実体が同じ実体として存続し続けるためには時間がただ1つであることが必要である」

    p430
    因果律
     人間の経験が可能となるための不可欠な条件


    ライプニッツ
     因果律を完全に理解できるのは神だけ

    1.人間が経験を認識する時、現象は常に継起するものとして思い浮かべられる
    2.1の順序は客体によって規定される  
    3.2は1つの規則(因果律)に従って時間のうちで規定している必要がある
     そうでないと、現象を現象として知覚できなくなる
    p439
    【「作用」という解決】
    作用
     実体Aに実体Bが働きかけることで起こる
     原因は内部ではなく、外部に存在する
    さまざまな実体の知覚の比較
     作用の実体と客体を見分けることで、そのどちらもが実体であることを確認できる
     ←<持続性>の確認が不要
    「現象としての実体」の定義
     「作用の主体」「<変動するもの>の基体」
     ←<持続性>という定義より「厳密な普遍性」をそなえている
    p441
    変化
     ある実体が消滅して、新しい実体が生まれること
     →「創造」
     現代で創造が可能とすると、突然無から何かかが生じることになる
     「すべての経験の統一は消滅してしまうことになる」
    p446
     月を見て大地を見る、その逆もできる
     同時存在の認識のために必要条件だが、十分な条件ではない
     アインシュタイン
      月と大地(地球)の引力による相互関係から同時存在を規定
    p447
    エーテルの存在
     アインシュタインが否定
     マイケルソン・モーリーの実験「光の進行方向によって光の速度は変わるか」で否定の証明がされるまですべての科学者が信じていた
    p449
    相互性の重要な視点
    「さまざまな対象が同時に存在するものとして、わたしたちの心のうちで結び付けられて思い描かれるためには
     それらの対象は
     1つの時間のうちで
     それぞれの位置を相互に規定しあっていて
     それによって
     1つの全体を構成していなければならない」
    p452
    相互性のカテゴリー
     すべての現象は世界全体において統一的なものとして結び付けられていることを示す
     共存するものの経験的な認識を可能とする条件

    p456
    「前提要件」の特徴
     概念を付け加えることがない
     その手続きが概念を初めて作り出す

    p465
    『視霊者の夢』
     誰もが知覚しうるものでない
     「虚構のうちで戯れ」ているとみなされてもしかたがない
    p491
    実体
     「空間(主体の外部にある)」のうちで、ある持続するものを直観することが必要
     持続しつつ規定できるのは空間だけ
    ←「時間」はつねに内的な感覚能力に示されるすべてのもととともに「流れる」ため「持続的なものを直観できない」
    因果律
     「空間」における運動の実例を利用して変化を直観する
    p511
    悪の規定
     ライプニッツ
     悪の根源は欠如<神のミスってことにならん?
     カント
     悪が生じる実質的な根拠(情欲など)
     悪を防ぐにはそれに反作用する力(道徳)が必要

    2022/01
    p161まで

    以下、読書中のメモ

    知性一般
    認識能力ー分析される対象
    知性ー概念
    判断力ー判断
    理性ー推論

    理性の分析は一般論理学(形式だけ)では可能だが、超越論的な論理学(アプリオリで純粋な認識を扱う)では不可能。
    超越論的な論理学の分析では判断力(概念をどう現象に適用するか)のみ扱う。

    判断力とはあるものが規則に従っているか判別する能力。
    一般論理学は形式だけを分析し、形式的な規則を定めるだけなので、判断力に指示ができない。
    そのため、判断力の素質がない人には教えようがない。そういう人には実例が必要。
    超越論的な論理学なら判断力が犯す過ちを防ぐ(批判する)ことが可能。
    p175

    概念と現象をくっくけるのりの役割をするのは時間規定。
    p178

    概念が使用される時には感性の形式の制約にしたがわなければならない(第2巻)
    この条件のことをここからは知性の概念の図式と名づける。
    p179

    形象と図式の違い
    形象は5を○で示せる。でも、1000は大変。
    1000を分かるのは図式のおかげ。
    p180

    「図式とは、時間が規則にしたがってアプリオリに規定されたもの」
    p185

    図式はカテゴリーそのものにも制約を加える。カテゴリーは知性の外部にあるもの(=感性の内側にあるもの)だけに適用される。
    p187
    (↑ここはp179の繰り返しかも)

    分析判断
    主語となる概念について判断する。
    総合判断
    主語となる概念の外に出て、全く別のものをそれと関連させる。

    総合判断をするためには主語の外に出る必要がある。
    このために必要なものは
    内的な感覚能力とその形式である時間
    想像力による像の統合
    自己統合の意識による像の総合的な統一
    の3つである。
    p195

    意味と意義をもつ認識(客観的実在性をもつ判断)には対象がなくてはならない。
    対象がない認識はただの遊び。
    対象は経験からしか与えられない。
    経験の形式である空間と時間の概念すら、経験の対象に利用されることで、客観性、意味、意義をもてる。

    経験は「現象一般の対象」という概念につながる(総合して統一する)ことで可能になる。
    そうでなければ、知覚は何ももたらさない。
    p196

    すべての総合判断の最高原理
    「すべての対象は、可能な経験において直観に含まれる多様なものが総合的に統一されるために必然的に満たさねばならない条件にしたがう」
    p197

    アプリオリな総合判断が可能な前提条件
    ・アプリオリな直観の形式である時間
    ・想像力の総合(←概念化?)
    ・超越論的な自己統合の意識における想像力の必然的な統一(←自己同一性?)

    アプリオリな総合判断が客観的妥当性を持つための条件
    経験一般が可能になる条件=経験の対象を可能にするための条件(←対象の客体化?)
    p198

    アプリオリに認識できるもの
    数学的、構成的な原則
    1.〈量〉→連続性
    2.〈性質〉→強度(内包量)
    p218

    「世界でどのような変化が起こるとしても、実体は存在しつづけるのであり、変動するのは実態の偶有性だけである」
    この命題はすべての経験の根底となるが、概念だけでは証明できず、「経験の可能性の根拠づけ」を行わないといけない。
    p228

    原因の概念が経験に先んじて(アプリオリに)あるから、時間の中で変化する現象を統一して、客体として捉えることができる。
    原因の概念とは、出来事の系列がある特定の規則にしたがうという考えである。
    p242

    現象を客体として認識するためには、先行するものが後続するものを必然的に、時間のうちで規定している必要がある。
    原因と結果の関係(因果関係)は、経験的な判断が客観性をもつための条件である。
    ただし、因果関係は現象の起こる順序だけにかかわり、時間の経過は問題としないことに注意すること。
    p248

    現象としての「実体」は持続するものを指す。
    そのため、神がするような無からの創造はここでは除外。
    それを除外しないと、経験の統一性がなくなる。
    p252

    因果関係は連続性の規定。
    連続性が認識できるのは時間の形式があるから。
    因果関係は人間の認識に時間というアプリオリな形式があるという条件の下、存在する。
    p256

  • 人間が世界に触れる時、人の中では何が起きているのか。人が現実だと思っているものは、本当に現実なのだろうか。人は世界をありのままに捉えているのだろうか。おそらくそうではなくて、人はそれぞれ別の見方で世界を捉えていると思う。そして同じものを見ていても、人それぞれ捉え方が違うのだ。カントのこの本は非常に難解だ。もちろん読む価値はある。だからこそ読む価値があるとも言える。時間と空間を重要な要素として、現象とは何かについて考察する。

  • 全巻の中でも、かなり難解な巻で、通読するのに時間がかかった。まだまだ消化不足であるが、先を急いでいくことにしよう。

  •  感性が受け取る直感すなわち経験的対象に、カテゴリーがいかに適用されるかを論じる「図式論」とその各論となる「原則論」。この図式を用いて理性の定める原則との適合性をジャッジする「判断力」と、前分冊で出てきた知性が個別の直感をまとめ上げる際に用いられる「想像力」との関係がよくわからず混乱したが、どうやらそれぞれの「根拠づけ」の対象が異なるようだ(前者は理性、後者は知性に権限がある)。
     
     しかしこの「図式論」も厄介な代物だ。現象とカテゴリーを媒介する純粋な形式としての図式即ち〈時間〉が多様な私的経験のうちに含まれているからこそ、客観性を担保するカテゴリーが感性のうちに与えられて自己の追加的な判断即ち〈総合判断〉が成り立つというのだが、本当にこのような複雑な過程を経てアプリオリな総合判断というものが生まれているのだろうか。そもそもこの感性・図式・カテゴリー・原則というメカニズムは実証不可能なカント一流の説明にすぎない。しかし、「現象などの物自体にカテゴリーは直接適用できない」というカントの金科玉条からすれば、特にこの図式は人間認識の制限項として導入不可避なメカニズムだったのだろう。
     
     「原則論」はよく言われるように、「本当にこれだけの原則で概念が網羅されているの?」という素朴な疑問を否応なく惹起するが、僕に関しては特に力学的な原則(関係と様態のカテゴリーに対応する「経験の類比」と「経験的な思考一般の前提条件」)についてはある程度の納得感を伴って読めた。例えばスピノザやライプニッツ的な決定論に対し、因果律は人間が現象認識の結果として確立したものだというカントの主張は、若干情緒的に感じられはするが、人間中心主義的な世界観に立脚する点で共感を覚えた。

     なお本分冊では全くメジャーな論点ではないが、個人的には原則論の観念論への反駁で出てくる「基体」の扱いが微妙だなと感じた。カントは我々が対象の変化を知覚する際に、時間そのものは知覚できないのでその代わりに不変なるものとの相対変化を知覚しているという。ここが外部の実体性を要請する点でバークリ的な際限のない懐疑論やデカルトの唯心論的懐疑に対する論駁の根拠となっているのだが、この不変な基体というものの実体が判然としないのだ。どうやら対象の変化というのは対象の不変な基体すなわち「実体」そのものではなく、その属性が変化するさまを指すようだが、やはりライプニッツが言うように「対象の実体」という変化しない本質というのはそれこそ人間が認識不能な「物自体」の最たるものではないのか。それとも、カントは人間に認識可能な「変化」を定義するためにそのような基体という概念を構成的に導入したのだろうか。つまり人間がアプリオリにもつ法則に従い変化を認識する際に、構成的に後付けで設定される基準点のようなものか。確かに「コペルニクス的転回」ではあるが、しかしそれだと循環論そのものになってしまうような気がするのだが…。

  • 134-K-3
    文庫(文学以外)

  • 第三分冊は「判断」に関する考察。第三分冊まで読んで、内容がつかめてきた。第三分冊が一番難解であると書かれているが、僕にとっては第一、第二分冊の謎を解明するものがこの第三分冊だと思われた。相変わらず無味乾燥かつ難解な主張が展開されるわけだが、ときどき、実例を交えた説明があり理解の助けになる。判断力とは天性のものであり、学校教育で教え込むことはできないというくだりは、ここ数十年来言われつづけてきた詰込み教育批判と通じるものがあると思った。

    新たに発見した事として経験の類比がニュートン力学の3法則(慣性の法則、力の法則、作用反作用の法則)び対応しているということだ。

    我々は論理的に筋の通った理論をいくらでも構築できるがそれが可能かどうかは別問題だ。おそらく場の空気と言ったアプリオリな規則に従う必要があり、その意味で論理的思考力だけでは限界があるんだろう。巷間盛んに言われる論理的思考力信仰について一石を投じるものであることは確かだ。論理的思考力を批判しているんじゃなくて、それだけじゃダメだということです。天才は論理的思考力に長けているんだろうけど。

  • 訳:中山元、原書名:KRITIK DER REINEN VERNUNFT(Kant,Immanuel)

  • ハイデガーの「カントと形而上学の問題」を読むために本棚から引っ張り出してきた。「観念論論駁」部分をとりあえず先に読む。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784334752132

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著者プロフィール

1724-1804年。ドイツの哲学者。主な著書に、本書(1795年)のほか、『純粋理性批判』(1781年)、『実践理性批判』(1788年)、『判断力批判』(1790年)ほか。

「2022年 『永遠の平和のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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