ご遺体 (光文社古典新訳文庫 Aウ 6-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334752668

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  • アメリカ西海岸を舞台に、ペット葬儀会社で勤める詩人を主人公に配した風刺的なエンタメ小説。

    作者の何ともいじわるな目線が溢れた、ユーモラスな小説。
    やけに大仰な葬儀産業を通してアメリカの資本主義を皮肉り、プライドばかり高いが実力社会のアメリカで体面を保とうと汲々とするイギリス出身者、自分の理想の愛のために右往左往し挙句に完全に己が悩みだけで自分を追い詰め命を絶つ女性、アメリカ人が誇って止まない「アメリカ的な生活」に対する皮肉・・・
    と挙げればキリがないが、著者はアメリカ滞在の経験でよほどアメリカのことが滑稽に見えたのだろう。
    そしてそれをバカにしつつも、そうは言っても必死に生きていかねばならない同国のイギリス人をも滑稽に描いている。

    ストーリー自体は、どうにもエイメ自体が死を選ぶ理由についていけないし、面白いけど格別というほどでもない良質なエンタメというところ。
    著者のシニカルさを楽しむ一作だろう。

  • 装丁の表紙が可愛い。どれも似たような表紙だと思っていた光文社の表紙に、こんなにインパクトがあるものがあったとは。

  • ハリウッドのペット葬儀社で働く元詩人の主人公と、人間専門(?)の葬儀社に勤めるヒロイン、彼女の上司の奇妙な三角関係を描いた辛口ブラック恋愛コメディ。
    主人公の恋敵であるエンバーマーが、ヒロインの気を引こうとする方法が斬新すぎ&怖すぎ!個人的にはこういう ブラックな結末は好きだけど、あまりにも強烈な毒の効かせ方を受けつけない人もいそう。
    登場人物の名前もジョイボーイ(能天気と訳せばいいのか)とかエイメ・タナトジェノス(死の一族)とか、ポーの命名センスに近いものを感じる。
    イギリス人気質やアメリカの商業主義、社会のあらゆるものに対する強烈な違和感と皮肉が切れ味鋭く表現されている。

  • 登場人物は一見コミカルだが、ウォー独特の皮肉な視線で描き出されていてかなり毒のある描写になっている。
    ラストシーンはなかなかの衝撃。

  • おー「The Loved One」の邦訳が同時刊行!

    光文社のPR
    「ハリウッドで評判の葬儀社「囁きの園」に務める腕利きの遺体処理師と、彼を敬愛する女性化粧師、そして英国出身でペット葬儀社勤務の元詩人の奇妙な三角関係をブラックな笑いで描く中編佳作。衝撃的結末に舌を巻く、ウォー文学の真骨頂。 」

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著者プロフィール

Evelyn Waugh(1903-1966)
イギリスの著名な出版社の社主で、文芸評論家でもあったアーサー・ウォーの次男として生まれ(長兄アレックも作家)、オクスフォード大学中退後、文筆生活に入る。デビュー作『衰亡記』(1928)をはじめ、上流階級の青年たちの虚無的な生活や風俗を、皮肉なユーモアをきかせながら巧みな文体で描いた数々の小説で、第1次大戦後の英国文壇の寵児となる。1930年にカトリックに改宗した後は、諷刺の裏の伝統讃美が強まった。

著作は、代表作『黒いいたずら』(1932)、ベストセラーとなった名作『ブライヅヘッドふたたび』(1945)、T・リチャードソン監督によって映画化された『ザ・ラヴド・ワン』(1948)、戦争小説3部作『名誉の剣』(1952-61)など。

「1996年 『一握の塵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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