ハピネス (光文社文庫 き 21-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334772345

感想・レビュー・書評

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  • 子供の居ない私には別世界の話だけど、なんだか興味深く引き込まれて読んだ。

    中弛みなく楽しめました。

    有紗が私は好きになれず、嘘つきだわ人頼りだわ、被害者意識が強く自分のワガママさに気づいていないわ。

    元旦那を本当に好きで覚悟を持って結婚したわけでは無かったから、農家を継ぐことになったときに取り乱す。

    一方現旦那も結婚への覚悟が足らず、有紗の過去を知った時に取り乱す。

    自分のした事が結局返ってきたかたち。

    色んな家庭のありそう話を覗き見した感じ。

    幸せそうに見える家庭もそりゃ色々あるよね。

    自分を幸せにできるのは自分自身です。
    人に依存した瞬間から、不幸のはじまりだも思う。
    友人も恋愛も結婚も。

  • 結婚、子育て、生活、ママ友、姑舅、人間関係、幸せの裏側…。
    タワーマンションの中の狭い世界の話。
    当事者にとっては生きるすべての話。
    悩み苦しみ、行動するまでの話。
    例えば、ママ友と言う言葉がなかったら、公園デビューなんていう言葉がなかったら、もっと子どもたちもその親も少しは苦労が減るだろうに、コミュニケーションも、しがらみもなく(利害関係もなく)スムーズにいくだろうになど、いろいろ考えながら読んだ。

  • タワマンに暮らすママ友の話。
    閉鎖的で狭い空間で織りなす世界は、学校生活に似たものを感じた。
    外側(ママ友からの見え方)と内側(家での自分)の境界線が際立って感じられた。
    ママ友の世界は、今でもこのような感じなのか。
    ラストでは有紗の精神的な成長を感じられ、読了後の気分が良かった。

  • 有紗にそんなに共感できないって言うか、なんでこんなに他力本願なんだろうってイライラしてたところもあったんだけど、それは自分の過去に負い目があるからなんだなってわかって、切ないなとも思った。

    徐々に変わろうとしていったのはすごいし、実は強いんだなーと。

    ママ友付き合いも色々面倒だけど、踏み込みすぎず適度な距離感で付き合うのが1番だなと思うな。

    いぶママと美雨ママのバチバチはある意味見ていて楽しい。当事者はたまったもんじゃないけどな。

  • リアルだ

    そこら中にあるタワーマンションのなかで日々こんなことがおこっているのではないかと思わずにはいられない…

    幸せそうにみえても実は中身はぼろぼろ…
    不安定にみえてもそうでもない…

    そんなことの詰め込まれた内容にラストまで気が抜けない一冊だった

  • 高級タワマン+ママ友×桐野夏生…とくればおもしろいのは間違いない!ということで読んでみました。

    同年代の子どもを持つ同じタワマンに住む女性たち。
    みんなが同レベルの生活水準のように見えて実際は少しずつ違うので、自然とカーストのようなものが発生して虚飾に満ちた感が強い。
    こんなところで自身の位置付けに沿った生き方をするの、カーストが上位でも下位でもしんどそう。

    平凡な有紗には、地に足がついた最後でよかったなと思う。

  • 先日、20代の頃に港区のマンションに暮らしていたことを話したらオススメされて読んでみた1冊。あのまま暮らしていたら、こういうこともあったろうしこういう人たちと接する機会もあったかなと思えた話で、相対的な幸せというか、「他の人たちより幸せな暮らし」に憧れたりステータスを比べるような息の詰まる暮らしにある意味洗脳されていく人たちっているかもしれないなと、自分の嫌になったものを改めて外から見るような気持ちを感じました。ハンデがあったり、思うようにいかないところを抱えた暮らしをみんながしていることを自分も改めて頭に入れておきたいと思った1冊でした。

  • タワマンに住むママ友の世界。
    私が住む地域にはタワマン自体なく、ママ友の世界もあまりないから、怖い異世界を垣間見たというのが率直な感想。
    でも、同じ子を持つ母として、妻として、女性として共感できることが多々あり。
    最後まで読んで、この本から得た教訓は「偽りを重ねても何一ついいことはない」でした。笑

  • 基本的に女性同士が腹を探り合いながら、何かを秘めてる系な話は好きなので。
    主人公の女性に若干イライラするものの、後半にかけて人が変わったように、イキイキしてきた感じ?
    もっとグチャグチャしていくのかと思いきや、そうでもなかった。

  • 小さな子供を持つママ友の話。
    語り手である有紗はタワマンに住みそしてその狭い環境の中で葛藤や過去に縛られながら自らの身の振り方に悩んでいる。
    かつて自分にもそんな時期があったと振り返る。
    携帯が普及した現代、人間関係の微妙な感じも昔とは大きく異なる。少しづつ有紗の過去やママ友の秘密など身近な話すぎるけど実話を体感しているように引き込まれた。

    巻末の解説を読めばこの厚めの本の内容が分かる。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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