Jミステリー2023 SPRING (光文社文庫 こ 1-27)

制作 : 光文社文庫編集部 
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334795191

感想・レビュー・書評

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  • イキの良い作品が目白押し! 豪華ミステリー作家陣のアンソロジー #Jミステリー2023SPRING

    大っ嫌いな冬も終わり、春がやってきました~
    今年も桜が綺麗で、いろんなところでお花見を楽しみましたよ。

    新刊のJミステリー2023 SPRINGが出版されるとのことで、例によってものすごい勢いで買ってきました。脂が乗りに乗ったミステリー界の豪華作家先生たちのアンソロジーです。

    ■相続人を宿す女/東野圭吾【おすすめ】
    めちゃくちゃ面白い、さすがですよ。いつものとおり神尾武史と真世が活躍するシリーズ。
    テーマ性が素晴らしい、短編でなく長編もいけるほどの重厚感。人の心の機微や葛藤も良く描けている。シンプルかつ読みやすく、まさに東野先生の凄さを体験できます。

    強く生きるためには何が必要か、教えてくれる作品でした。

    ■必要不可欠な殺人/結城真一郎
    結城先生は『#真相をお話します』の印象が強かったので、正直こんな作風にびびった。こんな綺麗で文芸的な小説を書く先生とは… 御見それしました。

    人と人との絆、思いやりが暖かく、ほんのり心休まる作品で素敵でした。

    ■拾った男/阿津川辰海【超おすすめ】
    今年の本格ミステリーの短編ではトップクラス!
    さすが本格ファンの喜び処をわかってる~
    しかも例のアレとは思いませんでした、めっちゃ嬉しい。

    舞台設定からプロット、登場人物、伏線、トリック、解法までバッチシ。出来が良すぎ。
    犯人との舌戦ものですが、詳しくレビュー書かないから、ぜひ読んで! 面白かった!

    ■ロイヤルロマンス(外伝)/真梨幸子
    まさに先生らしい作品ですね。シンプルでわかりやすいイヤミス。
    女のマウント取り合い、妬み合い、いがみ合いがいいわ~

    荒唐無稽で馬鹿馬鹿しく、ただ決して笑えない。切なくなるお話でした。

    ■大きな手の悪魔/白井智之
    知的生命体が地球への侵略を背景にしたSFミステリー。
    お得意のエグさグロさが秀逸で、舞台設定に対する解決策の発想力が突拍子もなくて最高。若干のやりすぎ感、ありえない感が超刺さりましたよ~

    ■老いた犬のように/近藤史恵【おすすめ】
    ストレートなテーマ性。
    ぼーーーっと生きてる、無能・無粋な奴に喝を入れてくる。

    あえて言わせてもらうと、この露骨な主張は好きじゃないです。
    でも、美しくも力強く、示唆に富んだ素晴らしい作品でした。

    ○おまけ
    素敵な桜でも見ませんか?
    twitterに写真を上げてますので、お時間がある方は是非みてね。

    秋@ミステリー読書垢 ~お花見の写真~
    https://twitter.com/autumn522aki/status/1641009090766966784
    https://twitter.com/autumn522aki/status/1639235109688840193
    https://twitter.com/autumn522aki/status/1638439028306612225

    本年度もたくさんミステリーを読みたいと思わせてくれるアンソロジーでした!

  • 新作書き下ろしアンソロジー。
    東野圭吾、結城真一郎、阿津川辰海、真梨幸子、白井智之、近藤史恵

    それぞれ個性的なミステリーで楽しめました。

    ・東野圭吾「相続人を宿す女」
    安定の読みやすさと面白さ、さすがです!
    調べてみたら案の定、まだ読んでいないシリーズでした…
    本棚に東野さんが多過ぎるので控えていたのですが、やっぱり読みたくなってきました。

    ・結城真一郎「不必要不可欠な殺人」
    なかなか良かったです。
    不穏な空気に引き込まれていって、終盤に反転するところは東野さんと同じ。

    ・阿津川辰海「拾った男」
    一番のお気に入り、傑作だと思います!
    タクシー運転手と客のスリリングな心理戦。
    キャラクターも構成もいいし、言葉の駆け引きにドキドキ。最高でした。

  • 東野圭吾氏は『ブラック・ショーマン〜』、阿津川辰海氏は『録音された誘拐』の登場人物達が出てきていたことには途中で気づいて自分のブクログレビューを読み返したが、どちらの作品も細かいところはあまり思い出せなかった。

    本書で唯一の初読みの作家さんである白井智之氏の作品を読む前に、何気なく本書のブクログレビューをいくつか拝見したところ、本書の氏の作品はグロだと書いてあったので、その情報はグロが苦手な私にはありがたく、チラ見に留めることにした。
    まず1章が何やら漢字びっしりだし内容も私にはとっつきにくいので飛ばした。
    後の章は拾い読みしたが、やっぱり真剣に読まなくて良かった。
    グロというより、わけがわからなかった。
    まあ、飛ばし読みしてるからわからないのだろうけれども。

    本書で私が一番評価したいのは、真梨幸子氏の「勇気!」だ。
    氏の他の作品と変わらぬ(お下品な)筆致で、よくぞアンタッチャブルなところに食い込んで…
    痛快であった。

    東野圭吾氏、真梨幸子氏、近藤史恵氏のカテゴリを作ってあるが、その他の小説・物語のカテゴリに入れる。(追記 2024年3月 カテゴリ タグ 変更)

  • やっぱりJミステリーは面白い!
    東野圭吾さん、阿津川辰海さん、最高だった\( ´ω` )/
    秋がまた楽しみだ♪

  • 豪華な作家陣によるミステリーのアンソロジー。
    全て50ページ前後なので、すきま時間にも読みやすそう。
    東野圭吾さんの「相続人を宿す女」が一番面白かった。

  • きらめく日本ミステリーの粋。
    今、読みたい執筆人が揃い立つ!
    6名の名手によるアンソロジー第3弾。

    余談だが、今をきらめく日本ミステリー・・・
    だからって、装画があまりに煌めき過ぎて目が痛かった。チカチカする〜

    さてさて、期待に胸弾ませながら読み進めた。
    個人的オススメは★マークの2作!


    ★「相続人を宿す女」・・・東野圭吾
    読み始めてすぐ「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」を思い出した。って、あれ?もしかして…まさかこの短編で再会できるとは♪
    後半からガラッと物語の毛色が変わる流れが面白かった。
    扱うテーマといい生き方まで考えさせる筋書きといい、短編でも流石の東野圭吾さんだった。

    「不必要不可欠な殺人」・・・結城真一郎
    遺された側の心理について考えさせられた。ただ事実を歪めてまで服役する必要があったのか…いつか事実に辿り着くであろう兄妹の複雑な境地を思うと疑問が残った。

    ★「拾った男」・・・阿津川辰海
    タクシーの車内という密室で繰り広げられる心理戦が臨場感があって面白い。結末の締め方は予想をいい具合に裏切ってくれた。短編でも双方の目線切替がスムーズに入っており、読み応えがあった。伏線回収もお見事!

    「ロイヤルロマンス(外伝)」・・・真梨幸子
    読み始めて数行でストーリーが読めてしまった。
    まさか素人が考える通りではないだろうと読み進めたが、裏切られる事なく、余りにも予想通り過ぎたので残念…

    「大きな手の悪魔」・・・白井智之
    イヤミスだった。別世界の洋画を観ているような想定のお話。最初から最後まで悪魔に心を売った様な人間が描かれ、描写が何ともエグい。読み進めるのを躊躇した。全てが貴美子の術中に嵌る過程にも無理がある。締め方も微妙…

    「老いた犬のように」・・・近藤史恵
    自分を客観的にみられない人って寂しいなぁと感じた。
    別れた妻との過去も自分の見方一つで180度変えてしまう愚かさ…なんとも哀れだった。

  • 今まで読んだことのない作家さんの作品にふれることもできたし、また、全く異なった雰囲気の作品ばかりでどの作品も楽しめました。
    特に白井智之さんの作品が面白かったです~。


  • 作家それぞれの個性豊かで
    特色あるミステリーが楽しめた一冊。

    東野圭吾 相続人を宿す女
    →最後の種明かしまで含めて、
     わくわくしながら楽しめた。
     後味よしのミステリが読みたい時には
     やっぱり鉄板の作家さん。
     
    結城真一郎 不必要不可欠な殺人
    →ミステリ色を多分に含んだ人間ドラマ。
     じんわりいい話。

    阿津川辰海 拾った男
    →大野探偵と美々香、興味の核心がズレる
     絶妙なコンビ。
     謎解きを楽しむ大野探偵は鋭くもあるけど、
     砕けてるところが味わい深い。

    真梨幸子 ロイヤルロマンス(外伝)
    →時事ネタに衆目要素も加わっている。
     随所に皮肉味が籠っているのにコミカル
     だからか嫌味に感じさせないところが凄い。
     小気味がいいことこの上ない。

    白井智之 大きな手の悪魔
    →肉体的に痛めつけられる苦痛よりも、
     精神的に追い詰められてじわじわと
     壊れていく様が残酷。
     救われないところが妙にあとを引く。

    近藤史恵 老いた犬のように
    →人は所詮、自分の見たいようにしか見ず、
     記憶したいようにしか覚えてない。
     傲慢さを感じつつ憐れみも感じさせされる。
     
     

     

  • 全編書き下ろしアンソロジーの第3弾。目当ての東野作品は、例によって〝神尾武史シリーズ〟の新作で、さすがの安定感。姪の真世とのコンビ復活がうれしい。他ではSFっぽい特殊設定が〝らしい〟白井智之さんの「大きな手の悪魔」が印象に残ったけれど、それ以外は物足りなさを感じた。

  • 2023年4月光文社文庫刊。シリーズ3作目。東野圭吾:相続人を宿す女、結城真一郎:不必要不可欠な殺人、阿津川辰海:拾った男、真梨幸子:ロイヤルロマンス(外伝)、白井智之:大きな手の悪魔、近藤史恵:老いた犬のように、の6つの書き下ろしミステリーアンソロジー。東野さんの「相続人を宿す女」での動機を明らかにする過程が面白く、アイデアに脱帽。あまりに凄いので他が霞む程です。元マジシャンの叔父と姪の話には別な長編もあるようで、そちらはどうなのかが気になりました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

東野圭吾の作品

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