正しい愛と理想の息子

著者 :
  • 光文社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912505

感想・レビュー・書評

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  • 詐欺師をしているハセと沖は、違法カジノをやっていた灰嶋に200万の借金がある。偽物の指輪を沖の可愛い顔で騙して売っていた2人だが、あるときその女に騙され、せっかく貯めた200万を根こそぎ持っていかれた。そして、灰嶋も早く借金を返すように言ってきた。2人は年寄りを騙して金をとることを思いつく。1人は駅前の地主で不労所得があるという爺さん。もう1人はなんと沖のと年老いた母親だった。2人は借金返済のため老人ホームへ紹介するという詐欺を働くことにするのだが…



    免許証も保険証も持っていないハセと何をやらせても鈍臭い沖。見捨てればいいものを沖に「ハセ、ハセ」と言われると「沖、沖」とかまってやりたくなる。それは、作中にもあったけどずっとみんなから疎まれて育ってきたハセを沖は認めてたからなんだよね。沖が言う通りに、ハセは確かにみんなから疎まれてるかもしれないけど、女から金をせびって生きてきた父親やお節介ババアとなった薬局のトクコもいる。境遇には恵まれなかったかもだけど、ハセのことを気にかけてくれる人はいるんだよね。


    ハセが騙そうとした典子さんだって、最後は「私もあなたを利用するから、あなたも私を利用すれば良い」って言ってくれたし。だけど、善さんのことが気がかりだ。善さんとの仲も典子さんと同じようになればいいなと願ってしまう。



    しかし、年老いた親が詐欺に引っかかるのが心配じゃなくて、世間体とか親が持ってる財産のほうが心配なんだろうというハセの言葉はかなり響いた…


    2020.6.6 読了

  • あるあるでもあるけど、まぁまぁ心に響く。

  • 2/3ページくらい読んだあたりで
    ドラマ化したら
    配役は誰がいいかなと考えてしまった。
    私的イメージでは、ハセは賀来賢人さんかなと
    思いました。

  • 読後感、思いのほか悪くない。

  • 正しい愛なんてない。

  • まったく知らなかった作家さんだが、表紙が気になり手に取った一冊。こういう出会いもあるのがうれしい。
    なかなかよかった。ドラマ化できそうな感じ。誰にやってもらおうかと配役を想像しながら読んだ。
    「無数の美しくない愛を抱えた人間が、ひしめきあうようにして生きている」
    読み終わって、あぁ、よかったなと思える本だった。
    他の作品も読もうと思う。

  • 32歳のハセと30歳の沖の悪党コンビ。詐欺師。
    タイトルからどんな話なんだろうと、読むまでは全く想像できなかった。

    悪党コンビなのに、どこかまぬけでどんくさい部分もあって憎めない二人でした。
    理想と現実は違う。
    高齢者になれば、介護が必要となったり、孤独を寂しく感じたり。
    介護をする子は負担を感じたり思い詰めたり。

    親が理想とする子、子が理想とする親、家族のあり方。親子、親、子、正しい愛なんてなくて、様々な形がある。
    悪はいけないけれど、人の生き方、あり方も様々な形があるんだということを感じた。

    サラサラ読めた。
    読み終わったあと、とてもだんだんジワジワ来ました。良かった。

  • ★3.5
    女性や老人を騙して生活するハセと沖。意図的に人を騙そうとする二人に嫌悪感はあるものの、詐欺には不向きなくらい抜けていて憎めない。逆に、今まで無理をして悪事に手を染めてきた感じ。それでも、少なからず被害者は存在するわけで、二人の更生と善一郎さんとの和解を願うばかり。薄幸な環境で育ったハセだけれど、異変を察知してくれる父親、お節介で時に鬱陶しいトクコ、互いを必要とし合える沖が居て、今の彼はそれなりに恵まれていると思う。それはそうと、改めて表紙を見ると、ハセのシャツがわたあめちゃん柄で笑ってしまった。

  • 誰かを騙そう…と思いつく時点で終わってるな、と私は思うけれど。でも、何かに気が付いて、正そうとするならば、それは何歳であってもいいとは思うので、これからの人生がほどほど真面目であるように…と思います。これではいけない、何かおかしい、と気づく事は簡単じゃないだろうし、やっぱり育ち方、親の愛情のかけ方で差が出るのは分かります。私も娘が間違ったとしても、必ず戻れるような子育てをしていきたい。

  • 架空の犬と嘘をつく猫に引き続き、べらぼうによかった、寺地さん…。寺地さんの世界観とメッセージが私に必要なものすぎる。

    「自分の家族って、一般的にみたら普通の範囲内だけど、なんだか自分にとっては居心地が悪かったな」って人はこの小説で救われると思う。少なくとも私はそう。タイミングもあるけど。
    今までがどんなに歪な家族関係だったとしても、「正しい愛」はこれからだって得られるし「理想の息子」にもなれる。だから大丈夫。って、信じてもいいって思えた。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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