正しい愛と理想の息子

著者 :
  • 光文社
3.58
  • (20)
  • (62)
  • (74)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 467
感想 : 75
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334912505

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • すべての愛は正しくない。

    こんなことを言い切ってしまう潔さがかっこいい。

    愛ゆえに起こす行動は正しいと勘違いしている。

    これまたかっこいい。
    今の時代にすごい問いかけをしている作品だと思う。

    タイトルからしてすごい。
    正しい愛と理想の息子。
    反吐が出そうな言葉の組み合わせで、すごいインパクトあるし、読んでみてなおさらこのタイトルがピッタリだと思う。

    正しい愛なんて存在しないし、理想の息子なんて勝手に思い込んでいるだけ。
    まずはそれを認めて、色眼鏡をはずして、クリアな視界で相手を見据えろ。
    そして、自分にできる方法で、できる範囲で寄り添え。

    わたしにはそう聞こえました。

  • ★3.5

    ハセ32歳、陰気な男。相棒の沖、30歳だけど可愛い。
    コンビを組む二人は違法カジノで働いていたが失敗ばかり。
    今度は偽宝石売りでも騙した女に騙され無一文に。
    切羽詰まったハセは商店街にたむろする老人たちを見て閃いた。これからは、年寄りだ。
    32歳と30歳。崖っぷち男二人。騙すのは、年寄りだ。
    さびしさは、利用できる。歪んだ愛を抱え、じたばたする悪党コンビ…。

    生まれついての仏頂面のハセ。
    水商売の母親と寸借詐欺を働いていた父親が偶然出会い
    気まぐれに子供をもうけた。
    母親は一歳になる前に出奔し、父親が子供は意外と役に立つかもしれないと
    思って育てた。
    その通り、ハセを利用して寸借詐欺をしたり、
    女にたかったお金が中学まで暮らしていた。
    誰にも心を許さず、好きでもない相手に嫌われようが何とも思わない。
    そんなハセが唯一大切に思ったのが、違法カジノで働いていた時に
    失敗ばかりを重ねる沖。
    ハセは沖に対して友情を超えた愛着を感じている。
    沖は教育者の父母の期待に全く応えられない勉強嫌い。
    そんな自分が嫌で家を飛び出していた。
    沖が自分の母親を騙そう…という言葉から二人の人生は変わっていく…。

    今迄の寺地さんの作品と少し違った感じの本でした。
    親は自分で選べないし、自暴自棄になる気持ちも解らなくはない。
    それぞれの家族でそれぞれの親子の形があります。
    けれど、その後どの道を選択するかで、
    人生はいくらでも変わっていく。変える事が出来る。

    それぞれが異なった「愛」という不確かなものを求めてきているのが伝わってきました。
    終盤に向かい徐々に寺地さんから紡がれる魔法のような言葉に温かく包まれました。

    正しい愛っていうのはどこにもないんですよね。

    • ひとしさん
      こんばんは!
      こちらのレビューとは関係ないんですが、『永遠についての証明』にいいねをしていただきありがとうございます!
      ただ、何かの手違...
      こんばんは!
      こちらのレビューとは関係ないんですが、『永遠についての証明』にいいねをしていただきありがとうございます!
      ただ、何かの手違いなのか、『読み終わった』にしていないのに、レビューがあがっていてビックリしましたσ(^_^;)
      読んでいるにしていても、レビューを書くとアップされちゃうんですかね?お恥ずかしい限りです(><)
      2019/02/02
    • しのさん
      こんばんは (*´ω`)
      コメントありがとうございます。
      そして、この本に興味を抱いて下さって本棚に登録して下さりありがとうございます(...
      こんばんは (*´ω`)
      コメントありがとうございます。
      そして、この本に興味を抱いて下さって本棚に登録して下さりありがとうございます(#^^#)
      「読み終わった」にしていないのに、レビューがあがっちゃうのですね。
      私は、いつもレビューを書くときに読み終わったにしていたので、そのタイミングを全く意識していなかったです(;'∀')
      全然お恥ずかしい限りではないですよ~。
      2019/02/03
  • 老人たちをカモにお金をむしりとるクズな男の話
    どんなに冷酷なやつだろう?と決めつけで読み始めたけど
    どこか抜けててワルになりきれてなく

    生き方の転換 できるか
    できるといいな
    人の縁て面白い…と感じたお話

  • 幼い頃に母親が出奔し、寸借詐欺を繰り返し果てはヒモになる無職の父親と暮らして成長したハセは、違法カジノで働いていた際に同僚の沖が作った借金200万円を返さねばならない。
    何をやらせてもヘマばかりの沖とふたり、詐欺をしようと奮闘するうちに、母親とは、親子とは、家族愛とは、老いとは、という疑問を抱えるようになる。

    決して楽しいだけの話ではないのに、読み終えた後、前向きな気持ちになる。

  • 全体的にふわっとした印象の小説。登場人物の多くそれぞれ異なった「愛」いう不確かなものを求めてるのが伝わってきた。登場人物達と境遇が似てるわけじゃないけど、何かを求めてしまう気持ちはすごく共感。

  • どの時点から人生がねじ曲がってしまったのか、考えていました。中身を知れば知るほど、悪とは言い難い2人。でも抜け出せない。
    だけれど彼等は知っている。人の心の痛みに涙する優しさと、寂しさとはどういう感情なのかを知っている。年寄りをターゲットに詐欺を働きながらも、確かな良心という人間にとって大事なものが見え隠れしていました。
    お金では買えないものの尊さを感じていました。寂しさを埋める温もりもそう。歳をとって、お金では買えないもの、ただ手を繋いでいてくれるもの、それだけが自分を支えてくれるような気がしたのです。
    人には様々な愛の形があり、それを正しい愛かそうでないかは、その人自身が決めるものなのだと感じました。
    毎日人知れず涙を流しているこの私でも、いつか年寄りになった時、名前で呼ばれるおばあちゃんで在りたいと思いました。いつまでも。そう思いながら、何年経っても強くしぶとく美しく咲き誇る桜の木や紅葉を思い浮かべていました。

  • ハセ32歳、陰気な男。相棒の沖、30歳だけど可愛い。二人は違法カジノで働くが失敗ばかり、今度は偽宝石売りでも女に騙され無一文に。切羽詰まったハセは閃いた。これからは年寄りだ。さびしさは、利用できると。注目の作家が紡ぐ、泣けるバディ小説。

全75件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

寺地はるなの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×