奇譚を売る店

著者 :
  • 光文社
3.09
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本棚登録 : 316
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334928896

感想・レビュー・書評

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  • 身に覚えのありすぎる「――また買ってしまった。」という呟きから始まる6篇の短編集。
    どれも妖しく、または怪しく書物の中へ誘ってくれる。

    時代がかった幻想怪奇の世界ではあるけれど、ネット検索やネットオークションが出てくるのがイマドキで、このギャップもいい味を醸している。
    6篇のなかでは、大昔の少年誌連載を書いた「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」が一番好き。
    結末が他のお話にくらべて悲劇的ではないので。

    カバーや扉の色合い、サイズ感、本文のフォントまで含めたすべての装丁が世界観にぴったりで、素晴らしい。絵は怖いけど。
    帯の「猫だって化けるのだ。/読まれることなく忘れられた書物が、化けないわけがない。」という惹句も好き。

    残念だったのは最終話。
    内容が残念なのではなくて、最終話だけ書き下ろしだともっと効果的だったのになと。惜しいッ!


    ・・・・・・・・・・・・・
    すっかりレビューUPしているものと思っていたら下書きフォルダに入れっぱなしでした。
    ブク友さまのレビューを見て、気付いた次第(汗)追いかけてUP♪

    • 九月猫さん
      まっき~♪ちゃん、こんばんは☆

      コメントありがとう~!
      いやいや、こちらのほうこそ最近たくさん教えてもらってばかりで
      感謝してます...
      まっき~♪ちゃん、こんばんは☆

      コメントありがとう~!
      いやいや、こちらのほうこそ最近たくさん教えてもらってばかりで
      感謝してます♪ありがとうね(*´▽`*)
      あ、そうそう!恒川さんの本、私の利用する館だけ貸し出し中だった!
      複数館に蔵書があって、他の館は全部空いてるのに~(´・ω・`)

      はっ、お話がずれてる(笑)
      最後、私もあれでいいと思ったよ。怖かったけど(^^;)
      巻末の初出をチェックしたときに「最終話まで連載なのかぁ。書下ろしだと、
      もっと「今」読んでいる自分に重なりそうで怖いのに~」って思ったんだよ。
      単行本でまとめて初読の分には効果はあんまりないのかもしれないけど・・・

      追っかけUPしたら、まきちゃんと仲良くレビューが並ぶかな♪と思って
      UPしたんだけど、考えてみたら読了日順に並ぶんだった・・・orz
      2014/06/09
    • 九月猫さん
      まっき~♪ちゃん、こんばんは♪

      ぶあつい本に立ち向かってる?
      まきちゃん、スランプって言ってからでも厚い本や重い本を
      読んでるから...
      まっき~♪ちゃん、こんばんは♪

      ぶあつい本に立ち向かってる?
      まきちゃん、スランプって言ってからでも厚い本や重い本を
      読んでるからすごいなぁ。
      「蛍の森」は新刊情報出たときに気になったんだけど、私は「ムリかも(T_T)」って
      パスしたんだ。
      まきちゃんのレビュー読んで、ああやっぱり重そうだな・・・って。
      お疲れさまでしたーm(__)m

      あ、この本のレビューページ確かめたら、並んでたよ!
      ブクログはレビュー投稿順に並ぶんだね。忘れてた(^^;)
      読メは本の感想ページだと、読了日順に並ぶからすっかりこちらもそうだと
      思ってたよ~!お騒がせしました(^^ゞ
      ぶたれるのは私のほうだわーーー(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

      ということで、狙い通り(?)仲良くレビューが並びました( *´艸`)うれしい♪
      2014/06/11
  • 目次を見て、
    『帝都脳病院入院案内』
    『這い寄る影』
    『こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻』
    『青髭城殺人事件 映画化関係綴』
    『時の劇場・前後篇』
    そしてタイトルの『奇譚を売る店』

    もうこれは読んでみたい!と思わせるタイトル。
    そして目論みどおり惑わされ、最後の「奇譚を売る店」でやられました。
    不思議な話満載です。

  • さすがの芦部先生!ホラーミステリーです。
    「また、買ってしまった」古書店から一歩外へ出るときの一言。

    短編集を装いながら旋律の終焉へ。
    とは、大げさかもしれませんが、昭和の香りがまた良かった。

  • ‪「———また買ってしまった。」‬
    この台詞に共感を覚えて和みながら読み始めたが、読後は背後を振り返らずにはいられなかった。5話までは他人事だったのに、最後に急に当事者になってしまったときのヒヤリとした感覚が残ります。
    ‪これは本好きな私の物語であり、同時に、本好きなあなたの物語でもある。
    書店でこの本に惹かれたときから既に始まっていた。気付いたときにはもう戻れないところまで来ている。

  • 小説家の人物が主人公の短編でしたが、全体的に怖いと言うより不思議な感じだったが最後に急に現実的な感じになったことで怖さを感じました。

  • 作家を主人公に展開される古書絡みのミステリー短編連作。
    登場人物の設定が詳しく記されないことで、最初の二話くらいは「夢オチ?」という疑問を持ちながら読むことになった。主人公が全員作家という職業で統一されている所為もある。
    途中で、それぞれ違う作家が主人公なんだろうと気付いても、やはり消えない、夢の中のような雰囲気。夢のような異世のような、古書店が異世界への入口になっている感覚。
    一話の長さが短すぎず長すぎず、なので、例え興味をそそられない話が含まれていても読み進められるのも良いところ。好きな雰囲気の話では、逆に「良いところで切られる感覚」が夢に近いのかもしれないとも思える。
    個人的に残念だったのは、表題作…というか、この短編連作の「オチ」に当たる『奇譚を売る店』だけが、現実感を最大に纏ってでいきなり始まってしまうこと。今まで味わっていた不気味な異世界感がスパッと消えてしまった気がした。
    結局全て「主人公は死に際に幻想に囚われ」、古書店の店主による「理不尽極まりない逆恨み殺害」という、……個人的には嬉しくないオチ。個人的には。
    ストーリーとは直接関係ないものの、「──また買ってしまった」という出だしは癖になるものがあって、次の話のページをめくる瞬間に、口が勝手にそう呟くほどだった。主人公が古書を買う時の心情についても、思わず「わかるわかる」とい言って笑ってしまう(笑えないけれども)もので、その辺も好みだった。
    ──だけに、やっぱりオチの、言いようのない「覚める」感覚が好きではないかもしれない。「覚めた」状態で見るメタ発言は、ちょっと白けるものがあった。私には。

  • 全員同じ、小説家の主人公かと思いきや、全員別人、しかも既に殺されていて、殺したのは小説を書いた本人で、古本屋の店主!びっくりの仕掛けだった。精神病院のパンフレット、企画段階で中止になった映画の資料、前後編の大河ロマン小説(しかも読む人の歴史が綴られている)、自作のチープな推理小説集に、少年漫画雑誌など、出てくる古書は様々。短編そのものの面白さはそれなりだけど、最後の表題作でまんまと持って行かれた。一種メタ的というか、最後の話を読んでいる内に現実と小説の区別が曖昧になった。古本とそれに纏わる話かと思わせておいて、そういうことね…。これは最後まで読むべき本だ。'16,4,10 図書館

  • 商店街にぽつんとあるような個人経営の古書店は、思わず足を踏み入れたくなる不思議な空間です。そんな古書店で手に入れた本に魅入られ、取り込まれる「私」たちの短編集。
    どの話も、じわじわと異空間に迷い込んでいく感じが恐ろしい。装丁や挿絵と相俟ってレトロな雰囲気が好き。古本屋で背表紙を眺めてるときのわくわく感や、店を出た後の「また買ってしまった」にすごく共感を覚える。古書店に置いてある古い書物の中にはこの本に出てくるような魔力がある本がまぎれてても不思議じゃない気もする。
    お気に入りは「帝都脳病院入院案内」
    なんとなくタイトルとか装丁に惹かれて図書館で手に取ったのですが、わたしもこの本に魅入られたということだろうか。精々暗闇と背後には注意しようと思います。

  • 古書にまつわる怪奇幻想譚短編6編。最初の5編を不条理に終わらせておき、最後の1編でオチを付けるという構成はあざとすぎて興ざめでした。最後まで不条理を貫いて欲しかった。

  • 「また買ってしまった。」と男が古本屋から出てくる所から始まる6つの話。
    ミステリーだと思って借りたら、男がだんだん本の世界に取り込まれていく感じはホラーだった。
    表紙や各話の扉絵の不安を誘う感じもいいし、
    活字も凝っていていいですね。

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著者プロフィール

一九五八年大阪市生まれ。同志社大学法学部卒業。
一九八六年、「異類五種」が第2回幻想文学新人賞に佳作入選。
一九九〇年、『殺人喜劇の13人』で第1回鮎川哲也賞受賞。
代表的探偵「森江春策」シリーズを中心に、その作風はSF、歴史、法廷もの、冒険、幻想、パスティーシュなど非常に多岐にわたる。主な作品に『十三番目の陪審員』、『グラン・ギニョール城』、『紅楼夢の殺人』、『綺想宮殺人事件』など多数。近著に『大鞠家殺人事件』(第75回日本推理作家協会賞・長編および連作短編集部門、ならびに第22回本格ミステリ大賞・小説部門受賞)。

「2022年 『森江春策の災難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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