昔はおれと同い年だった田中さんとの友情 (ブルーバトンブックス)

著者 :
  • 小峰書店
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本棚登録 : 317
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784338308052

作品紹介・あらすじ

拓人は、仲間の宇太佳、忍といっしょにスケボーするのが大好きな小学6年の男子。
ところが、いつも遊んでいた公園がスケボー禁止になり途方に暮れることに。
あきらめきれない三人は、スケボーができるとっておきの場所を見つける。
そして、そこで出会った田中さんというおじいさんとの交流がはじまるのだが……。

感想・レビュー・書評

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  • たまたま手に取った児童書。
    お年寄りと小学生という組み合わせの妙に惹かれて読み始めると続きが気になって止まらなくなった。

    穏やかで優しい田中さんが思春期男子のモヤモヤした心をほっこりさせてくれる。
    男の子たちが協力して身の回りのお手伝いをする。
    そんな優しい物語。

    喜ぶ田中さんの描写に私もホロリときました。

  • スケボーが好きな小学生男子3人組。スケボーで遊んでいる最中、田中さんに怪我をさせてしまい、治るまで生活のお手伝いをすることになり、、。

    理不尽な大人が多い中、どんなことも否定せず受け入れて話を聞いてくれる田中さん。自分と同い年のとき戦争で家族を失い、天涯孤独となった田中さん。
    そんな田中さんとの関わりをきっかけとして成長していく少年の物語。

    いい話だけど、そこまで刺さらなかった。

  • 良い読後感。

  • 「拓人は、仲間の宇太佳、忍といっしょにスケボーするのが大好きな小学6年の男子。ところが、いつも遊んでいた公園がスケボー禁止になり途方に暮れることに。
    あきらめきれない三人は、スケボーができるとっておきの場所を見つける。そして、そこで出会った田中さんというおじいさんとの交流がはじまるのだが……。」

    小6,3人組、おじいさんとの出会いと交流、少し戦争の話 ということで『夏の庭』やんと思いながら読みはじめてしまった。のだけれど、田中おじいさんもよかったです。少年と老人との出会いと交流の話って、良いし、うらやましいな。
    ・スケボーはほんとやれる場所ないよね。家の近所でやられたら私も多分嫌やし。出来ないなら売るなよな!って叫ぶ三人のモヤモヤに同情した。若者の声を聞いて大人が場所づくりをすることって、大切で必要。
    ・第二次世界大戦終戦日に、熊谷をB29が攻撃した。余った爆弾を捨てていき、23人が亡くなった。→本当の話かな。各地であったのだろうか。調べてみよう。

    「田中さんといると、ちょっと前の自分に戻れるような気がするのだった。朝起きて学校に行って、友だちと遊んでご飯を食べて寝る。そんな当たり前のことを、何も考えずに楽しめた時、素直で明るくていい子だったおれ。今のおれは、少しややこしい。イライラしたり、後悔したり、ムカついたり。物事はそう簡単ではないのだということに気付いてしまった。何より、自分が自分をもてあましていて面倒くさいんだ。本当に。田中さんといると、まだまだ自分も捨てたものじゃないかも、と思える。」p71

  • 本屋でたまたま手にとって、家に帰ってから無我夢中であっというまに読了。こんな良い本、久しぶりに出会いました。

    ある出来事がきっかけとなり、主人公の拓人くん、忍くん、宇太佳くんが田中さんと交流していく物語なのですが、全体を通して優しい雰囲気が流れているのに、どこか切ない、胸がぎゅっとしてしまうのは、私が四十路に差し掛かっているからかもしれません(読みなが大泣きしました汗)
    小学校6年生というちょうど思春期の入口で、本人達もまだ持て余してしまうような心の動きや、男女差のイライラ、また大人の身勝手な言動など、大人の私が読んでもその気持ちにとても共感してしまいました。

    高学年の読書感想文用として本屋に並んでいましたが、大人が読んでも読みごたえはあります。お子さんと一緒に読むのも良いかと思います。とりあえず読書感想文は横に置いておいて、ぜひ読んでみて欲しい一冊です。

  • 私が読んでいる子供新聞の物語コーナーに載っていて、手元に本として残しておきたかったので母が買ってくれた。
    エピソードは紹介するとすごいネタバレになるので紹介しないけれど、絶対に絶対に絶対に読んでほしい。面白いし、時にはめっちゃムカつく野郎が出てくるし、時にはめっちゃ吹き出す出来事もある。だからこそ読む手がゆっくりになる。普段は物語の細かいところ普通に余裕で吹っ飛ばしていく私だけど、今回は細かいところまでじっくり読みたいと思えた。
    素敵な物語に出会えました。

  • 小学六年生の拓人、忍、宇太佳の3人組はスケボーの出来る場所を求めて神社前の道路に来た。そこで神社の管理人をしている田中さんに怪我をさせる羽目になる。骨折した田中さんを手伝うことになった三人は田中さんとの触れ合いのなかで様々な事を知る。そして田中さんの戦争体験を聞いて、
    学校で講演をしてもらう事を企画する。
    小学生と老人との友情物語。なんだかモヤモヤしていた日常の中で、田中さんに色々話しを聞いてもらう事ですっきりする拓人の成長もみられる。
    穏やかで人の良い田中さんがいいなぁ。
    子供達に読んで欲しい作品。

  • 6年生の男の子達と神社の管理人さんとの交流物語。
    神社の管理人の田中さんの人生はちょっと寂しい。
    でも拓人達が現れたことできっと様々な色を持ったのだろう。
    今までだって慎ましく、真面目に生きてきたのだろうけど、子ども達との交流は楽しかったと思う。
    拓人の兄の言葉、なるほどだ。わかる。
    こんな6年生、いいなあ。

  • スケボー好き小6男子3人組と、神社の管理人として一人暮らしをしている田中さんとの交流。

    姉妹で育った私にはまぶしいような羨ましいような気もしましたが、6年生という子どもでも大人でもない微妙な時期の友達関係、家族関係が、さらっと書かれていて気持ち良かったです。

    戦争体験の話、お年寄りの話に弱い私は、やっぱり途中から目をうるませながら読みましたが、ラストは予想外でもあり、確かに現実はこうだとも思わされました。

    「『…大人って、いろんなことを知っていて、きちんとしてて、間違えたことなんて言わないって思ってたけど、ぜんぜん違うんだな』
    宇太佳が言う。その通りだとおれも思った。親の言うことを聞け、先生の言う通りにしろ、とかよく言われるけど、それって本当なのか? それは絶対に正しくて、心から信じていいことなんだろうか。田中さんの悪口を言う大人になんて、絶対に従いたくない。」

    そう、大人が絶対に正しいってことなんてない。
    自分で善悪を考えて行動できるようにならなければ。

    高学年におすすめ。



  • 「今のおれは、少しややこしい。」11才の拓人は、2、3年前の自分とちがって、イライラしたり、後悔したり、自分を持て余したりするようになった。でも、田中さんといると、素直だった自分に戻れるような気がして……。85才の田中さんと、11才の拓人に芽生える友情に心安まるほのぼのとしたお話。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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