ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
3.99
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • 分厚いが一気読み。
    現実では許されないことなのだろうけど、ナオミとカナコを思い切り応援してしまった。単純に面白かった!

  • 大手百貨店の外商部で働く直美は大学時代からの親友加奈子が夫から暴力を受けている事を知る。
    腫れ上がった顔、夫のDVから逃れられない加奈子を救うため、二人で加奈子の夫を排除する事を決める。
    夫とそっくりな中国人を発見し、少し認知症気味の裕福な未亡人と出会ったことから一気に計画は動き出す。
    用意周到、万全に思えた犯罪も、夫の妹の執念深い追求により徐々に綻びが見えてくる。
    理由が理由だけに二人の逃走を応援しながら読んだ。
    映画、ドラマにするとかなり面白い作品なのではないか。

  • 百貨店の外商部に勤めるナオミが、夫のDVに苦しむカナコを救うために、二人で夫を殺害する。
    最後はどうなるのかが気になって、彼女たちを応援しながら先へ先へと一気に読んだけれど…。あまりにも安易な行動にはびっくり。特に、マンションや銀行の防犯カメラを意識していなかったというのは、衝動的な殺人ならともかく、綿密な計画を立てて予行演習までしたにしては、ずいぶんお粗末なのでは。
    こういう設定であるなら、徹底的に闇を描いてさらにパワフルな桐野夏生のほうが一枚上かな。

  • ナオミの章
    親友の加奈子が、夫からDvを受けていることを知り
    憤った直美が加奈子と共謀して夫を殺害するまで。

    カナコの章
    完全犯罪のつもりが、綻びが出始め
    夫の同僚や義妹・陽子に執拗に追い詰められ、逃亡するまで。

    久々にページをめくる手が止まらなかった。
    最後の1ページまでハラハラ・ドキドキした。

  • 「ページをめくる手が止まらない」感覚を味わうのは、実に久しぶりだった。しかもその手が、ページを追うごとにどんどん冷たくなっていく。この感覚は初めてだった。

    直美と加奈子は大学の同級生で、今もたまに連絡を取り合う仲。ある時、加奈子が夫のDVに身も心も傷ついていることを直美は知る。一向に止まないDVを見かねた直美は、ついに加奈子に夫殺しを持ちかける。
    偶然知り合った、夫にそっくりな中国人を買収。彼を中国に脱出させる=夫の失踪に見せかけるという計画は細部も含めて完璧なように思えた。しかし、そこはしょせんド素人2人の犯罪。殺害後、さまざまな綻びが生じてきてしまう。執拗に兄の死の真相を追求する義妹をかわし、2人はともに生きようと誓った未来に踏み出すことができるのか……?
    計画を話し合う段階から、もう自分がそれに加わっているような感覚。綻びが現れるたびに自分もドキリとするし、ラストの逃亡劇では息苦しさまで覚えてしまっていた。

    後半150ページを一気に駆け抜け、最後の1行を読み終えた瞬間、思わずソファにぐったりと身を沈めてしまった。文句のつけようのない大傑作!

  •  厚さと重そうな内容に後回しにしていたのだが、奥田英朗さんの新刊はとても面白かった。後半はコミカルですらあった。と言っては、必死の直美と加奈子に悪いか。

     百貨店の外商部に勤務する直美は、学生時代からの友人の加奈子が、夫からの酷いDVに悩まされているのを知る。警察への通報を勧めるが、夫を恐れて首を縦に振らない。しかし、このままではいずれ殺される。かくなる上は…。

     物語は単純明快。2人でDV夫の殺害を決意する。もちろん、捕まる気はない。失踪を装い、知らぬ存ぜぬを貫く。短絡的といえば短絡的だが、様々な要因が成功を確信させ、背中を押した。大丈夫、計画に穴はないはず。ところが…。

     友人とはいえ、直美がどうしてそこまでするのかと思わなくもないが、ある人物との出会いが大きいだろう。仕事上のトラブルで、最初は嫌々相対していた。気がつけば、生き馬の目を抜く世界で生きてきた者の心意気に、すっかり心酔していた。

     そして、何より計画の鍵となるのは…。この偶然がなければ、こんな計画を思いつかなかっただろう。殺害そのものは簡単だ。本番はこれから。警察が失踪人捜索に熱心でないのは計算済み。夫の勤務先や親族を、どうやり過ごすか。

     いくらDV夫とはいえ、母からすればかわいい息子である。はいそうですかと納得するわけがない。対照的に、さっさと収束させたい勤務先。しかしここにも、彼の身を案じ、簡単に引き下がらない人物がいた。2人は徐々に、甘さを思い知らされる。

     確実に包囲網が狭まり、2人が追い込まれていく描写に、読むペースがどんどん上がる。ああ、こんなに楽しいなら、早く読むべきだった。完全犯罪の前提が崩れると、2人は丸裸も同然。現代社会の監視の目から逃れるのは、容易ではない。

     冷静に考えれば、最初から穴だらけの計画だったわけである。いよいよ万事休すという局面で、むしろ加奈子の方が肝が据わり、主導した直美の方が弱気なのは興味深い。最後のページまで執念と執念がぶつかり合う展開は、いっそ清々しい。

  • 読みながらドキドキしました。直美と加奈子は普通なら犯罪者なのに、どうしても彼女たちに感情移入してしまい、最後までドキドキしながら読みました。
    ただ、ナオミの章とカナコの章とで別れていますが、物語は一人称で進んでるわけでもないので、あまりその役割は果たしていなかったかと。
    ですが、その点をふまえても、★5つの小説でした!

  • DV夫は許せないけど、この展開は……。
    逃げる道を選ぶな。自分がどうにかしなければと思い出すとこの結末に至ってしまうもの。
    朱美さんの図々しさが欲しい。

  • 最終行読み終えて、キャー!って声にでちゃった。
    あぶなっかしい2人に、途中イライラしてしまったけれど、そういう風にできていたんだ!やられた!(嬉)
    完璧な犯罪じゃない、犯罪のあとの魂のありようがテーマ、爽快。

  • 2016年 フジテレビでドラマ化。ドラマもとても面白かった。そして原作も同じように面白い。

    世の中には殺さなければならない相手がいるということ、そして親友が親身になって共犯になってくれたこと、その2つのことが、まっとうに生きてきた二人の女性たちを犯罪者へと大きく変えていく。

    女の友情なんて成り立たない‥昔からそう言われてきた。でも直美と加奈子は違う。まるで侍の世界のように相手を信じ、裏切らない。

    二人がやったことは決して許されないことなのに、警察が迫ってくると「逃げて!」と祈らずにはないいられなかった。

    登場人物の中で朱美社長という中国人がいる。影の主役といえる。ドラマでも原作でも彼女の言葉と人柄が強く印象に残っている。

    『日本人は言いたいことを我慢する 。それはとても良くないのことです。 中国では黙っていたら、やられる側のままです 。どうして日本の女の人はそんなにおとなしいのことですか?〜中略〜そんな男に生きている価値はない。殺されても文句は言えません』

    『(中国ではやられたらやり返す)自分でできなければ親兄弟が代わりに仕返しします。当たり前のことです。こういう時に助けなくてどうして家族ですか。 家族がいなければ近くの友達が助けます』

    この言葉が親友の直美の背中を押したのだろう。強くならなければやられたままだ。直美と加奈子が犯した罪。それはほとんどが 情状酌量の余地があるものだ。自首すれば刑は軽くなる。

    緊迫感のあるスリリングな展開の中で結末を迎える。結末をどう捉えるか 読み手に委ねられる。

  • ドキドキハラハラがすごかった…
    サクサク読めたけれど、ちょっと長かったかなぁ…

  • しっかりと準備した殺人は調べられるとあっけなくバレるような内容で、二人に不利な証拠が挙がる度に二人のドキドキがこちらににも伝わるようだった。女同士の友情は時にはかないものだけど、この2人の友情はあやうさを見せる事がない。逃げきって欲しいと思ってしまった。

  • 図書館で見かけて借り出し、久しぶりに一気読みした小説。殺人を犯す側に感情移入させ、犯行後も追及から逃げ切れることを願いながらページの先を急いで読ませる。奥田英朗の物語術に感服した。

  • I hate domestic violence the most

  • すっごいドキドキした!
    絶対に捕まって欲しくなくて、
    続きが気になって次の日には持ち越せない。
    1日で読み終わりました

  • 普通でした

  • 2015/7/15スピード感あって面白い。2日間で読んでしまった。ラストも良かった。奥田英朗さんの作品の中でも好きな作品。★5

  • 面白かったー!
    本読んでハラハラしたの久しぶり。ところどころ突っ込みどころあるけど。これからの生涯を上海で生きていくのは嫌だなあと。

  • 久しぶりに奥田英朗の小説読みました!
    ドラマにもなったそうですね〜
    とにかく面白かったです(^ ^)
    後半はハラハラドキドキでした!

  • ドラマのあることさえ、気付かなかったのですがそういえばコレ、話題になってた…みたいなノリで読み始めたらぐいぐい。

    え、ラストはあれでいいのですか?
    ドラマ的にはいいのでしょうね。

    だって、殺人じゃなくて「削除」なんですものね。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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