ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
3.99
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本棚登録 : 2687
感想 : 463
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  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • ハラハラドキドキ

    凶悪犯罪者なのに読み進むにつれて何故か応援したくなる感覚になりました。
    弱い面が目立つかなこが任意同行されてから、人が変わった様に強くなっていく様が、もしかしたらどんでん返しのハッピーエンドもあるのでは、と淡い期待感を持たせてくれたのもあり、最後の最後までハラハラドキドキでとても楽しめました。

    余談ですが
    重箱の隅をつつく様な疑念は捨てて読む事をお勧めします。

  • 親友と夫を殺す話

    義実家の人々が憎たらしくて
    殺人犯サイドの肩を持ちたくなる
    夫を排除した罪悪感は微塵もなく
    それが読後の爽快感に繋がっている
    冷静な状態で練った計画ではないから脇が甘いのが少し心配になったけど最後の小姑との鬼ごっこはハラハラドキドキして一気に読了!面白かった!

  • 大1 ◎

  • 初奥田英朗作品。

    DV夫を殺す完全犯罪。
    読み終わっても、しばらく胸がドキドキしたままでした。自分も一緒に追い詰められたような緊張感や焦燥感がこみ上げてくる。そして、上海へ逃げおおせることを祈っていた。
    そして彼女らの唯一の救いは、DV夫を殺したことへの後悔や恐れがないことです。「心の中に避難場所を作れるようになった」これは、多重人格に結びつく世界(加奈子の歳ではそこまでいかないが)に違いない。そこまで追い込まれていることを、DV夫は理解できない。これは何があっても許されていいわけがない。精神的に支配され、逃げることもできず、黙ったままに過ごす日々。自分を失うことでしか耐えられない世界に。

    二人が追い詰められていく展開がすごい。「わたしにも確固たる意志がある訳じゃない。でも、何か行動しないと、辛くて、辛くて」「自分でも説明がつかない。でも、主な理由はあんたが無抵抗だからだよ。」の直美の科白が私たちの気持ちに木霊する。見ているだけで辛い世界が。そして抜け出せない世界が。

    犯罪計画は、偶然とラッキーでうまくいったようなものだが、その過程で、加奈子がどんどん強くなっていくところは見どころです。自分(直美、お腹の中の子どもも含め)の生存がかかっているからでしょうか。自分を取り戻す選択に、自分をかけたからでしょうか。
    そして、きっと、上海でも(ビザも何もなくても)二人ならやってゆける。そう信じれるエンディングでした。

  • 大学同級生の2人が殺人を犯す。完全犯罪はなりたつのか、と言った切迫感のあるストーリーが軽妙に、しかしスリリングに展開して行く。いいよーいっちゃえーみたいに応援したくなるやら、バレたらどうするのと心配したり、なかなか楽しかった。ありそうで、あまりない軽いけど本格ミステリ。

  • P212
    女にとって車道は弱肉強食の世界に見えた。車を運転したがらない女が多いのは、そこが男社会で、思いやりの気持ちがほとんどないからだ。少しもたついたくらいですぐにクラクションを鳴らす。女が運転していると見ると、露骨に顔をしかめる。きっと大きな鉄の箱を操ることで、男たちの頭の中に全能感でも湧いてくるのだろう。思い返せば自分の父も、ハンドルを握っているときは、ほかの車に対して「この下手くそが」としょっちゅう毒づいていた。これからそんな世界に身を投じるのかと思うと、直美は心底憂鬱になった。

  • 前半ナオミ編、後半カナコ編。
    DVの夫を完全犯罪で「排除」した2人だが、全然完全犯罪じゃなかった。著者の初期の名作「最悪」のワクワク感がよみがえるような名作。

  • 久しぶりに読書の波が来たけど、久しぶりすぎて何から読めばいいか…と思ったときに目に留まった作品がこれでした。
    奥田作品といえば伊良部シリーズの印象だったので軽い気持ちで読み始めたら、DV旦那の殺害からの急展開で、後半はハラハラしながら一気に読みすすめました。

    殺人が最良の選択とはどうしても思えないけど、最後は応援してしまっていました。

  • 続きが気になってぐいぐい読み進めてしまう本。
    DVについて昔調べていたので興味を持った。
    前半、直美の章で出てくる外商の仕事内容も個人的に興味深かった。

  • DV男を排除する手に汗握る話。逃亡のあたりなんてもう。
    朱美と直美のやり取りは痛快だったなあ。
    陽子、もうね。
    ナオミがカナコの被害に執着しすぎるところに理由が欲しかった。

  • めちゃくちゃ面白い。
    なんとなく吉田修一と同じカテゴリーなのだが、奥田の方が会話とテンポ、人物キャラの細かさは秀でているようだ。ページは圧倒的に軽く、気づかぬうちに畳み掛けられている。それにしても穴だらけのいわば「不完全犯罪」がテーマであって、ここまで犯人サイドにエンパシーを終始向けさせるものは珍しい。二部構成にツイストを仕掛けると予想したがそれもなし。
    このように展開も含め主人公たちと翻弄されることこそ醍醐味にしてくれている。
    途中からのサスペンスはジェットコースター。強くも賢くもない女性たちへの応援が最後までやめることができない。

  • 正反対の性格、全く違う生活を送る友人同士
    親友がDVにあっていたら自分なら何が出来るのか
    仕事でも困難に直面し、親友がDVにあう、秘密が暴かれそうになる
    頭がオーバーヒートしそうな局面で、意外に冷静になる2人
    最後までドキドキしながら読みました。

  • 奥田英朗さんは平均打率が高く、基本詰まらない本が無いイメージです。本作もスリリングな展開で、犯罪を犯したはずの2人を応援しながら読んでいるとあっという間に読み終わります。まずDV男が大っ嫌いなので殺害して頂けて非常にすっきり。そしてその後は予想通り夫の足取りを追う警察や家族との手に汗握るやり取りも熱いです。
    最初はいけ好かないと思っていたキャラクターが、重要な味方になる展開も非常に楽しいです。
    一つ残念なのは都合良すぎる展開が続き後半の息切れが感じられる所です。勢いは良いんですよ勢いは。エンターテイメントはリズムが大事ですから、十分に及第点だと思います。名作映画テルマ&ルイーズを思い出しました。

  • ミステリ読みとしては、最初から’なんて杜撰な!!’としか思えません。あれもこれもとりあえず偶然が作用しただけ。でも実際の犯罪なんてそんなもんなのかもしれないとも思ったり。DV夫は絶対に許せないけれど、逃げるための選択が排除というのにはそもそも共感できないし女のこういう友情もちょっと理解し難い。なのにふと我に返るといつの間にか二人が逃げ切れるようにドキドキしながら祈り読み続けている自分がいました。これは作家さんの力なんでしょうね。ドラマも見ましたがこちらの方が断然好みです。

  • DV夫の暴力に逆らえない加奈子。正義感の強い親友、直美は離婚を勧めるが、復讐される事を恐れて離婚に踏み切れない。となれば夫を排除するしかない。二人で用意周到の殺害計画を練るが…。

    前半、ナオミの章は犯行に及ぶまでで、まあ何とか平静で居られた。ところが、後半のカナコの章は、計画が徐々に綻び、二人がジワジワと追い詰められていく展開で、もう読んでて心臓バクバク。ストーリーにはグイグイ引き込まれたけど、こういう展開は苦手。だいいち体に悪い気がする。

  • ★ページは進む★前半はご都合主義のストーリーだなと思っていたが、後半で追いつめられるための伏線だったことがよく分かる。一気に読めるし、爽快感もある。が、著者のほかの小説と比べるとするっと読めるだけのように感じた。動機のためか。
     そういえばこれはドラマになったんだな。ドラマにするには中国人のキャラも立っていて確かにいいかも。見てはないけれど。

  • 2016年にドラマ化された奥田英朗の原作。

    直美(ドラマでは広末涼子)はデパート外商部のキャリアウーマン。親友の加奈子(内田有紀)はDVに悩む専業主婦。

    ついには共謀して夫殺害し、夫そっくりの不法滞在者の替え玉と、認知症の顧客を使った横領のトリックを仕掛ける。

    しかし夫の妹によりトリックは徐々に崩されていく。果たして2人は逃げきれるのか?

    ドラマと小説ではラストが異なるので、2度楽しめます!

  • かなり出来が悪い

  • 面白かった。

  • 女性の親友同士の逃避行。

    ・ナオミの章
    ・カナコの章

    百貨店の外商部に勤めるナオミは、大学からの親友であるカナコが夫からのDVで悩んでいることを知る。

    ナオミは取引先の強引且つパワフルな中国人の女性経営者に感化され、カナコの夫を殺害することを計画し、カナコとともに実行する。

    狭まる警察や義妹からの包囲網。

    つかまることを恐れ、嘘を重ねていく二人だが、カナコは覚醒していく。

    2人の運命は!?


    警察小説として読んでは駄目です。

    女の特にカナコの覚醒は目を見張るものがありました。

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

奥田英朗の作品

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