ナオミとカナコ

著者 :
  • 幻冬舎
3.99
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本棚登録 : 2310
レビュー : 427
  • Amazon.co.jp ・本 (438ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344026728

感想・レビュー・書評

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  • 待ち望んだ長編、めちゃくちゃ面白かった!
    完全犯罪を目論んだつもりが、徐々にほころびが見え始め、
    義妹にじわりじわりと追いつめられるところでは、
    もう音が聞こえるくらい心臓がドキドキ。
    読みながら「あかん、そんなん危ないって!」と心で叫ぶ私は
    さながら3人目の共犯者。

    この話のキーを握るのは、李社長と替え玉の林、二人の中国人だ。
    平気で嘘をつき証拠が無ければシラをきり通し、
    でもいったん家族(仲間)と認めると厚情で裏切らない彼ら。
    日本人には思いもよらない行動をとる彼らに振り回される直美と加奈子。
    中国と日本の国民性の違いを上手く利用し、組み立てられたプロットはお見事。
    中国人の逞しさを見習い、どんどん強くなっていく二人の肝の据わり具合がいい。

    ラストの空港までの逃走劇は、最後の1行を読み終えるまで緊張の糸が緩まず、
    ドキドキを静めるため深呼吸などしながら読み終えたのでした。
    まさに極上のエンタメ小説。やっぱり奥田作品にハズレなしっ!!

  • 面白かった~!
    ヒヤヒヤしながらも一気読みです。

    始まりは老舗デパートの外商で働く直美のお話。
    もうね、これだけでも十分面白いです。
    そして、エリート銀行マンの夫と幸福な生活を送っているかに見えた加奈子。
    二人のお仕事と友情小説かと思いきや、まさかのDV夫の”排除”計画。

    ミステリーや警察小説をある程度読んでいると、
    二人の計画と行動の細部が気になって仕方がなくて…。
    「えっ、ほんとに殺しちゃうの?」
    「それ、まずいよ!だめだってば~~」
    とほぼ共犯者の気分でしたね。

    犯罪なんかとは縁のない普通の人生を送ってきた直美と加奈子。
    そんな二人がいとも簡単に殺人に手を染めて、どんどん落ちていく姿は、
    まるでジェットコースターに乗っているかのようでした。
    最後は李社長が一番まともな人間に思えてきたりして…。

    いつもなら、これはちょっと~とかあれこれ考えちゃうんですが、
    (加奈子の赤ちゃんの事とかね…)
    でも、まあいいかって思えるくらい面白かったです。

    • けいたんさん
      こんにちは(^-^)/

      ナオミとカナコ、読み終わったよ〜♪
      言われた通りサクサク読めたよ。

      私もあれこれ考えてもやもやしたり...
      こんにちは(^-^)/

      ナオミとカナコ、読み終わったよ〜♪
      言われた通りサクサク読めたよ。

      私もあれこれ考えてもやもやしたりイライラしたり(私も赤ちゃんはちょっと…)。
      でも最後はやっぱり、『逃げて〜』と思ってしまうよね(笑)

      天海さんのドラマ、私もナオミとカナコだって嬉しかった。
      そして、杜のうさこさんが私を思い出してくれた事を知ってもっと嬉しくなったよ(⁎˃ᴗ˂⁎)
      あのドラマ色んな本が出てきて面白かった。
      最後はちょっと…う〜んだったけど(笑)

      体調の方はどうかな?
      寒くなってきたから気をつけてね。
      2015/12/13
  • 読了直後でまだ心臓のドキドキが止まらない。
    ラスト一行でほっとしたけれど、すぱっと駆け抜けた感じなので余韻が消えていかないのだ。

    ついこの間「紙の月」という映画をみたばかりで、またしても「逃げ切る!」というタイプのお話。
    なぜか映画にも本作にも、非難めいた気持ちは持たなかった。むしろ共犯者となり、「逃げろ!早く!」と居ても立っても居られない気持ちでページをめくった。指が震えた。

    最初はナオミのほうから話が始まる。物語の始まりなので、若干気が重かった。つらく憂鬱な現実がこれでもかと描き出される。朱美社長とのトラブルもまたうんざりした気持ちになるものだった。

    ところが、朱美社長とのやりとり、特にナオミが彼女に親近感を抱き始めるところから、小説の雰囲気が変わり始めた。読んでいる私も、あきれつつも朱美社長に好感を持ち始めた。突き抜けたら案外好きになれるものかもしれない。
    「腹をくくる」ということの清々しさということを考えた。うじうじ、後ろ向きに、被害者的に物事を考えていたら悪いほうにしか進まない。済んだことは割り切って、これからどうするかを考える。この途方もない前向きさとエネルギーが、物語に明るい光を投げかける。
    カナコの章になると、風雲急を告げる展開になる。
    クリアランス・プランのずさんさが次々にあぶりだされるのだが、このあたりのほころび方がなんともリアル。
    読者として読めば「どうしてそんなことに気づかないのか」とか「「なぜそこで高を括るのだ」とじりじりしてしまうが、もし実際に自分がその立場だったら、きっとこんなふうになってしまうんじゃないかと思わせるから。
    暴力夫から逃れることについて、他人は簡単に「逃げればいい」とか「離婚すればいい」というけれども、自尊心が根幹から破壊された人間には、そういう選択肢はあり得ないのだ。殺されてしまってから初めて同情するのが傍観者。「殺されていい人間などいなのだ」というなら、DVで殺されてしまう人の立場はどうなるんだ。

    序盤であっさり殺されてしまうカナコの夫。彼の母親や妹の造形を見ると、ああ、こういうタイプの家系なのかと納得できるように描かれている。
    「母の愛」を絶賛する人は、カナコの夫の母親の姿が理想なのかな。まさにあれは「母の愛」だと思うが。
    女の強さの、いろんなパターンが描かれていて、非常に興味深かった。

  • 「ページをめくる手が止まらない」感覚を味わうのは、実に久しぶりだった。しかもその手が、ページを追うごとにどんどん冷たくなっていく。この感覚は初めてだった。

    直美と加奈子は大学の同級生で、今もたまに連絡を取り合う仲。ある時、加奈子が夫のDVに身も心も傷ついていることを直美は知る。一向に止まないDVを見かねた直美は、ついに加奈子に夫殺しを持ちかける。
    偶然知り合った、夫にそっくりな中国人を買収。彼を中国に脱出させる=夫の失踪に見せかけるという計画は細部も含めて完璧なように思えた。しかし、そこはしょせんド素人2人の犯罪。殺害後、さまざまな綻びが生じてきてしまう。執拗に兄の死の真相を追求する義妹をかわし、2人はともに生きようと誓った未来に踏み出すことができるのか……?
    計画を話し合う段階から、もう自分がそれに加わっているような感覚。綻びが現れるたびに自分もドキリとするし、ラストの逃亡劇では息苦しさまで覚えてしまっていた。

    後半150ページを一気に駆け抜け、最後の1行を読み終えた瞬間、思わずソファにぐったりと身を沈めてしまった。文句のつけようのない大傑作!

  •  厚さと重そうな内容に後回しにしていたのだが、奥田英朗さんの新刊はとても面白かった。後半はコミカルですらあった。と言っては、必死の直美と加奈子に悪いか。

     百貨店の外商部に勤務する直美は、学生時代からの友人の加奈子が、夫からの酷いDVに悩まされているのを知る。警察への通報を勧めるが、夫を恐れて首を縦に振らない。しかし、このままではいずれ殺される。かくなる上は…。

     物語は単純明快。2人でDV夫の殺害を決意する。もちろん、捕まる気はない。失踪を装い、知らぬ存ぜぬを貫く。短絡的といえば短絡的だが、様々な要因が成功を確信させ、背中を押した。大丈夫、計画に穴はないはず。ところが…。

     友人とはいえ、直美がどうしてそこまでするのかと思わなくもないが、ある人物との出会いが大きいだろう。仕事上のトラブルで、最初は嫌々相対していた。気がつけば、生き馬の目を抜く世界で生きてきた者の心意気に、すっかり心酔していた。

     そして、何より計画の鍵となるのは…。この偶然がなければ、こんな計画を思いつかなかっただろう。殺害そのものは簡単だ。本番はこれから。警察が失踪人捜索に熱心でないのは計算済み。夫の勤務先や親族を、どうやり過ごすか。

     いくらDV夫とはいえ、母からすればかわいい息子である。はいそうですかと納得するわけがない。対照的に、さっさと収束させたい勤務先。しかしここにも、彼の身を案じ、簡単に引き下がらない人物がいた。2人は徐々に、甘さを思い知らされる。

     確実に包囲網が狭まり、2人が追い込まれていく描写に、読むペースがどんどん上がる。ああ、こんなに楽しいなら、早く読むべきだった。完全犯罪の前提が崩れると、2人は丸裸も同然。現代社会の監視の目から逃れるのは、容易ではない。

     冷静に考えれば、最初から穴だらけの計画だったわけである。いよいよ万事休すという局面で、むしろ加奈子の方が肝が据わり、主導した直美の方が弱気なのは興味深い。最後のページまで執念と執念がぶつかり合う展開は、いっそ清々しい。

  • 2015/7/15スピード感あって面白い。2日間で読んでしまった。ラストも良かった。奥田英朗さんの作品の中でも好きな作品。★5

  • 久しぶりに奥田英朗の小説読みました!
    ドラマにもなったそうですね〜
    とにかく面白かったです(^ ^)
    後半はハラハラドキドキでした!

  • 久しぶりの長編奥田英朗作品。やっぱり面白い。

  • 初めて読む作家さんでした。今まで知らずに損したという感想です。
    百貨店の外商部に希望せず勤務する直美と銀行員の夫のDVに耐える加奈子。この二人がひょんなことから犯罪に手を染め、だんだんと追い詰められていく。犯罪を犯す前のドキドキと犯罪を犯した後のドキドキの2種類のサスペンスが味わえます。
    ページをめくるのがもどかしいほど、読んでいるこちらもハラハラ、ドキドキしてしまいます。
    登場人物のつながりの設定も、無理をせず、自然な感じで色々な人が二人に関わります。
    物語の骨子はよくあるパターンでしょうが、それを飾る文章力はすばらしいです。
    他の作品も読みたくなりました。

  • #読了。キュレーターを希望して百貨店に入社した直美だが、外商部にて日々我儘なお客の対応に追われる。そんな中、親友の加奈子が夫のDVに耐え続けていることを知る。自身の母もDVを受けていた家庭で育った直美は、加奈子に夫を排除するよう提案するが・・・面白かった、一気読み。稚拙な犯行ではあったが、そこをついてだんだんと窮地に落ちて行く二人の様が、よく描かれていた。

著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『家日和』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』『ヴァラエティ』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。

「2019年 『ヴァラエティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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