あたしたちよくやってる

著者 :
  • 幻冬舎
3.52
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本棚登録 : 952
感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344034433

感想・レビュー・書評

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  • 9.

    図書館では読みたかった本+偶然出会った本を借りるようにしていて、これは偶然出会った本。
    タイトルが気に入って、表紙が気に入って、目次が気に入って、最初の一節「あたしって本当はパンクな女の子だったんだよ」が気に入って借りた本。

    奇遇にも最初のショートストーリーが自分と同じ28歳の女の子だったからか、一語一句全てグサグサささってきた。短編とエッセイが交互に織り込まれた構成もめちゃくちゃ良くて、ちょっと泣いた。
    2021年マイベストに早くも出会ってしまった。
    この本は絶対に買う。私の本棚にいてほしい。

    ---メモ---

    P10 「あなたといると、あたしの中のパンクな女の子が悲鳴を上げるのよ」
    P10 007観たい奴がレミゼラブルを観せられるなんてけっこう辛いぜ?
    P12 でもいまやあたしは、気まぐれで突飛な衝動を抑え込んで、取り澄ました顔で彼氏の横に立っている。地方新聞社に勤めてるなんて田舎じゃ優良物件だし、けっこうカッコいいし、いい人だし。そしてあたしは、もう二十八歳だ。
    P12 もう身の丈に合わないことはしなくなった。夢を見るのをやめ、堅実に生きようとした。
    P13 子供を産むのは、なにもしなくても進級できる義務教育みたいなものかと思ってたけど。そうじゃないんだ。そうじゃなかったんだ。
    P15 田舎町に住むまともな二十八歳の女は、結婚して子供の一人でも産んで、郊外の建売住宅に住んで家事と子育てに勤しまなきゃいけないから。あたしも、若いころは怖いもの知らずだった。でも希望に満ちていたあのころの夢は破れたのだ。ー本当に?
    P17 「あたしは、"こんなはずじゃなかった"って後悔しながら生きたくないの!」
    P20 『女の子らしく(#likeagirl)』題された実験ムービーがある。
    P21 わざとらしくくねくねして、人の目ばかり気にしてる。とにかくみんな「女の子らしく」と言われると、めちゃくちゃバカにした感じになるのだ。
    P21 本物の女の子が信じる「女の子らしさ」と、それ以外の人たちが、いわばフェイクとして認識してしまっているイメージとしての「女の子らしさ」。このズレって、なんなんだろう。
    P22 「女の子らしさ」にまとわりついていた偏見や、うちなる差別を自覚する。
    P25 「女の子らしく」は女の子を縛る。それを広める勢力へのレジスタンスとして、深い反省と次の世代への希望を込めて、「自分らしく」の肩をどんどん持っていきたい。「女の子らしく」の呪いを解くことができるのは、「自分らしく」しかないのだから。
    P27 好きなように生きてるだけで、苦しい。自分らしくあろうとするだけで、なにかと闘うことになる。男とも、女とも。
    P34 だけど親友とは、どこかのタイミングで行き別れて、それぞれの人生をはじめなくてはいけなくなる。
    P34 ともあれ、その時期が来れば友だちはどこかへ退場し、いちばん親密な他人のポジションは、男性に取って代わられる運命にある。
    P40 「あなたも行けばいいのに。なんでこんな薄暗いところにずっといられるの?せっかくの昼休みくらい外の空気吸いたくない?」
    P55 女性の自信はその日着ているもので決まる。
    P57 年相応にちゃんとした人に見られたいという気持ちを優先させて買ったものは、やっぱりどこか、しっくりこなかった。発見したのは、自分らしいスタイルとは結局、いつも着てしまう服なのだということ。好きな色、ブランド、全体のバランスなどにも、人によってそれぞれ「これが落ち着く」というラインがある。
    P58 外を歩くとき、うつむかずにすむようにしておくこと。気分よく出かけられる格好をすること。自信と平常心を与えてくれる装いをすること。だから私たちは、オシャレをせずには生きていけないのだ。誰かのためにではなく、自分のために。
    P76 そしてこう気づくのだった。季節の移り変わりにさらなる喜びを与えるのは、着るもの、なんだなぁと。
    P103 ていうか、現実感ってなに?現実ってどこにあるの?さわれんの?
    P158 女でありながら男の目で、ニキの『ナナ』に眉をひそめてしまっていたということだ。
    P158 「男たちも自分が作った世界の犠牲になってる」
    P186 《いくら長生きしても、最初の二十年こそ人生の一番長い半分だ》という、イギリスの詩人ロバート・サウジーの名言がある。
    P188 ところで、「懐かしい」に相当する言葉は、ドイツ語には存在しないらしい。

  • Twitterでフェミニズム関係の本としておすすめされてた本。
    いろーんな角度、いろーんな設定やテーマでの話があって面白かった。

    エストニア留学生の話が好きだった。

    「だから、私たちはオシャレをせずには生きていけないのだ。」という一文に引っかかる。
    ひねくれの割合も高いと思うんだけど、女性がメイクやおしゃれで強くなる!みたいな雰囲気があまり飲み込めない。

    ===
    「私たちはなぜオシャレするんだろう」
    外を歩くとき、うつむかずにすむようにしておくこと。気分良く出かけられる格好をすること。
    自身と平常心を与えてくれる装いをすること。私たちはオシャレをせずには生きていけないのだ。
    誰かのためではなく、自分のために。

  • どれも女性が主人公だったり重きを置かれたりして書かれた作品でした。
    自分では考えなかった視点や観点から書かれていて印象に残ったのを3つピックアップしました。
    ●しずかちゃんの秘密の女ともだち
    ドラえもんのしずかちゃん目線でドラえもんの世界をみたら、というもの。実はしずかちゃんは出木杉君より頭がいいけど、クラスで目立つのは嫌だし、出木杉君を立てるためにテストでも間違えてる。将来が「のび太のお嫁さん」ということが決まっている。これらのモヤモヤはドラえもんも理解してくれない・・・そんなところにイラストレーター(漫画家?)を目指してるジャイ子だけは理解してくれる。という話でした。やるせないなぁ・・もし自分がしずかちゃんだったら、と考えずにはいられませんでした。ドラえもんが誕生した時代を考えると仕方ないかもしれないけれど、いつも弱い女性として描かれているしずかちゃんは嫌だと思った。
    ●マーリカの手記
    コロナで海外に行けなくなっているけれど、海外で生活する予定があるので、海外から日本に来た留学生の1年、というこの短編を高い関心をもって読みました。なにより感じたのが、よく言われている当たり前のことだけど「語学はその国に行く前も身に付けた方がいい」というもの。マーリカは日本語初級だったから、結局英語で生活しちゃって、日本で生活している日本人との交流が少なく、朝ごみ捨てで挨拶する程度だったとのこと・・ちょっとぞっとした。英語頑張ろ。
    ●1989年から来た男
    微妙に昔から来た男性について書かれていたフィクションで面白かった!江戸からとか、世界が違うくらい昔からくるのではなく、社会の仕組みもあんまり変わっていないくらいちょっと昔のバブル最盛期から来た男性。バブルな男性ですが、現代で就職せざるを得なくなって稼げなくなりだんだん荒んでいく…という話。経済状況はやはり人の性格に影響を及ぼすのだろうか。いやぁ、及ぼすだろうなぁ、人間って環境に左右される生き物ですしね。悲壮感がある話でした。

  • 記録

  • 30代の始めに読めてよかったと思うような、少し年上の女の先輩の話を聞いているような本。
    世の中の女性像に縛られずに、自由に生きるのは簡単じゃないけどかっこいいしけど、分かりやすい自由だけが正解じゃない。人生楽しみたいなと感じる

  • 図書館で借りて。冒頭の「How old are you?」と「ライク・ア・ガール」が良かった。
    山内マリコさんの京都暮らしの話も。京都の喫茶店に憧れる。

  • こんな事考えた事なかったけど、言われてみればそうだなぁ。考えた事なかったっていうのも精神年齢が低い感じだが。

    魂の片割れみたいだった親友とはどこかのタイミングで行き別れて、それぞれの人生をはじめなくてはいけなくなる。女の子同士、友達同士は、男女の様に結婚して、一緒に生きてはいけない(ということになっている。一応)。ともあれ、その時期がくれば友達さどこかへ退場し、1番親密な他人のポジションは男性にとって代られる運命にある。
    •当たり前って怖い!しっくりきてないのに、コレが世間です!みたいな。文字になるとグッと現実的に迫ってきた。

    ずっと実家暮らしで窮屈な思いをしてきたけれど、〇〇歳の時に実家を飛び出し遅い上京を果たした。微妙に首都圏の人間が便利な親元をわざわざ離れて上京するのってなかなか難しいことなのだ。
    ・コレはよくわかる。もったいないが先に立ち、そのうち結婚するかもが渦巻き、恵まれてるのに我儘だとも言われる笑。

    30代になったばかりの頃は好きだった服がどうにも似合わなくなり、今の自分に折り合いをつけようと試行錯誤。発見したのは自分らしいスタイルとは結局いつも着てしまう服なのだということ。
    私たちはなぜオシャレをするのか?外を歩く時に俯かずにすむようにしておくため。自信と平常心を与えてくれる装いをするため。
    ・ホントそうだなぁ。自分で納得いく服着てるとソワソワしないもん。

    「いくら長生きしても、最初の20年こそが1番長い半分だ。」イギリス詩人ロバート・サウジー
    人は人生の最も長い半分を過ぎるとどんどん図太くなっていき、現実的になり、放っておけば感受性と無縁なガサツな大人になっていく。

    私は大器晩成型だから、その分先は短いもんで、過去に浸ってる時間なんてないのさ。

  • なるほど、こういうことを考えながらこれらの小説は書かれたのかということがわかった。柚木麻子や宮木あや子らとの近さが実感された。
    男から一歩下がってみたいなことって、今でもあるんだなぁ。しずかちゃんの物語も今さらながらに、ドラえもんがあくまで男の子視点のストーリーなんだと感じられた。

  • 物語とエッセイが混ざっていて、ちょこちょこ読みやすい

  • あたしたちよくやってる
    山内マリコさん。

    エッセイ?
    短編?
    女子の生き方を問うようなお話。

    おもしろい話と、興味のない話と、半々だった。

    キャロルキングの
    you've Got a Friend(君の友だち)
    という曲のくだりがでてくる。
    またまた、聞いてみた。
    英語の意味はわからないけれど、なんとなく良いわー。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

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