- Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344415324
感想・レビュー・書評
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最後の和助と善次郎のやりとりに涙、涙、涙
高田郁さんの作品は、いつも読み終わるのが惜しく、まだ読み終ってしまいたくないと感じさせてくれる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しみる。ほんまに心にしみる物語でした。松吉のまわりの人たちが、ほんとにいい人すぎて…(涙)日本人の失いたくない美徳がここにあります。ぜひとも多くの人に読んで欲しい一冊です。
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心がほ~んのりあったかくなる大坂・人情話。
舞台はいまの大阪・天満付近。
寒天問屋、井川屋の主・和助は、父の仇討ちに、と殺されそうになった息子・鶴之輔(のちに松吉)の「仇討ち」を、銀二貫で「買う」。そして松吉は井川屋の丁稚として働くようになる。
大金は大火事で焼けてしまった天満宮再建寄進のお金だったので、番頭・善治郎は松吉につらくあたる。
それでも松吉は懸命に働き、寒天を届けに行き仲良くしていたお嬢さんのいる真帆家を大火で喪ったり、
「腰のある寒天」を作るために何度も天場に通うが挫折したり、糸寒天ができた後も、餡のつなぎにすることが何年もできなかったりと、
その間に、また天満宮が焼失してしまったりと、
本当に何度も倒れそうになるんだけど、
復興する大坂の商人や町のように、松吉も立ち上がる。
大火のあと自分を娘のように育ててくれたお広が亡くなり、松吉がご寮さんに「はがいい」と焚き付けられて、包みを落として、真帆のところへ向かうシーンはよかったなぁ。やっとほっとした、って感じで。
あと、和助が、美濃志摩屋の跡継ぎに投げつけるせりふ「人を育てるなら、草と同じで種から水あげて育て。盗っ人と同じやで」的なやつ、じーーーんとしびれたよ…。
この和助さんが一番、かっこいい。
これぞ、お金の使い方。苗村も新田開発がうまくいったり、こうしてうまく、ぐるーりとお金がめぐっていくのがいいね。
そして羊羹や団子、琥珀寒が食べたくて仕方ない!!天満宮にも行ってみたくなりました。 -
寒天問屋の和助は仇討を銀二貫で買い、幼い鶴ノ輔の命を救った。
鶴ノ輔は松吉と名を改め、寒天問屋の丁稚として奉公することになる。
店主和助と番頭善次郎の掛けあいが可笑しくもあたたかい。
銀二貫、と聞いてもどれくらいの価値なのかさっぱりわからなかったけれど、信用を大事に良い品を真っ当に扱い繁盛している井川屋でも皆が慎ましく暮らしながら9年かけて貯めた、ということだからかなりの大金であることは間違いない。
大阪天満宮再建のための寄進としてこつこつ貯めた銀二貫が、松吉の命を救う対価となり…そしてまた窮地を救う銀二貫。
しみじみ良い本でした。羊羹食べたくなってしまいます。
驚いたのは高田さん自身が、執筆する際実際にその料理に挑戦してみるということ。今の時代なので寒天も使い良いものがあるけど、このこだわりようは並々ではない。
こうして手間暇かけて作られた物語のお味はもちろん・・・大変美味しゅうございました。 -
良い話です。こんな人情味のある親方がいて欲しい。素晴らしい人間関係。
関西商人の言葉も相俟って、ひとの深みが出てくる話。 本当は人生ってこの話の様にはいかないんだろうけど、努力も含めて、皆がこれぐらいの気持ちがあれば良いな、と思わされました。 -
銀2貫が紡ぐ物語。天の配分なのでしょう。出会った人全てから学び、支えられ、主人公は成長を遂げる。真っ直ぐに生きる松吉や真帆。その行く末を確信して見守る井川屋の主人や番頭。人の温かさがじんわりと沁みる。漸く貯まったお金を何も語らず渡した場面は泣けました。壁にぶつかった時に助け舟が出てくるのも、途方もない事を成し遂げようとする意思があるからこそと思わせる本でした。流れやテンポが良く、そしてしっかり感動する。高田郁さんに感謝します。大好き度❤️❤️❤️
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読みながら何回も泣いた。
実直に目の前の仕事に立ち向かう人たちの心がとても尊い。
何度もそこに手が届くかと思いながら、届かない苦しさ、悔しさ。
それでも立ち直る。
感動をありがとう。良い小説だった。
羊羹を食べたくなった。 -
久しぶりに読んだら、結末を知っているのにまた泣けた。
根っからの悪人が出てこないところがとても好み。
苦しいときもありながら、後味が爽やかな時代小説。
最後の一言ですべて報われた。
人から、好きな本は?と聞かれたら、「銀二貫」をおすすめするほどに好きな本。 -
恩返しの大切さ、損得抜きのさを改めて知らされました。
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地元大阪のお話で、イメージしやすく、それぞれの登場人物の想いに触れて、涙を流しながら読む場面が何度かありました。
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当時の家屋は木造長屋が多かったので、一度火が回ると延焼が止まらない・・
先日、世界遺産の首里城が焼失してしまいましたが、この小説でも何度も大火で苦労する話が出てくるが、そのたびに立ち上がる庶民の力に勇気をもらえる。
そして、銀2貫が大活躍しますが、いまいちピンとこないので検索してみました。(Yahoo知恵袋より)
mer********さん
2014/5/120:50:21
銀二貫の価値とはどの位の価値なのですか?
考えてみれば、江戸は金本位制
鼠小僧の金子一両箱二両箱の計算は何となくできるのですが、銀の計算はさっぱりチンプンカンプンです
NHK木曜ドラマ「銀二貫」
芦田愛菜ちゃんが出ているので、懸命に見ています
今日もパソコンをやっていて、見逃してしまいました
なので、来週の月曜日の午前2時頃に予約して見なければなりません
眠い目を擦り擦り見ているのですが
そもそもの、「銀ニ勘」の価値がわからず、今日まで見てしまったことに恥ずかしさを感じております
どなたか計算して頂けませんか?
お願い致します
ベストアンサーに選ばれた回答
hol********さん
2014/5/400:25:25
金1両が銀60 匁
銀1貫は銀1000匁
よって銀2貫=銀2000匁=金33、3両
現在の価値に換算すれば(米価でしょうね)約220万円
お金を生かすも殺すも使う人次第、時代背景は江戸中期に当たる大阪での商いの厳しさとひたむきに生きようとする人間の姿が心地よい小説です。 -
一人の人の人生のなかで、出会いが交差する。
勧善懲悪系。憎むべき人は憎めない人でもあった。
爽やかな気持ちになる、読了後。 -
一生懸命羊羹作る話です。情のあつさ人間関係の濃さ、すごく良い本。
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あらすじ
江戸時代、大阪。大坂天満宮近くの寒天問屋の和助は、節の敵討ちに出くわす。武士と一緒にいた息子も切られそうになるが、天満宮火災寄進の銀二貫で救う。のちに彼は松吉と名を変え、丁稚として働きながら、銀二貫を返すことを目指す。
商売と食い倒れの大坂を舞台にした、人情味あふれる作品。老主人和助と番頭のやりとりや、料理人嘉平と娘真帆たちとの交流などは、コテコテというかド直球のドラマで、ストーリー全体を見ても上方歌舞伎とかでありそう。そして合間合間に、寒天作りの現場で試行錯誤する様子や、何度も起こってしまう火災、それに負けずに復興する様子が書かれていた。クスッとしたり、ほんわかしたり、つらくなったりと、感情が忙しい作品だった。一冊でいろいろ詰まっているな。 -
本当によかった。
あたたかい話、いやその一言では収まらない。それぞれの切実な想いがあちらこちらに溢れて感じられて、胸が熱くなった。
生き抜くのにも必死で、生死が生活と常に隣り合わせの時代。商売もまたしかり。
金銭としての価値、併せて、人の想いが乗った銀二貫。この本の中でも特別な存在感を放ち、その重みを私たちも受け止める。
最後、ふたりのやりとりに思わず涙。同時に清々しい気持ち。
銀二貫、銀二貫。
読んだあと、思わず呟き噛みしめた。 -
良い買い物をしたなぁ、で、泣けました。
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上方の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。鶴之輔あらため松吉が寒天問屋で働きながら、仕事に目的を見いだし、人生を夢見ながら成長していく矜持の物語です。主と番頭の粋な会話やじれったい程の恋心は実に爽やか。松吉のひた向きさに心が洗われ、和助の優しさは気持ちをのびやかにしくれる。最後の和助の言葉にはほろりときました。
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義理を重んじ、筋の通らないことはしない、信用を第一とし、神仏への感謝を忘れない、そんな大阪商人、井川屋の人々の話。
人として本当に大切なことは何かということに気づかされる。
挫折を繰り返しながらも、一途に努力し続ける松吉の姿に感動した。
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よかった。
義理人情や商人としての矜持、色んなものが詰まった物語だった。
今はもっと真っ当な人間にならなければという心境です。 -
仕事帰りの電車で涙ぐみつつ読み終えた。
人として最も価値のあることは、ひたむきで、誠実であることだと思えた。
くじけてもくじけても、愚直に誰かや何かのためを思い続けるなんてそうできることではないけれど…
静かにじわじわと心にしみる素晴らしい作品。 -
この方の本を初めて読みました。
読み始めから、サクサクと・・・
店主和助に助けられた鶴之助の人生♪
どーなっていくのか気になって仕方がなかった。
人情味があり、所々ではジーンとさせてもらいました。
温かい気持ちにさせられた1冊。
他の本も読んでみたいです^^ -
「松吉の胸の中に、真帆が溢れた。」これに完全にやられた。この美しい表現に至るまで、これでもかっ!てぐらいに読ませる。作者の意図は計り知れないが、自分はこの一文を読むためにこの本を手に取ったと読了後に感じた。誰にでも胸を張って進められる、美しすぎる1冊がまた増えた。
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ああ、銀二貫!お金を生かして使うって、そういうことなんだなあ。ここぞという時に、えいっ!と使われる銀二貫。そして、あの、建部玄武までもがその大金の使い道を心得ていたとは!この本、いい人ばっかりだよなあ。それでストーリー成立するって凄いわ。ラストの和助と善次郎の掛け合いに胸がじーん、とする。
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寒天大好きの私にとって、とても幸せな一冊との出会いとなった。
主に棒寒天でフルーツ寒を作る。ミカンや桃の缶詰は安売りの時にまとめ買い。寒天は目についたら(スーパーで見かけないこともある)買いだめ。ゆとりがあればアロエも購入。
いつでも気が向いた時に作れるように準備しておく。
寒天てこうして作られるんだ…と知ってるようで知らなかったことが松吉や半兵衛さんの仕事ぶりで伺い知った。
後半、糸寒天ができて、練り羊羹に話が進みだしたとき、残念ながらあんこ嫌いの私は、二層に分かれた失敗作の羊羹のあんこ部分の舌にざらつくイメージがぬぐえず、目を背けてしまった。ここらあたりは羊羹づくりよりは真帆さんと松吉の恋の行方や、旦那さんや番頭さん、半兵衛さんや梅吉やお広さんなどとのほのぼのしたやり取りに注目しつつ読み進んで、無事読了。
この本のおかげで、一日に何度も用もないのにトイレに1時間近く立てこもってしまいました。
高田郁さん、旦那さんや番頭さんが二人を見守ってるところで話を終わらせてくださってありがとうございます。
久しぶりに涙が流れるラストシーンでした。 -
羊羹を食べれるようになりました
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恩に報いたいという純粋な気持ちが輝く。
ひた向きに仕事に打ち込む姿が輝く。
敢えて険しい道をゆく。その姿が清々しい。