アントキノイノチ (幻冬舎文庫 さ 8-8)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344417175

感想・レビュー・書評

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  • 自分とはかけ離れてる、命の重みに向き合う仕事。誰かを救う仕事。自分も人の助けになることを何かやりたいなと思った。それで、自分が自分の心を助けられるかも。

    雪ちゃんが壊れそうになったときの精神科医の言葉がいい 壊れてるんじゃなく、葛藤だと。哲学だと。自分も救われたような気がした。

  • さだまさしの基本的な人間観って、とても柔らかいものなんだろうなあと感じられる一冊。あと自分は複数の物語が交錯している本が好きなんだなあと読んでみてメタ認知した。それが登場人物別か、時系列別かは問わず。マルチタスクは苦手な方なんだけどなあ。松井の高校時代があまりにぶっとんで腹黒なのでちょっと引きますが、単純な勧善懲悪としないところも優しくて素敵だなあと思う。コテンパになってしまえばいいと個人的には思ってましたが。病院の待合室で読了。危うく泣くところでした。

  • これは繰り返し読むことになるだろう、と思う。


    映画もあったなと、後日急いで、期待して、観たけれど…
    本と映画はまったくの別物だ。

  • こういう仕事があるんだな。
    佐相さんのかっこよさったらない。

    繊細な心の動きがよくわかりすぎて辛かった。
    どうしようもなくおさえられない悪意。
    それを生じさせてしまった悪意。
    こういうのって案外子どものときほどある。

  •  ひょんなことがきっかけで、高校を中退し、引きこもり生活を送っていた少年が就いた仕事は父親の紹介による、亡くなった人の遺品を整理する仕事。
     死者が残したものは、様々なで、時には亡くなってから数日経った人の部屋にはいることもある。
     その時のにおいは耐え難いものであるけれど、果敢にもその部屋に立ち向かっていく先輩たちの様子を見て、彼は段々と自分のやっていることへの気持ちと、人との関わりとを大事にして生活をしていくことを学ぶ。

     一度、普通の人生から零れ落ちた人間がゆっくりと周囲の人間に包まれながら、回復していく話でした。
     こんなに優しい話があるんだなあ……と思いながらよみました。
     こんなに優しい世界なんて現実にはなかなか存在しない、高校中退には厳しい世の中だけれど、これくらいの優しさはあってもいいと思うんです。
     そういう意味ではとてもいい話でした。
     ただ別の意味での現実を知ってしまうと、こうはならないって思う部分もあるんだけどなあ、と思います。

  • 心を病んだ主人公が、遺品整理の仕事を通して立ち直る?生き直す?お話
    若いときは、なんでこんなに、おばかで、一途で、切ないんだろ?まず、生きることが、一番なんだと、逃げても大丈夫だと思える。
    お父さんがかっこいい

  • さだまさしってすごいなあー才能豊かー!
    軽快なフットワークのおじさんだとばかり思っていた…


    ある人物との関わりをきっかけに心を閉ざした若者が、周りの人や仕事を通して少しずつ再生していく話。心情が丁寧に書いてあって、最後は優しく爽やかでした。杏平くんよかったね。佐相さんほんとかっこいいです。あと杏平パパ。

    周りの人たちがみんな温かいからこそ、心が少しずつ回復していったのだなあ。穏やかに読み進められます。


    この本を読んでいるときに、
    「その時読んでいる本によって、その人の精神状態が分かるよね」という話になりました。
    確かに悩んでたし病んでいたので、こういう本をチョイスしたのかもしれません。元気な時に読むよりも沁みたような気がします。

  • 杏平はある同級生の「悪意」をきっかけに高校を中退して以来、他人とうまく関わらなくなっていた。遺品整理会社の見習いとなった彼は、凄惨な現場でも誠実に仕事をする会社の先輩たちや、行きつけの居酒屋で働く同い年の雪ちゃんと過ごすことで、ほぐれてゆく。そして、仕事や雪ちゃんが語る壮絶な過去の話を通して、「生命」について考え始める。

    さだまさしの著作を初めて読んだ。
    なんて温かい観察眼。
    杏平は、ある1人の同級生のによって心を壊してしまったけれど、彼の周りには優しい大人がたくさんいる。
    父親、高校山岳部の顧問の先生、会社の人たち、雪ちゃん…
    彼らを描写する文章から、著者の優しい眼差しが感じられる。

    遺品整理会社の人たちにはモデルがいて、さださんが本著を書く際に取材し、その後も交流が続いているようだ、と解説に書かれていた。
    その場限りの交流ではなく、人との関係をずっと大事にする人だからこそ、読んでいる人がホッとする人間関係を書けるんだな、と思った。

  • 数年前に公開された映画を観ていたのですが、その時は、こういう仕事もあるのかと思ったけど、もう一歩よく分からん映画やな、と言うのが感想だった。
    今回、原作読んで、いやこれは後半ストーリーが大夫違うぞと気付いた。こちらの方がずっと納得できる話で、主人公と彼女のハッピーエンドであった。

  • 「その時にどんな言葉を聞くかで、人生が変わってしまうことがある」と、書いてあった。
    言葉の力は、すごいもの。良い風にも悪い風にも作用する。
    私は大切な人が辛いとき、浅はかな思いつきの慰めと同調の言葉しか、かけてこなかったかもしれない。もっと慎重に言葉を選んで、伝えなくては。

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著者プロフィール

一九五二年長崎市生まれ。シンガーソングライター。二〇〇一年、初小説『精霊流し』がベストセラーとなる。『精霊流し』をはじめ、『解夏』『眉山』アントキノイノチ』『風に立つライオン』はいずれも映画化され、ベストセラーとなる。その他の小説に『はかぼんさん―空蝉風土記』『かすていら』ラストレター』『銀河食堂の夜』など。

「2021年 『緊急事態宣言の夜に ボクたちの新型コロナ戦記2020』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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