貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 726
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429390

感想・レビュー・書評

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  • 図書館にて。
    最近何冊か読んでいる芦沢央さんの1冊。

    これは比較的最近母親になった、しかも帝王切開だった私には辛すぎる冒頭。
    世の中いろんな人がいるのはわかる。
    この本は多分いろんなストレスに耐えかねて、母親が突発的に子供を取り違えさせる出だしがあってのストーリー、オチあるいは内容、題名?のための子供を入れ換えるという事故あるいは事件。
    だとしても肝は取り替えたということのはず。
    作中にもあるけれど、取り替えるということは他人の子供を育て、自分の子供を捨てること、自己評価がいくら低くても、自分の親がどれだけ毒親でも母親がそんな選択をすることがあるのだろうか。
    あるとしたら、みんな辛すぎる。
    母親はそんなことが出来るほど弱くないし、強くもないと思う。
    そこにいまひとつ説得力が感じられない。
    毒親育ちというきっかけも安直な気がしてしまう。
    私も親とはいろいろあったけど、それを自分の子に持ち込んだらダメなことくらい知ってる。
    ダメなことくらいわかってたけどやっちゃったんだよと言われたらそれまでだけど。

    題名の獏の耳たぶ、意味がわかってからけっと思ってしまった。
    耳たぶとおっぱい、そんなこと知らんがな。
    子供のこれからを考えるとバッドエンドもいいとこ。
    小説に全て共感を求めてるわけではないけど、胸くそ悪すぎてごめん、ざっくり読みでした。

  • 読んでいてこんなにも苦しくなったのは、私も子育て中だからだと思う。
    我が子は血が繋がっているから可愛いのか、と聞かれるとそうではないと思いつつも、どこかで自分と似たものを感じるというところも大きい気がする。何年であれ、子どもと過ごす濃密な時間は限られているのだろうから、写真や動画に収めることに囚われすぎず、自分の目で見ていきたい、と思った。

  • 自ら産んだ子を「取り替え」た、繭子。発覚に怯えながらも、息子・航太への愛情が深まる。一方、郁絵は「取り替えられた」子と知らず、息子・璃空を愛情深く育ててきた。それぞれの子が四歳を過ぎた頃、「取り違え」が発覚。元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子、そして一心に「母」を慕う幼子たち。切なすぎる「事件」の、慟哭の結末は…。

  • 石田繭子、平野郁絵。

    繭子が子供を取り替えてから、いつバレるかと思いながら読んでいた。繭子の気持ちには全く共感できず、郁絵がひたすら不憫だった。

    郁絵視点の話になってからは、郁絵の気持ちに共感してしまい、どうにもならない気持ちで読み進めた。

    子供を産めば母親になれるわけではない。
    けれど、繭子も航太を大事に思っていたし、璃空にだってきっと愛情は持っていたんだろうなとは思う。
    取り替えなんてしなければ良かったのに。

    子供たちが傷ついているところを、郁絵と同様に繭子にも見て欲しかった。

  • 子どもの意図的な取り違え事件を描いた本。
    繭子が帝王切開きっかけで産後うつのようになっていくのはちょっと共感できなかったが、後半になるにつれ描写に圧倒されてなんと泣いてしまった。子どもの描写がとても上手。

  • 繭子の気持ちは最後まで読んでも理解出来なかった。


    子育てって正解がない。
    ただ、子供が母親を必要として全身全霊で求めて来る時期って10年もないんだよね。何でもっとその時間を大事にして来なかったのかって後悔してる。もっと抱っこして成長を目に焼き付けておけば良かった。


    こんな事を考えさせられる本でした。

  • あなたは、この子たちのこの姿を見るべきだった。あなたがしたことで、どれほど、この子たちが傷つくことになったのか。あなたは、それを、知るべきだったのだ。

  • タイトル買い。

    産まれたばかりの自分の子供を自らの手で故意に取り違えた母親。

    産後、気持ちが安定しなかったり、言いようのない不安感に襲われる事は決して珍しい事ではない。
    それは理解できるのだが、
    何故そこで子供を取り替えてしまうのか。
    この行為は全く理解が及ばない。

    取り替えられた相手の家族、何より子供の気持ちを考えると辛くて辛くて、
    読む時期を少し間違えたかなぁと。

    重くてしんどい内容だったけれど、
    ほぼ一気に読んでしまった。
    今現在子育て真っ最中の人にはオススメできない。

  • 面白かった。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/779399

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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