貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (451ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344429390

感想・レビュー・書評

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  • 新生児取り違えを扱った映画やドラマはいくつか観た事があるが、母が自ら取り替えてしまったというところが興味深いところだ。後半は取り替えられた母の郁絵の方に視点が変わり、取り替えた母の繭子の視点は全く描かれていない。郁絵からみた繭子は航太の立派な母であり、実際に航太くんにとってかけがえのない母となった。
    取り替えた時の郁絵の子どもの方が生命力があり育てやすそうだからという動機は全く見当ハズレのもので、実際に璃空の方が育てやすかったのではないだろうか。
    繭子の母の身勝手な発言から繭子は自分の罪滅ぼしのように告白してしまい、二人の子供は郁絵の元で兄弟として育つことになったが、大きくなって恐らく真相を知るであろう二人は繭子に会うことはあるのだろうか。自分の本当のお母さんと自分を4歳まで育ててくれた母のことをお互いにどう思うのだろうか。
    そして郁絵のこれからの子育ての困難さも想像出来る。慈しんできた璃空と実の子である航太がそれぞれに反抗期や何か問題を抱えた時に対処の仕方に悩む時は来るであろう。
    二人が大人になるまでの物語も読んでみたい。

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著者プロフィール

1984年東京都生まれ。千葉大学文学部卒業。出版社勤務を経て、2012年『罪の余白』で、第3回「野性時代フロンティア文学賞」を受賞し、デビュー。16年刊行の『許されようとは思いません』が、「吉川英治文学新人賞」候補作に選出。18年『火のないところに煙は』で、「静岡書店大賞」を受賞、第16回「本屋大賞」にノミネートされる。20年刊行の『汚れた手をそこで拭かない』が、第164回「直木賞」、第42回「吉川英治文学新人賞」候補に選出された。その他著書に、『悪いものが、来ませんように』『今だけのあの子』『いつかの人質』『貘の耳たぶ』『僕の神さま』等がある。

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