新生児取り違えを扱った映画やドラマはいくつか観た事があるが、母が自ら取り替えてしまったというところが興味深いところだ。後半は取り替えられた母の郁絵の方に視点が変わり、取り替えた母の繭子の視点は全く描かれていない。郁絵からみた繭子は航太の立派な母であり、実際に航太くんにとってかけがえのない母となった。
取り替えた時の郁絵の子どもの方が生命力があり育てやすそうだからという動機は全く見当ハズレのもので、実際に璃空の方が育てやすかったのではないだろうか。
繭子の母の身勝手な発言から繭子は自分の罪滅ぼしのように告白してしまい、二人の子供は郁絵の元で兄弟として育つことになったが、大きくなって恐らく真相を知るであろう二人は繭子に会うことはあるのだろうか。自分の本当のお母さんと自分を4歳まで育ててくれた母のことをお互いにどう思うのだろうか。
そして郁絵のこれからの子育ての困難さも想像出来る。慈しんできた璃空と実の子である航太がそれぞれに反抗期や何か問題を抱えた時に対処の仕方に悩む時は来るであろう。
二人が大人になるまでの物語も読んでみたい。