入らずの森 (祥伝社文庫)

  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396337438

感想・レビュー・書評

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  • 四国・尾蛾町に他の地域からやってきた、
    期待されてた陸上選手だった中学教師・金沢。
    自分に対して両親の無関心さから
    非行に走った金髪の転校生・杏奈。
    仕事に疲れ早期退職して
    妻と共に田舎暮らしに憧れてたIターン就農者・松岡。
    この3人の心情とともに話が進むホラー。

    ただの限界集落のホラー話と思ったら
    スケールの大きい話になったなぁ~と、
    言うのが正直な感想。
    それと出てくる人達の接点が見事に繋がって
    伏線が綺麗に回収できてるのが良かった。

    そして粘菌。
    人の負の感情を餌にするなら餌に困ることはないね…
    エピローグはお約束。

  • 田舎独特の黒い人間関係と、そしてSF。

  • 四国の小さな集落に赴任した若い体育教師、東京から転校してきて祖母の家に暮らす女子中学生、田舎暮らしを夢見て移住した定年後の夫婦、それぞれが語り手となって話は進んでいく。
    体育教師は本当は教師になりたくなかったとか向いていないのではないかなどの悩みを持ち、女子中学生は5人の同級生たちと馴染もうとしない、移住夫婦の妻は集落に溶け込んでいるが夫は距離を置かれている、という状況のなかで、元々は平家の落人の里だったとか、その昔陰惨な殺人事件があったとか、初代の校長が突然人を殺したとかいろんな話が絡んで、さらに山の森から得体の知れない何かが姿を現し始める。

    半分ぐらいで読むのが苦痛になって最後まで読めなかった。なのでなにが起こってどんなエンディングなのかわからない。とにかく全然おもしろくない。
    大きな事件への伏線なのだと思うが、要素がありすぎるのと散らされているので、話が入ってこない。

  • 怖いというか不気味。若干肩透かし。

  • ★3.5

  • まず、民俗的・伝奇的な要素が前面に押し出された舞台設定が私の好みで、最初から嬉しくなる。
    これは「パラサイト・イヴ」(瀬名秀明 著)や「天使の囀り」(貴志祐介 著)などのように、創作された科学的根拠に裏打ちされたSFミステリー、あるいはホラーなのかな…と思いながらページを繰っていったが、どうやらそこまで厳然と定めているわけではないようで、さらには過疎地の農村移住につきまとう諸問題、愛に飢えたティーンエイジャーの苦悩、老親の看取りを巡る家族の軋轢、挫折を味わったスポーツエリートの再生に至る道筋…等々、現代の日本社会が抱える様々な歪みや課題までがてんこ盛りに詰め込まれているではないか。
    それが確かな技術と筆力のおかげで、特にとっ散らかっている感もなく、スムーズに読み進められた。
    人が触れられたくない恥部というか、記憶の底に封印してしまいたい瑕疵のようなものにこうもズバズバ斬り込まれると、もう拒否ではなく感心するしかない。

    肝心要の粘菌にまつわるくだりは、やや説明が硬く回りくどいきらいがあるので少しもったいなく感じ、付け足しのようなエピローグもいかにも凡庸な印象で、そこは残念だった。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    怖かった。
    どこにも書いていなかったが、
    人ならずものが好むのは人の心の闇だと思い、
    それぞれ闇を抱える登場人物の誰が餌食になってしまうのだろうかと、
    怖かった。

    ホラーは好きではない。
    カバーによるとダークファンタジーというらしいが、
    昔の人殺しの話とつながる気味の悪い粘菌の話だとわかっていたら読まなかったと思う。

    しかし、面白かった。
    次々とピースがはまっていくジグソーパズルのように、
    様々な話がつながっていく。
    ただし、そのピースは普通のジグソーパズルとは違って、
    大きさも形も一定ではない。
    大きくて何が描かれているのかが判るピースは当然真ん中に置くとして、
    描かれていることはわかるけど、
    全体の絵の中のどこに入るのかさっぱりわからないピースもある。
    脇にまとめて置いておく。

    そして、ピースとは思わず見過ごしてしまう小さいピースもある。
    しかも、小さいピースが後で重大なかけらとなる。
    最後のピースをはめたときに見えるのは、
    ただの謎解きではなく、人の心の美しさであり、醜さであり、強さであり、弱さ。

    この作品はミステリー、美しいミステリーだと思う。

  • 幽気漂う『入らずの森』から何かがやってくる…
    夜に一人で読まないよう帯に書いてあったので、怖さを期待しましたがそれほどでもなかったです。
    幽霊であれ人間であれ“怖い存在”にうわっと脅かされる場面が個人的には一番怖いと思うので
    そういう意味での迫力はありませんでしたが、不気味な雰囲気は十分に伝わりました。

  • タイトル・表紙・あらすじに惹かれて購入したものの、本棚で「積読」になっていたのを思い出し読み始める。
    舞台は自然に囲まれた集落の寄り集まった村。
    そんな環境に馴染めずにいる思春期の少女・自分に自身の持てない青年・理想を追い求めて移住してきた壮年の3人が主軸になって話が進んでいく。
    他の登場人物にもちゃんと役割が振られており、それぞれが過不足無く動いていく。
    一見どのような役割を持っているのか分からない登場人物も、以外な関わりを持っている(いささかご都合主義のような気もするが)。
    事件の「犯人」は早い段階で見当がつくが、それがどのような形で関わっていくのかが面白い。
    ラストシーンは「きっと、こうなるんだろう」と予想していた通りだったが、それも含めて満足の1冊だった。
    少女が語る「これは私の目印だから」の言葉が印象深い。

  • ジャングル奥地を開拓することで、人類と未知の生物が遭遇し世界に疫病が大流行、致死率が極めて高いウイルス性の病原菌のはなしならば定番である。本書は少し趣向が違い、四国山中の村落で起こる奇怪な出来事の謎がじつは・・・謎解明の面白さは、最後まで読むものを飽きさせない。

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著者プロフィール

(うさみ・まこと)1957年、愛媛県生まれ。2007年、『るんびにの子供』でデビュー。2017年に『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。2020年、『ボニン浄土』で第23回大藪春彦賞候補に、『展望塔のラプンツェル』で第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。2021年『黒鳥の湖』がWOWOWでテレビドラマ化。著書には他に『熟れた月』『骨を弔う』『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『夢伝い』『ドラゴンズ・タン』などがある。

「2023年 『逆転のバラッド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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