吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408558349

作品紹介・あらすじ

200万部突破の大人気シリーズ、最新傑作!二つの傷跡。抜かれた血液。犯人は……吸血鬼?東久留米市の公園。荒川の河川敷。そして、東京湾の沿岸。三つの場所で相次いで見つかった遺体。被害者はいずれも首すじに二つの傷跡があり、ほぼすべての血液が抜き取られていた……。まるで「吸血鬼」が起こしたかのような連続殺人。捜査一課の桜井公康から内々に相談を受けた天才医師・天久鷹央は、事件解明に動き出す。現役医師による本格医療ミステリー、書き下ろし最新作!〈目次〉プロローグ第一章 吸血鬼連続殺人事件第二章 水晶の吸血鬼第三章 血に溶けた罪エピローグ

感想・レビュー・書評

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  • 知念実希人先生の天久鷹央シリーズ最新作。
    今後、新潮文庫で既刊の完全版を含め実業之日本社から怒涛のリリース予定との朗報。本作も期待を裏切らない、何段もの構えで、小気味よく謎が解き明かされていく展開を楽しんだ。

    鷹央「うっさいな。さっきから、どら焼きの一個や二個でぐちぐちと……」小鳥「八個ですけど」鷹央「うっさいうっさいうっさい!」舞「あーあ、どうするんですか?鷹央先生、拗ねちゃいましたよ」他愛もない会話が心地いい。

    三者の関係性にそろそろ展開があっても良さそうだが。鷹央は小鳥に脈も遠慮もなく、研修医の舞には甘い。小鳥は鷹央の人間的成長に目を細めるも直後に落胆する。小鳥の人物像が鈴木亮平としか思えない。まだまだ続きそうで何よりだが。

    事件の被害者たちに残された二つの穴、傷口の唾液、そして消えた血液。徐々に浮かび上がる容疑者に見られる精神症状、腹痛、貧血、牙のような八重歯、そして日光で爛れる皮膚。まるで吸血鬼を思わせる事実が、結末への期待感を高める。

    例によって土壇場で鷹央に煽られながら、小鳥は一つの疾患名に辿り着く。そして、一見無関係な人間が、凄まじい異常性を発揮していたことが明らかに。人間の哀しい性に帰結する構成力と医学知識に裏打ちされた説得力に、今回も驚嘆した。

  • 安定の面白さ。
    河川敷での血の抜かれた遺体。医療の関与が薄い段階から乗り出していくため、あれ?とおもいましたが、やはりそこは鷹央先生シリーズ。今回もどっぷり医療ミステリーです。

    技能実習生の問題に隠された闇に迫っていきます。最後になぜこのタイトルなのか、きちんと回収されていました。

  • なかなかに面白かったー。

    とても読みやすいしタカタカペア、鴻ノ池の絡みもいい塩梅で。

    今回もテーマがある筈もないとわかるけれど落としどころがとても良き。

    この天久鷹央シリーズは何作もありそうなのでまだまだ読みたいと思います。

  • 天久シリーズは知念実希人さんの作品で最も痛快な作品だ。天久鷹央の医療知識を活用して謎を解いていくスタイルも、内容が新しい知識を与えてくれるため、飽きない。

    今回は吸血鬼、鷹央が興味を持つ事案だ。
    連続で見つかった遺体には、首筋の2つの穴、体内の血が全て抜き取られている共通点があった。
    単なる吸血鬼の仕業に見立てた訳ではない。

    この作品には2つの社会への警鐘が含まれている。少子高齢化により労働人口の減少は大きな社会問題である。何十年も前からわかりきっていることに何の対策もしてこなかった政治や行政に問題がある。現在の結果として慌てて技能実習生の受け入れをしても、制度に落ち度があれば、隙をつくる。

    医療だけでなく、さまざまな問題提起があるのも知念実希人さんの作品の面白いところだ。
    ブクログのみなさんの本棚を見て、ついつい手に取ったが、本屋大賞より参考になると感じている。

  • 相次いで見つかった三つの遺体には、いずれも首筋に二つの傷跡があり、ほぼすべての血液が抜き取られていた?!まるで吸血鬼が起こした連続殺人の謎を解くべく、天才医師・天久鷹央は動き出す!

    レーベルを移して初の天久鷹央シリーズ新作長編。今回は捜査一課の桜井たちから内々に事件の相談を受けて物語が始まる。吸血鬼の仕業かと思われる事件なんて、鷹央の大好物すぎるでしょ!小鳥遊や舞とのかけ合いも安定の面白さでサクサク読める。そんな中にも、鷹央の成長が感じられる場面も多くてよかった。

    抜群の頭脳を持ち、謎を解き明かす鷹央。その才を活かせば、名探偵として振る舞うこともできる。しかし、あくまで医師としての最善を追求するところがカッコいい。犯人との決着と後日談は、タンニンの深い渋みと軽やかな酸味のハーモニーを感じるワインのような味わい。これだけシリーズを続けて、この濃厚さとエンタメ感が失速しないのがすごい。いつものやり過ぎ潜入ミッションなどはご愛敬(笑)

    統括診断部ならではの広い知識が要求される診断。マニアックな病かと思われたものが、意外と身近なものへと繋がっていくのも現実感があっていい。ここでそれか!みたいな場面にワクワクさせられた。犯人と真相を追い、病を診断するだけではなく、いろいろな謎解きが続くのも飽きさせないポイント。さらに社会問題にも切り込んできてボリューム満載。吸血鬼とは誰のことなのか。この社会制度もまた“吸血鬼”ではないだろうか。

    レーベルお引越しでシリーズ完全版刊行。さらに年明けには新作短編集に長編も待ち構えていて楽しみは尽きない。

  • 破天荒かつ博覧強記の天才女医・天久鷹央と、彼女と同じ統括診断部で働く内科医見習い・小鳥遊優が不可解な事件に挑む、大人気メディカル・ミステリー。
    2023年より実業之日本社文庫から刊行された完全版を読み、強烈なキャラクターと医療現場を中心としたトリックに魅入られ、すっかりファンになってしまったため本書を購入。

    三つの場所で相次いで見つかった遺体。被害者はいずれも首すじに二つの傷跡があり、ほぼすべての血液が抜き取られているという。まるで「吸血鬼」が起こしたかのような連続殺人を、鷹央らはどう解決していくのか。ずっとハラハラすること間違いなし。

    幾重にも張り巡らされたトリックとホワイダニット。医療現場を知り尽くした知念氏だからこそ描ける、非常にリアリティのあるシーンの数々に舌を巻くばかり…。
    相変わらず読みやすい文体で、シリーズものながら本書から読み始めても問題ない点もグッド。総じて満足のいく読書体験だった。

  • **「『吸血鬼の原罪』: 心を揺さぶるミステリーの旅」**

    『吸血鬼の原罪』は、天久鷹央の事件カルテシリーズの中でも特に引き込まれる一作です。この物語では、一見すると超自然的な連続殺人事件が、天才医師・天久鷹央の手によって解き明かされていきます。知念実希人さんが紡ぎ出す、この緻密なミステリーは、読み始めたら最後まで手放せなくなるほど。

    物語の中心にいる鷹央を支えるキャラクター、ことりと舞の魅力は、この物語をさらに特別なものにしています。ふたりの個性が、シリーズ全体に温かみと色彩を添えているのです。読者としては、ふたりの成長や変化を見守ることも、この物語の楽しみの一つです。

    このシリーズに深く没頭する魅力は、単純なストーリー展開の面白さだけではありません。人間関係の複雑さ、内面の動き、そして、犯罪の背後にある心理まで、読者は様々な角度から物語を楽しむことができます。『吸血鬼の原罪』は、その名の通り、一見恐ろしいテーマを扱っているように見えますが、実はもっと深い人間の心理や絆に迫る作品です。

    この最新作は、既にシリーズのファンである人だけでなく、新たにこの物語の世界に足を踏み入れる人々にも、心からのおすすめができます。心を動かされる物語を求めているなら、是非とも『吸血鬼の原罪』を手に取ってみてください。その魅力に、きっとあなたも引き込まれるはずです。超おすすめ。

  • あんまりすっきり解決ではなかったですが、面白かったです。
    シリーズ全部読んでいますが、鷹央が成長している気がする。

  • 登場人物が少ないので犯人の目星は早い段階でついた。犯人はわかっても動機は医者じゃないとわからないところは流石。シリーズが長期化してややマンネリしてきてる感は否めない。

  • プロローグ/吸血鬼連続殺人事件/水晶の吸血鬼/
    血に溶けた罪/エピローグ

    この病院のトリオはずーっとこうなんだねぇ。事件が解決するなら良いかもしれないが……

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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