彼女。 百合小説アンソロジー (実業之日本社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408558714

感想・レビュー・書評

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  • 浅はかな感想だし、どれくらい作者のみなさんが百合を調べて書いたのか分からないけど、どんな人も男とか女とかレズとかバイとか関係なく好きな人を見つめる目も想いも同じなんだろうなと思った。百合小説アンソロジーなんて付けなくても十分売り出せる本だと思った。逆にそういう迎合していくのがこの本にあっているようで少しズレているようで、それがまた登場人物たちにはあっているのかもとも思った。

  • 胸キュン、胸騒ぎ、悲しみ、ほろ苦さ。色んな感情に心乱されました。
    個人的に、相沢沙呼さんの物語に翡翠らしき影が見えたのが、とてつもなく嬉しかったです!

  • ■織守きょうや「椿と悠」/扉絵 原百合子
    1話目でこの短編集買ってよかった、1000円の価値があると思えた爽やかな青春小説。普段あまり挿絵を見ることなく(先入観なく読みたいので)小説を読んでしまうタイプなのだけれど、これは黒髪ロング日本美人の椿ちゃんと(赤いリップが似合う)、イギリス帰国子女の悠ちゃん(オレンジのリップが似合う)の挿絵を見て読み勧めてほしい作品。女子高生の放課後の買い食いから始まる友情のお話。百合ってこういうのでいいんですよ、恋愛まで行かなくて、ふたりの尊い関係を遠くから拝めていれば!という作品。こういう2人だけの関係をとことん深掘りする小説が好きです。

    ■青崎有吾「恋澤姉妹」/扉絵 伊藤階
    1作目と打って変わって血みどろグログロ海外マフィア系人殺しバトル。落差にびっくり。だけどこんなテーマでも出てくるのがみんな女の子だからか、苦手なテーマだけれどわりとさくさくと読めた。
    自分たちに関わる人を必ず殺す最強の殺し屋姉妹「恋澤姉妹」に、師匠の女性を殺された弟子が挑むお話。なぜ師匠が突然恋澤姉妹に挑んだのか、という謎を知りたくて彼女は恋澤姉妹に挑むけれど、「組織から自分を殺せと命じられて、それに背いて彼女と心中=ふたりとも恋澤姉妹に殺されれば実質心中 するため」というオチがよかった。出店でテイクアウトする恋澤姉妹かわいい。

    ■武田綾乃「馬鹿者の恋」/扉絵 けーしん
    なんかこれ、登場人物男でも成り立つというか、男の子の方がしっくりすっきりくるというか。依存体質のいかにもかわいい女の子、萌ちゃん。幼馴染の主人公千晶は彼女がすきすき〜言って依存してくるのを流していたら(ほんとは大好きだけど)、転校生のイケメン宝塚男役風な女の子司ちゃんにNTRされましたというお話。
    素直になれない幼馴染と、スマートなNTR役で普通に男女の恋愛で読んだ方がしっくりくる。このコンセプトのために無理やり登場人物みんな女の子にしたというか。
    友達のかれんちゃんが好きです。武田先生の描く女の子の真骨頂。嫌いな味のチョコ押し付けてきて、たまには好きじゃないものも食べないとね、は刺さる。

    ■円居挽「上手くなるまで待って」/扉絵 toi8
    文藝サークルの憧れの先輩との関係。サークルが舞台なだけあってこの短いお話の中では登場人物が多いのと、サークルの人間関係ゆえに同じ人物も名字で呼ばれたり下の名前で呼ばれたりで人間関係を読み解くのに少し時間がかかる。学生時代の自分の小説を勝手にネットにアップしている犯人を探す、という今までの話と少し変わってミステリー要素が入ってくるお話。
    これは単に私の読書の好みだけれど、こういう文藝とか演劇とかバンドとかのサークルネタが入ってくるとなんかすっと冷めるというか(特に小説家の人って、小説を書く人を題材にしがちですけれどそれは読み手としては特に面白くないというか)であまりハマれなかった。

    ■斜線堂有紀「百合である値打ちもない」
    これも好きだった。斜線堂さんの小説はぐっろいファンタジー短編集しか読んだことなかったのですがこんな爽やかな現代ものも書ける方だったのですね。
    最初は音声だけで交流していたゲーマーの友人ノエが、実はものすごい美少女で、「ママノエ」コンビでプロゲーマーになるも、ノエだけがちやほやされる(ノエをモデルにしたゲームスキンだったり、生放送に呼ばれたり)中で、相方であり主人公ままゆが整形して美少女になっていく話。
    なんだろう、これ絶対どこかで崩壊するだろうって(ゲームスキルの方か、人間関係か。いやだって「本の背骨が最後に残る」にハッピーエンドはなかったですもの)思って読んでいたのに最後まで純愛だった。ノエちゃん好きだわ。自分が美少女なのを知っていて、「釣り合うように可愛くなってくれてありがとう」って言えるのがすごく好き。
    ゲーム実況を見る視聴者のコメントがやけにリアルに流れてくる小説なんだけど、同じ気持ちです。ママノエ最高!ノエちゃんのでれでれと、ママユの塩対応のさじ加減がたまらん。

    ■相沢沙呼「微笑の対価」/扉イラスト 清原紘
    これ最後にします・・・?世にも奇妙な物語だって最後は感動系じゃないですか。高校の同級生に頼まれて不倫相手の恋人を殺して埋める話。
    なんだろう1話目のきれいな青春物語を汚く巻き直しているというか(リップをプレゼントするくだりとか。ゆりの定番なのか)
    うーん間が多少どろどろしても爽やかな読後感でこの本を閉じたかった。
    これならノエちゃんが最後でよかったじゃないですか。自分のこと好きなのを利用して人を殺してもらう女の子の打算的な話より、いつでも周りになんと言われてもままゆが好き、と生放送でもなんでもいっちゃうノエの爽やかさがほんとうに好きだった。

    本の総括。ママノエはもうコンビ名がカップリング名だから尊い。

  • 「椿と悠」
    女の子同士のありがちな、勝手に勘違いして、勝手に妄想して、勝手に傷つく。大好き。女の不器用な部分がきれいに描かれている。お母さんかよ、のセリフには思わず笑っちゃったね。
    「馬鹿者の恋」
    若いなぁ。愛は無償じゃない事に気づけなかったんだよね。
    「百合である値打ちもない」
    隣に歩くのに見合う自分でありたい。好きなのに、それでももっと美しくあってほしい。相手のことが好き、ってそれだけでいいはずなのに。他者の評価が気になってしまう。悲しいね。
    「微笑の対価」
    タイトルが秀逸。自分の知らない彼女がいる。私に見せてくれない彼女の内面。知りたいけど、知りたくない、気持ちがぐらつく描写が好き。
    「恋澤姉妹、917円、うまくなるまで」
    は百合というか、なんというか。お話としてはうまくなるまでは好きだけど、百合とは?という気持ち。

  • 微笑の対価、最後のとこで!?ってなった

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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