- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478021743
感想・レビュー・書評
-
368||Ka
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近話題になった「フクシマ論」の著者の手になるものとは知らずに読んでいた。そして、読み終わってから、著者のプロフィールを見て、ずいぶん若い人なんだなと思った。というのも、本書に盛られた12編のルポが、ベテランのルポライターの作品ように思えたからだ。
著者は、本書について、広い意味での社会学の論文、あるいは社会学的な考察による学術的な意義のある書物として理解されたがっているようだが、(著者も許容するように)ルポルタージュ集として読み、優れたルポだと感じた。ルポの対象は、どれも「周縁的な存在」として位置付けられており、そのようなものであることは十分納得できる。何よりも、自分が知らない世界でありながら、決して完全にアンダーグラウンドというわけでもなく、目に入っても見えないか見えないふりをする不可視化されたものを掘り起こしていて、とても興味深い。 -
裏の人物ですら存在が希薄化される社会。
-
現代社会とな何か?そんな大きなテーマを社会の隠された部分=周縁的な存在を浮き彫りにすることで探っていく。売春島、ホームレスギャル、生活保護受給者、違法ギャンブル、ドラッグ、偽装結婚、留学生などなど。平穏を装っているような日常が浮かび上がる。
-
通勤途中の車から降りて
道端の草むらにしゃがみ込んで
その時の空を見上げ゛て
しばし ぼーっ と
何もせずに 過ごしてみたら
本書に描かれたさまざまな人たちの
息吹が聞こえてくるかもしれない
私たちが暮らしている この現代の
同じ空の下に
このような人たちが 暮していることを
知っていることは
「今」を生きていく覚悟につながっているような気がする -
フクシマ論よりも、断然自分はこちらの方が好き。開沼さんの考え方は、サイードに近い。