10宅論: 10種類の日本人が住む10種類の住宅 (ちくま文庫 く 7-1)
- 筑摩書房 (1990年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480023827
感想・レビュー・書評
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「モノの行う象徴作用が場所に深く依存している様相(西洋の象徴作用は場所に関係なく発生するのに対して日本の象徴作用は場所中心的である)を説き明かす」ことが主題、場所の分類基準を「住宅のスタイル」とした上で「住宅スタイルの違いは住む人間の違いを意味し、その人間の価値観の違いを意味し、かつその場所で繰り広げられる象徴作用の全体を支配する」という前提で論が構成される。近代合理主義批判と日本的な場所システムの提示。
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モノ型象徴作用、場所型象徴作用という大きな二つの象徴作用があるという処が非常に興味深かった。
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住宅についての知見も興味もあまりないので、なかなか難しい読み物だった気がする。時間を空けて再読したらすんなりと頭に入る気がする。
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20年以上前の本なので、今にも共通しているところと変わっているところを意識しながら読んでみた。うん。とても面白かった。ただ時間をかけて読む本じゃないなーさらっと、一気に読むべきだった。
くまさん自身、でっちあげって言ってるけど、ほんとそうだと思う笑
いやふざけすぎでしょ!って思うところもいくつか。。建築家の本、読んだことほとんどないけど、くまさんのはたぶん好きだなーと思う。
隅氏 くまし くましー ふふふ クマシー あはは
結局、建築の本ではないんだろうなあ。
「場所中心的」な日本文化、
記号、の届く領域こそが「場所」
引用は線ひいたところ多すぎてかけんわー -
・ちょっとイジワルい視点で分析した現代住宅論。
しかしことごとく、的を射ている。
・意地悪く論評するけど、
必ずしもその玉が読者に行かないようにしているので、
面白く読める。
いいたい事を言っているようで、
相手の状況を把握するのと
それで出方を決めるのが非常に上手い。
コンペやプレゼンに強いはずだなぁ~。 -
1990年に発行されたけど、今読んでも古いと感じることはあまりない内容だと思います。(細かい内容の中にはバブルの頃だなぁと感じさせるところはチラホラありますが・・・)
家じゃなくて「オウチ」という表現はなかなか皮肉ってるなぁという感じがしましたが。建築本というよりも様々な建築専門書のパロディ本という感じですが、面白くどんどん読めました。図面やイメージ図・表が入っているのが分かりやすくて面白いです。 -
「♪もしも〜 わたしが〜 家を建てたなら〜」小坂明子の「あなた」という曲は戦後というか、70年代以降の日本人の住宅に対するイメージをグダグダにしてしまったA級戦犯の曲だと思う…。恐らくは、色々なメディアを通して熟成しつつあった日本人一般の住宅に対するイメージがこの歌に昇華したのであって、この歌そのものが原因ではないのだけれど、これほどまでに顕在化させたのはやはり戦犯認定じゃないだろうか。この隈研吾氏の「10宅論」は日本人の住生活を10の階層に分類してその志向するところを徹底的に批評したもの。曰く「ワンルームマンション派」「清里ペンション派」「カフェバー派」「ハビタ派」「アーキテクト派」「住宅展示場派」「建売住宅派」「クラブ派」「料亭派」「歴史的家屋派」都市で流浪するモラトリアムから持家まで、全ての住み手と全ての住宅設計者を敵に回したかのような著作で、この本が原因かどうかは定かでないけれど隈さんへの住宅設計の依頼はとても少ないらしい(笑)。10の階層それぞれにカルテを用意して「イデオロギー」「集団を規定するメディア」「参照される建築様式」等などを想定した上で何故このようなデザインを志向するに至ったかを細かく分析。しかし、最終的には10の階層それぞれが同じ原理を共有している事を指摘してしまう。外観だけ西欧のデザインで内部は現代の日本人の生活に合わせた住宅を「(西)洋風建築」と呼ぶのはいいとして、そうでない建物に対して「和風建築」と呼ぶことに強く違和感を覚えていたのだけれど、古い寺社仏閣等が「日本建築」であるのに対して、それ以外で「洋風建築」でも無いものは「和風建築」に他ならないことに強く納得した。建築の専門でなくても楽に読めます。
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目次
1 ワンルームマンション派
2 清里ペンション派
3 カフェバー派
4 ハビタ派
5 アーキテクト派
6 住宅展示場派
7 建売住宅派
8 クラブ派
9 料亭派
10 歴史的家屋派 -
はじめに
分類ゲームの前提
Ⅰ ワンルームマンション派
Ⅱ 清里ペンション派
Ⅲ カフェバー派
Ⅳ ハビタ派
Ⅴ アーキテクト派
Ⅵ 住宅展示場派
Ⅶ 建売住宅派
Ⅷ クラブ派
Ⅸ 料亭派
Ⅹ 歴史的家屋派
あとがき
文庫版あとがき
解説 山口昌男
(目次より)