「かわいい」論 (ちくま新書 578)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 892
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062819

感想・レビュー・書評

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  • 704-Y
    小論文・進路コーナー

  • 終始「かわいい」の話題だけで一冊の本ができるのがすごい。文学の視点が入っているので、そういうのが好きな人にちょうどいい一冊です。アウトサイダーアートというものを初めて知りました。

  • かわいいは美とグロテスクの境界領域にあり小ささや未成熟、懐かしさといった性格を持つばかりではない。

    かわいいは
    ・一方では他者依存のための戦略としての媚態であると解釈され、
    ・もう一方では少女たちにおける意味作用に結実する以前の指示行為、すなわち「かわいい」と指差して叫ぶと言う身振りそのものと考えられている。それはかかる身振りを儀礼として受け止めることでなされる親密な共同体の確認行為である。

  • かわいいという言葉についての成り立ち、日本語と海外での捉え方の違いなどは興味深いし、かわいいと感じる背景に小ささ、儚さ、弱さなどが含まれることは納得。
    ただ、可愛いというのは結局なんなのかはわからぬままで未消化な部分も結構あった。
    なんとなくわかるようなわからないような…

  • 「かわいい」を深く論じる古典ともいえる名著。

  • 著者の写真はなんでこんな背景なんだろうと思ったら、解説が中にあった。なるほど。

    「ミニチュア化されたものは、原寸の実物のものがただたんに小さくなっただけではなく、そこに魅力などが凝縮されているんだ」って書いてあった、と教えられたのをきっかけに読んでみた。

    個人的にはその部分よりも、「かわいい」という言葉の意味の薄さ、つまり「かわいい」が持ち合わせる意味があまりに広く形骸化していることと、
    ある年齢を越えると「かわいい」と言われることに違和感を覚えることが書かれていた部分に共感した。

    どこか非力な、いたらない部分を指摘されているようで馬鹿にされているように感じて反応に困る。
    学生時代にはうれしかった言葉が、だんだんとうれしくなくなってくるように思っていたところ、それが書かれていたのでこういうことだったのか、とすっきりした。

    そしてあるものが「かわいい」のは、そのもの自体が「かわいい」のではなくて、
    それを見た人の心が対象物を「かわいい」と思わせている(解釈して思い込んでいる)だけなのだ、というのに妙に感心した。

    「かわいい」という表現は、無難にポジティブな気持ちを伝えるのに使ってしまうけれど、いまの私にとっては人に大しては使いたくない言葉だな。

  • ★2017/8/23読了。

  • ヴァルネラビリティに満ちた存在=「かわいい」。支配したいという欲求。対象を自分よりも下の、劣等な存在とみなすこと。

  • 筆者は、「かわいい」は今や前世界を覆い尽くす一大産業と化しているという。「かわいい」の歴史的変遷、諸外国語での「かわいい」をスタートとして、様々な視点から「かわいい」現象を分析した一冊。
    ちなみに第9章の「『かわいい』、海を渡る」の箇所は、河合塾の全統模試で出題された箇所。その他の箇所も大学入試で頻出。
    たった一つの言葉を、このように派生させながら深めていく部分に面白さを感じる。
     10年以上前に書かれた本なので、現代版の「かわいい論」を読んでみたい。

  • とても面白いしとても身近な本。一気に読めました。出版されて10年近く経ってから読むことでまた味わいがあるなぁと

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著者プロフィール

四方田 犬彦(よもた・いぬひこ):1953年生れ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。

「2024年 『パレスチナ詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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