「かわいい」論 (ちくま新書 578)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 892
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480062819

感想・レビュー・書評

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  • 現代日本に蔓延り、世界に輸出されている「かわいい」感覚について、その本質はなんなのかを、様々な角度から検証している。最後の方はちょっと支離滅裂な感じで、私には理解できなかったが、「かわしい」は「わび・さび」「いき」に続く、我国ならではの美意識である(なりつつある)のは間違いないようだ。

  • (*01)
    本書が書かれた頃、私が考えていたのは、「こわい」と「かわいい」との差であり、その差分の融通であり、さらに怖いと可愛いの源泉と見ていた信仰に関わる問題(*02)であった。
    本書は、今昔物語集や枕草紙などの古典文学から萩原朔太郎や太宰治の近代文学を経て、森田芳光の「家族ゲーム」などの現代映画に至るまでに現われた形容詞としての「かわいい」を歴史的に繙き、アニメや雑誌など風俗に現れる「かわいい」を学生アンケートへの考察も放り込みながら論述しており、21世紀初頭の時点での「かわいい」に係る問題のよい概説書となっている。
    ノスタルジア、スーヴニール、ミニュアチュールとして、「かわいい」を構成する背景を整理しているが、私はそれらも含めて、文字の文学をもたない常民にあった信仰の破滅的形態として「かわいい」ものを見ている。郷愁、土産、矮化は、近代の移動性とそれに対応したコミュニケーションの工夫であって、「かわいい」の背景でもあるが、「かわいい」におさまらない問題を孕んでいる。
    今後も「かわいい」のニュアンスは変化していくと予想されるが、今この時代の「かわいい」のメルクマールとして価値を本書は有している。

    (*02)
    柳田國男の妖怪論に照らせば、現代のアニメのキャラクターや同人によるキャラのサンプリングは、近世の妖怪がたどった道になぞらることができる。村上隆が作品化するキャラクターも参照項として注意されたい。

  • 2014/11/7購入
    2015/9/29読了

  • そろそろ真剣に論じられていいと思ってた「かわいい」について。
    これから、もっともっと研究対象になってもいい分野なんじゃないかな。
    入口として面白い本だった。

  • 結構興味深い内容なんだけど結論出てなくね???ってなった。
    なんかキティちゃんとか萌えとかファッションとかいろんな視点から考察してたんだけどもうちょっと絞ってもよかったかなと思う。
    まあでも「かわいい」という言葉?概念?について考察してること自体面白いというか斬新なので、一読する価値はあると思います。

  • 「かわいい」ということはどういうことなのか大学生にもアンケートを取ったりしてたり、各国の語源的な意味とか割と学術的な本。
    文化外交に使えるとされて久しいけれどちゃんと読んでみてどういう意味なのか考えることができたかも。

  • アウシュヴィッツの「かわいい」絵の話がかなり印象的。何かで読んだことがあるけど、アメリカが第二次世界大戦のときにディズニーアニメを捕虜に見せてアメリカの力を示していた、という話とちょっと似ているなと思った。
    私自身もかわいいものや人が大好きで、「可愛いは正義」という言葉を使うことがある。ああ、これって怖いな、って少し私の可愛い神話が揺らいだ。

  • 小難しい論説なんですが、ときどきふかーくうなづけるところがあります。図書館で借りて読んだけど、これは買って手元に置こうかな・・・・。

  • 学生たちへのアンケートで、男女でかわいいに対する態度が違うのが面白い。

  • 2013/12/3読了。

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著者プロフィール

四方田 犬彦(よもた・いぬひこ):1953年生れ。批評家・エッセイスト・詩人。著作に『見ることの塩』(河出文庫)、翻訳に『パゾリーニ詩集』(みすず書房)がある。

「2024年 『パレスチナ詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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