未来のきみを変える読書術 ――なぜ本を読むのか? (ちくまQブックス)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480251121

感想・レビュー・書評

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  • 中学生向けのシリーズだが、前半と後半で最適な読者が異なる内容に感じる。読書の意義は、読書を好まない子ども向けだろうが、その子にとって後半の読書レジュメの作り方はハードルが高すぎる。
    悪い内容ではないが、どのような子に薦めればよいか迷う本。

  • なぜ本を読むのか?
    シンプルだけど答えづらい問いに向き合う本。
    自分をGoogleマップにするため、経験だけでは得られない知識を蓄えるため。
    著者に学校の先生向けに講演会してほしい。

  • 『未来のきみを変える読書術』
    著者 苫野 一徳
    ちくまQブックス 2021年

    新進気鋭の哲学者である苫野一徳さんによる本を読むことに関する本です。
    この本の主張は至って簡単で、「読書をすることによって、脳内のネットワークに電流が走り、あらゆる知恵や思考が1つにまとまり、人生の難題を解決するための最適解が導き出される」というものです。それに付随する形で、本を読む方法、読書ノートの作り方が書かれています。

    この本の一番面白いところは「欲望・関心相関性の原理」と呼ぶものを読書に適用した上で、その読書の役割を狭めるのではなく、あえて広げているところにあると考えます。

    「欲望・関心相関性の原理」とはこの世に絶対正しいと言えるものはなく、それはいつでも僕達の欲望(こうなってほしい、こうでありたい)と関心の色を帯びているというものであり、これを読書に適用すると、自分は正しく本を読んでいるつもりでも、それはきっと自分自身の欲望や関心を過大評価して読んでいるということです。(現にこの文章がそうです。ほかにも注目すべきところはたくさんありますが、私はこの事柄を選んだのは私の関心がこれに向いているからに他なりません)
    しかし、だから読書をしても意味がないと捉えるのではなく、それをさらに発展させて著者が書いてあること以上を読み取ることだってできるというのが本書で書かれていることです。

    この本を読んで、読書に対して改めて考えさせられた。本を読むという行為自体、今はほとんどの人間がやっていないのではないかそう思わせるほどに、今の時代日常的に本を読む人を見つけるのは難しくなった。もちろん、本を読むことが全てではないが、本を読まないと生きていけないという人に出逢おうと思ったらどれだけの人と出会えばいいのか?
    そんな中で、本を書いてそれを受け取り、本を読むこの行為は非常に気高く、そして卑しい。
    どこか人の欲望に似ている。そういうものであり、そういうものでしかないのだと思う。下手に絶対視しない。上手に相対していくことが重要なのだと考える。


  • 「苫野一徳」月間、3冊目
    はからずも「読書は僕たちをグーグルマップにする」的な読み方をしている私
    そもそもこのブクログもレジュメ(読書ノート)とまでは言えないけれど、記録のために始めたもの
    これからは新書も積極的に気にかけて手に取ってみよう

  • 学生向けなだけあって簡潔だしレイアウトも読みやすかった

  • ライトに読書の要諦を紹介。
    頭にGoogle mapをつくる読書。

  • 本は編集者、校正者、作者の合作。
    熟成度が高い。
    本を構造的に捉える。背景も含めて。
    問いは何か。どのような方法で解こうとしているか。答えはなにか。

  • 中高生くらいの若者向けの読書論。読書をすることでどんないいことがあるのか。どのように本を見つけて読んでいけばよいのか。本から得たものをどのように残していくのか、という三つの章で展開していく。

    本を読むことの意義として、最初に語られるのが「クモの巣電流流し」だ。バラバラだった知識が、ネットワークのようにつながることで、新しい閃きが生まれることを表現した比喩だ。そのため、著者は、本を読むにあたって、広く多読することを重視する。
    また、知識というのは、いつでも何かための「道具としての知識」で、わたしたち自身の興味や問題意識の大切だという。ただ、この自分自身の興味や問題意識を見つけることこそが、実はけっこう難しいのではないか、とも思った。どうしても、「知のネットワーク」ができるまでの道のりは、そこそこかかるし、それまでの全く分からない期間を乗り越えるには、それなりの忍耐やこの先にもっといいことがあるという期待感が必要のように思う。
    本書は、全体を通して、そうした個人の持っている知的好奇心を信じた展開だったように感じる。

    面白かったのは、「信念補強型の読書」と「信念検証型の読書」のところだった。本を読むときの態度として、自分が初めから考えていたことを確認するための読書と、それを本当にそうなのか、と揺さぶるための読書があるという話だ。
    どうしても、自分の考えていたことを肯定してくれる話を読むことは心地よいものだ。好きな著者の本や、好きな分野の本ばかりを読み漁ったりすることの楽しさは、自分の考えを狭めることの原因になることは、経験的にも思うことだ。だからこそ、「自分の信念や考えは本当に正しいのか、妥当性を持っているのか、自分で自分を厳しく検証しながら本を読む態度」(P87)は、大切な態度だよな、と思う。
    ただ、これもけっこう高い意識を必要とする態度なのではないかとも思う。
    全体を通して、本が好きな自分にとっては、うなづけることがたくさんあった一方で、本を読むこと、学ぶことに対して、ストイックになれる人向けの本であった。

  • 本を読んでグーグルマップになろう。
    わかりやすく面白い読書術。本を読んで得るもの、本の読み方、読んだ後のレジュメ作り。特にノンフィクションや学術書を読む時の足がかりとなるあれこれが示されます。
    10代の頃に知りたかった。いや今からでも!

  • もともと本に関する本を読むのは好きなんだけれども、ここのとこ、またさらになんで人間には本が必要なのかということを考えている。というわけで、もう知らぬうちにひとつ答えが出ちゃったのだけど、考えるために読んでいる、本を。本当に考えたいことは、自分の頭だけでは深まっていかない。

    読書離れや本屋さんがなくなるなんて話が巷にあふれているけれど、本は、ピアノを弾くよりプールで泳ぐより、YouTubeを見るより実はずっと気軽なもの。なんせ図書館があるのだからお金がかからない。鍵盤も水着もスマホも持ってなくて大丈夫。それはだって、本を読む権利が誰にでもあるから。考える権利があるから。でもそれだけじゃない、本を読む理由はもっともっとたくさんあって、人それぞれで、本を読めば、何かしら、ああ、本を読んで良かった、と思うことがあるはずなのだ、誰にでも。ピアニストにも水泳選手にも、YouTuberにもなれなくても、「読者」には誰でもなれる。

    あら、この本のことを書こうと思ったのに、ちょっとつらつら違うことを書いてしまった。「なぜ本を読むのか?」ってことが、とても簡潔に書いてある本だった。中高生向け?にしては3章がそうかしらん、と思ったけど、ぜひ大人も。てか、本に対象年齢などないのだ。

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著者プロフィール

哲学者・教育学者。1980年生まれ。熊本大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。早稲田大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程修了。専攻は哲学・教育学。経済産業省「産業構造審議会」委員、熊本市教育委員のほか、全国の多くの自治体・学校等のアドバイザーを歴任。著書に『学問としての教育学』(日本評論社)、『「自由」はいかに可能か』(NHK出版)、『どのような教育が「よい」教育か』(講談社選書メチエ)、『勉強するのは何のため?』(日本評論社)、『はじめての哲学的思考』(ちくまプリマ―新書)、『「学校」をつくり直す』(河出新書)、『教育の力』(講談社現代新書)、『子どもの頃から哲学者』(大和書房)など多数。

「2022年 『子どもたちに民主主義を教えよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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