言葉を育てる: 米原万里対談集 (ちくま文庫 よ 21-2)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480424709

感想・レビュー・書評

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  • 会話とは思えないほどの情報と、構築された理論が行き交う対談集。
    子供の頃は、誰もが抱いていた正義感や潔癖さ。米原万里の類稀なる知性はずっと、そんな柔らかい心の上に積み重なっていたのがわかる。彼女が日本人でうれしい。彼女が女性でうれしい。

  • 浪人時代、この本を神保町の三省堂でなんとなく手に取ったのが米原万理さんとの出会いでした。

  • 逐語的に訳すのではなく、自分で理解したことを相手に伝えること。
    言語のみならず、その国の情勢、常識などの知識も必要。
    外国語分かれば通訳もできるでしょ、なんて、ほんと、とんでもない。やはり通訳ってすごい。心拍数上がるくらい頭をフル回転させてるんですね。

    役人的な通訳ではなく、その場その場で機転を利かせて訳していたというのもすごい。

    そんな米原万里さんでも、最初はパニックでブースから逃げた、という逸話も好きだ。最初から完璧な人はいませんね。

    対談の端々からバイタリティが溢れ出ていて、励まされました。

  • 言葉で論理的に説明する大切さ。言葉でうまく説明できないよさに重きを置いてきたけれど、そろそろ違う一歩を踏み出すのもよいかなと思うこの頃。2013.01

  • 惜しい人でした。

    アーニャの続編(同級生の男の子達の物語)は結局どうなったのだろう?

    「ソ連時代は85ヶ国語でモスクワ放送をやっていた。クレムリン宮殿の大会議室には同時通訳ブースが38あった。国連だってそんなにはない。ブースの数がすごいのではなくて、それだけの言語の同時通訳者を養成できたという文化的な力がすごい。(一部略)」


    アルメニアワインの話。アゼルバイジャンとアルメニアが闘っていた頃にアゼルバイジャンに招かれた日本の市長が、「僕はアルメニアコニャック大好きなんだ」。
    そのまま訳すとまずいが、「アルメニアコニャック」という単語は相手にわかってしまっている。絶対にそのまま訳せないので「アルメニアのコニャックは世界一と言われていたが、お国のにはかなわない」と訳した。

    ベネチア映画祭での北野武の「またイタリアと組んでどこか攻めよう」を、通訳が攻めるの意味がわからずに訳せなかった。残念・・。

  • 米原万里マイブーム再来のため読む。これは今まで未読。

  •  対談集なのだけど、米原氏が質問を受けて返答しているだけの、インタビューみたいになってしまっている相手と、ちゃんと対談してる相手とがハッキリ分かれていると思った。
     基本的に米原氏の話が面白くて読んでいるのだから、インタビュー状態でもいいのだけど、ちゃんと対話している相手だと、その人にも興味が湧いてくる。
     特に辻元清美議員との対談は興味深かった。相手が政治家だと思うと、ついつい斜めの視線で見てしまうところがあるし、テレビの討論会で侃侃諤諤やってるのは、苦しくて見ていられなくなってしまったりもするので、こういう形になっていると有難いなどと、自分に都合のいい事を思ってしまった。

     先日亡くなった児玉清氏との対談もあって、もうお二人ともいらっしゃらないんだなと思ったら、対談の内容とは別のところでジワッと来てしまった。

     田丸公美子氏との対談は、やっぱり勢いあって面白い。シモの話が凄く多いのだけど、それもベタついてなくて楽しいし。
     米原氏が「絶対寝てみたい男性」で挙げたのがゾルゲとゲバラっていうところはつい声だして笑ってしまった。

     ところで、米原氏の本を読むといつも在プラハ・ソビエト学校って素敵、子供に劣等感を植え付けない教育って本当に素晴らしいと思う。
     勉強が出来ない子がいたとしても、それにはそれなりの理由があるわけで、その事自体が個性として尊重されるとか、“天才”とは神様から貸し出された才能の事だから、本人も謙虚であり、周りもみんなが祝福して我が事のように喜び、決して足を引っ張ったりしないとか。
     でも今の日本では、こういった教育方針は馴染まないのだろうな。
     どんな社会制度にも欠点はあるのだよね……と考えてしまう。

  • 2011年4月15日購入。
    2011年8月5日読了。

  • 2006年に亡くなった米原万里さんの対談がまとめられたものです。
    お相手は敬称略で 小森陽一、林真理子、児玉清、西木正明、神津十月、養老孟司、多田富雄、辻本清美、星野博美、田丸公美子、糸井重里。
    そして最後に黒岩幸子「素顔の万里さん」というエッセイが収録されています。

    盟友・イタリア語通訳者の田丸さんとの対談が読みたくて借りたのですけど、多彩な顔ぶれとそれにまけない万里さんのしゃべりに圧倒されてしまいました。
    最晩年に彼女を知った私。リアルタイムでお話を伺いたかったものです。

    この中でも語られていた、母国語の重要性。
    何をものするにしてもまずはそこから。
    そして在プラハ・ソビエト学校での授業の素晴らしさとそれに対しての日本での授業や試験の無味乾燥さ。
    とにかく自分の言葉で語ることというのが人生をどれだけ豊かにしてくれるか。

    目からウロコがポロポロと零れ落ちるお話の数々。
    もっと多くの「毒舌」を吐き続けていただきたかったです。

  • 対談形式。やはり米原さんは切れ味抜群。様々な雑誌等に掲載されたものを集めたもの。対談相手は、林真理子、児玉清、神津十月、養老孟司など。面白く、興味深かったものの対談相手は辻本清美(議員)、田丸公美子(イタリア語通訳・友人)、イマイチは糸井重里。解説にかえて「素顔の万理さん」は、同じロシア語通訳者の黒岩幸子さん。生前の素の米原麻里を紹介されている。これ、米原さん存命中は書けなかっただろうと思う。米原さんへの敬意は感じられる。…でも、あまりにも生身の米原さんを正直に書いていて・・・私はこんなの知らなくてよかったのになって思っちゃった。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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