82年生まれ、キム・ジヨン (ちくま文庫 ち-19-1)

  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480438584

感想・レビュー・書評

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  • 帯どおり、私の物語だと思う部分が多々あった。
    特に男性の育児を「手伝う」という表現には、私も疑問でしかない。
    自分が思うことを、我慢せずに言い続ける自分でいたい。

  • 某所読書会課題図書: 数度の訪韓経験があり、ハングルも何とか読めるレベルだが、実際の韓国人女性の生活を細かに描写しており、意外な事実に驚くばかりだった.男社会の中で、女性たちが仕事に家庭生活に奮闘している実態を見て、バイタリティーが凄いなと感じた.それに伴い、男からの嫌味も顕在化しているのも、日本の状況から予想される光景だと思った.伊東順子さんの解説が重要な点を網羅しており非常に参考になった.

  • 韓国作家の本は初めて。第一印象は恨。男女の待遇の差は日本もあるが出産の苦悩や姓被害は確かに辛い。でもこちらも進学、就職、結婚はと聞かれるし、出世も給与も残業も同じ様な経験はある。誰にでも平等に不条理はあるのが現実。ネットや道で出会う知らない人の不快な言葉は無視でいいのに過剰に反応し自分が病んでしまうのは、他人のせいにしているからでは? 偏ったものの見方で書かれている印象だが、こういう見方もあるのかとも。常に心が重いフェミニズムの押し売り作品。自分の精神的健康をいかに不条理の中で保つかを模索したらいいのに。

  • 2023 7/1 #10
    ゼミで読んだ

  • ◆加害者が小さなものを一つでも失うことを恐れて戦々恐々としている間に、被害者はすべてを失う覚悟をしなくてはならないのだ。

  • キム・ジヨン氏の独白は冷静で真っ当で、その正しさが認められず受け止められず流されていく様が、これが現実だと肌身で分かることが哀しい。様々な違和感や苛立ちには理由があり、本書が出ることで、その拒否感に名前がついた。存在の輪郭が浮かび上がった。

  • ジヨンさんはジヨンさん。でも彼女は私の一部だし、自分の性質を理由に窮屈な思いをしている他の人たちの一部でもある。
    韓国という違う国の話だけど、日本でも同じように感じる。きっと他の国でも同じかも。時代が違うだけで。

  • 冒頭、主人公が夫と幼い娘とともに、秋夕(旧暦の8月15日。里帰りして先祖の墓参りをするのが恒例とのこと。日本のお盆みたいなもの?)夫の実家を訪ねるあたりで、恐怖・嫌悪のような感覚が軽い吐き気のようにやってきた。
    里帰りでつらい目にあった経験があるわけではないが、私は父が長男の三世代同居の家に育った。物心ついた頃から周りにあった、女性にのしかかってくるもの、「女性の役割」を果たせるかどうか、その分野で使えるやつなのかどうなのか、で全てが決まってしまい、それ以外の私には何の価値もないような空気が、とにかく怖いのだ。
    だから、その辺で話の続きは一旦置いておいて、巻末の解説を読んでみた。それから読み進めた。
    主人公キム・ジヨンが物心ついた頃から、子育てに専念するようになり、そして、心に変調をきたすまでのことが淡々と描かれていた。
    多くの方が既に書いているとおり、ジヨンの母・オ・ミスク氏の強さ、しなやかさが何とも印象的で、救いのようにも感じられる。
    でも、彼女が、身ごもった3人目の子どもが男ではないという理由で、堕胎をする場面は、ただただ悲しく衝撃的だ。そして、その直後に、当時、産児制限政策の下で、性の鑑別と女児の堕胎がおおぴらに行われていたこと、三番目以降の子どもの出席比率は男児が女児の2倍以上だったことに触れられる。あらゆる場面で、この物語はフィクションであっても決して絵空事ではない、と突きつけてくるのが、この作品のすごみだと思う。

    ジヨンが直面する女性だからのあれこれは、小さな針のようなもので、夫の実家への里帰りのようにものすごく心当たりのある話も、私はそういう目には運よく会わなかったというのも、あった。ただ、その小さな針が次々に刺さってくる息苦しさは、ずっと前から知っていたように思う。

    オ・ミスク氏の話では、ジヨンの姉・キム・ウニョンの進路に意見をいうところも印象的だ。子どもを育てながら働くのに教師以上の職場はないとして地方の教育大学を勧めるのだ。姉にはほかに将来の夢があり、部屋には世界地図が貼られていて、行きたい国にシールが貼ってある。姉に私にはほかに夢がある等と言われた母親は、自分が間違っていた、勉強をがんばりなさいと言う。

    私は、女性であることのハンデができるだけ少ない職業の中で、自分にできそうなものを選んだ。やりたいかどうかはほとんど考えなかった。私に20歳前後の娘がいたら、私と同じような考え方で進路を選ぶように言うだろうか。私にできなかったことをしてほしいと願うだろうか。ともあれ、若い頃のその選択の延長線に今の私があって、たまには読みたい本を読んで好き勝手できる生活をしているのだけど。

    巻末の解説では女性差別やミソジニーにとどまらず、さらに視点を広げて、マイノリティへの支援とそれを理由とする攻撃や社会の分断についても少しだけ触れられている。私も、マイノリティでありながら、マジョリティでもある。

    こういった本が出版され、多くの人に共有されること、それだけでも大切なことと思う。それは始まりにすぎないということを理解したうえでだが。

  • もっと衝撃的な内容かと思ったら、割と淡々と話は進む。その分リアリティがある。華やかなエンタメの印象が強い韓国だが、女性を取り巻く環境はかなり前世代的で驚いた。

  • 82年生まれではないし、結婚していないし子供もいない。しかしキム・ジヨン氏が「壊れる」までに至る人生で彼女が経験してきたことは、自分にも身に覚えのあるものが多少あった。幼少期に男子にいじめられたのも自分のせいだと思い込んでいたが、それは思い込まされてきたと気づくし「女のくせに」と言われてきたことが決して自分が悪いことではないと思い直せる。フェミニズムについて誤解してきたと思うなら、この本がいいテキストになる。身近な男性にも読んでもらいたいけど、さてさて。

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著者プロフィール

チョ・ナムジュ:1978年ソウル生まれ、梨花女子大学社会学科を卒業。放送作家を経て、長編小説「耳をすませば」で文学トンネ小説賞に入賞して文壇デビュー。2016年『コマネチのために』でファンサンボル青年文学賞受賞。『82年生まれ、キム・ジヨン』で第41回今日の作家賞を受賞(2017年8月)。大ベストセラーとなる。2018年『彼女の名前は』、2019年『サハマンション』、2020年『ミカンの味』、2021年『私たちが記したもの』、2022年『ソヨンドン物語』刊行。邦訳は、『82年生まれ、キム・ジヨン』(斎藤真理子訳、ちくま文庫)、『彼女の名前は』『私たちが記したもの』(小山内園子、すんみ訳)、『サハマンション』(斎藤真理子訳)いずれも筑摩書房刊。『ミカンの味』(矢島暁子訳、朝日新聞出版)。『ソヨンドン物語』(古川綾子訳、筑摩書房)が近刊予定。



「2024年 『耳をすませば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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