- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480438584
感想・レビュー・書評
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韓国でベストセラーになったフェミニズム小説。日本でも売れてるけどもっと読まれてほしい。同世代の男性諸氏。日本以上に儒教的慣習の強い韓国特有の事情もあるけれど、多くの日常的で社会的な抑圧や感情は日本でも同様でしょう。この小説で描かれる「名もなき男性たち」と自分は違う、という感覚や居心地の悪さを感じる男性も同世代には少なくないと思います(私もそうです)が、そのようなフェミニストやアライの男性としてどうあるべきかをより考えていくためにもまずは読んで自分の感情、感覚と向き合うことは大切なのだと思います。
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文庫化により巻末に、
文庫版に寄せて 著者からのメッセージ、ウンユ氏の評論「『82年生まれ、キム・ジヨン』以後に女性が語り、書くということ」、文庫版訳者あとがき
が増補されています。
単行本の巻末から載っていた、著者あとがき、日本の読者の皆さんへ、解説 伊東順子、訳者あとがき、も合わせて非常にためになります。
著者が“荒涼とした砂漠を顔に持った女の人”と表現している日本語版の表紙の意味をずっと考えています。
著者は「キム・ジヨン」を「まじめで必死だったけれど、どうにもならなかったこと」の代名詞、と言っています。
解説では「キム・ジヨン」を“著者の分身でもある”としています。
訳者は「キム・ジヨン」を”徹頭徹尾、目的から逆算して作られた、非常に戦略的なキャラクター”だと言っています。そして、”この主人公には「顔」がありません。だからこそ、読者が思い切り自己投影し、自分の物語を反芻することができます。”と。
文庫版訳者あとがきより
”本書がいかに周到な計算で設計されていたか”
”「韓国ってこんなに遅れてるの」という見当違いの感想を引き出さないか、という疑問もありました。”
とありました。若干のニュアンスの違いはあるものの、これは10年前の日本だ…なんで感想を抱いた私はなんて浅はかなんだろうか、、、と巻末資料を読んで考えさせられました。
1982年に出生した女の子の中で最も多い名前である「キム・ジヨン」としてのキャラクターの造形にはじまり、著者の主張のポイントに焦点をあわせるためにすべてが計算されている戦略的な手法をとっていると。なるほど、ジヨンとデヒョンの恋愛描写がなく(元彼との恋愛過程はあるのに)急に結婚ということに違和感があったので、その理由として、”愛でどうにかなる問題ではないことを示しているのでしょう”とあったのには目からウロコでした。
解説で伊東順子さんは、「劣った性」として差別する「過去の伝統的な男尊女卑」と、ママ虫を例に「不当に恵まれている」と攻撃する「現在の韓国で問題になっている女性嫌悪」をつなぐ小説、と言っている。しかし、韓国社会における女性嫌悪は軍隊問題と切り離せないし、”先進的な制度改革に、国民の意識と社会の構造が追いついていかない。”
文庫版の著者あとがきの締めの一文を、文庫版の訳者あとがきで下記を引用していました。
”軽くなった本を重くなった心で贈ります。”と。
言い得て妙です。こんなに軽い本なのに、ものすごくでかい本だなぁと思いました。
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2,3年前にある韓国エッセイにハマっったときに近くに置いてありいつか読んでみようと思っていた一冊。
まだ一回しか読んでいなくてまだ読みたりなさがある。
日本と韓国だと同じアジアではあるけど国の状況も仕組みも違うところが多いからあまり共感できないのではないかと思っていたけれど読んでみたら共感する話ばかり。日本は韓国と比べて発展したのも経済的に豊かになったのも早かったのに、女性差別はさほど変わらないのだなと違和感を覚えた。
文中には2018年頃から日本でもフェニズムに対する話題があがったと書かれていたが確かに私が小学生であった2018年以前とそれ以降では「女子だから」と言われる機会が格段に減ったなと感じた。小さいときは「女子だから」を連発されることが多く、当時は特に何も考えてはいなかった。しかし、未だに「女子だから」と言われることもある。制服で女子はスカートだから靴下は指定の長いやつを履け、だけど男子は長ズボンだから靴下は見えないから何でも良い。「女子だから」危ないから夜一人では歩き回るな。少し論点がずれるかもしれないけど日本では夫婦別姓があまりいなくてさらに、結婚して名字が変わってパスポートを変える際にお金がかかる。など前と比べたら女性に対しての社会的な差別は減っているかもしれないけれどまだまだ残っているし、それを当たり前だと思って受け入れてしまっている人もいる。
これから成人を迎えて大人になる、1女性としてこの本は読んでおいて良かったなと思った。
もっと色々と考えたいことが沢山あるから日をおいてあと2,3回は読みたい。 -
女性の生きづらさが描かれていた本。読んでいて女性として重なるところもあったので心が苦しくなる部分もありました。得るものだけではなく、失うものも多い女性の人生について考えさせられました。
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2023年2月に出た文庫版で再読。著者、訳者などのあとがき、解説が付されている。読むべきものは文庫解説、と痛感。読み取れなかったことがたくさん書かれていて、理解の助けになった。主人公キムジヨンさんのカルテの形式で書かれているが処方箋がない。夫の名前以外に、男性の名前は出てこない、など、気づかなかった様々な仕掛けが解説されていて、いかに優れた小説かと再認識できた。二度目の思い出し怒りで感情がブルブルする。余計なお世話だが、若い女性に読んでほしいものだ。
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韓国で1982年生まれの普通の女の子が、家父長制度、女性差別の社会でもがき、最後は精神を病んでしまう姿を淡々と描き、韓国社会に衝撃を与えた傑作。韓国で130万部以上売れたベストセラー。
最初は、韓国の家父長制度、女性差別は凄いなぁ、と一種のディストピア小説を読んでいる気持ちでしたが、次第に、程度に差はあれ日本でも最近まで、否、現在でも存在する社会問題であると実感するようになり、最後まで一気に読み切りました。「著者あとがき」、「日本の読者へのメッセージ」、「解説」、「訳者あとがき」も良かったです。 -
日本も似たようなものか?
ぜひ男性に読んでほしい! -
もっと説教ぽい話かと思ったらすごく等身大の話で読みやすく、没頭してしまい割とすぐ読み終わった
等身大で共感しやすい分、辛かったし面白かった -
本当に考えさせられた。
自分を命懸けで産んでくれて大切に育ててくれたお母さんに感謝したし、人が生まれてこれたこと、出会えたことって、、
周りの人を大切にしようって心の底から思った。
ほんで最後の一言で正直絶望した
結局深く深く根付いた男尊女卑を変えることは難しい
老若男女関係なく、互いに尊敬し合える世界になるにはどうするべきなんやろう、、