- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480438584
感想・レビュー・書評
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かなり前に話題になっていたので文庫化に伴い読みました。読み終わってすぐに#metoo運動を思い出したけどやっぱり意図的な感じではそうか。女性差別をわたしはあまり感じないで生きてこれたけど、それは多分俗にいう世間が求めて来た女性として生きてきたからかもな。。反省。
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今までの自分の傍若無人ぶりを反省。妻に対しても、子どもに対しても。これから、少しづつ、出来ることは取り組んでいきたい。心にグサッと刺さる本。フェミニズムだけではなく、人としての生き方を考えさせられる。
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グロい……ショックな描写がいっぱいあって陰鬱な気分になる……けど、実際に起こってることなんだよな
韓国ってこんなに極端だったのか、意外だ
一括りに男尊女卑と言うのも違う、、
時代が違えば産まれてくることも許されない性別なんだって怖くなったし、当時優秀だった女性はどんなに歯がゆかったんだろうなって思う
自分が出産する時にこれを読んだらどういう感想になるのか気になる -
男尊女卑が根強く残った社会に翻弄される女性の話。
すっきりした解決策が見出せず、結局は女性に負担がかかってしまうところも日本社会も同じだと思いました。
制度だけでなく、国民の価値観がアップデートされなければ変わらない問題。世代間の価値観の違いも大きく、根深い問題だと思います。
果たして、世代交代しても解決する問題なのか。考え続けなければいけない問題だと思います。 -
韓国女子の実態は正直よく分からないが、この小説を通して、どのように女性達が扱われてきたのかを感じることができた。
(フィクションなので、全てがと言うわけではない)
日本も昔はそうだったのかもしれない。
当時の苦労を知らず、今の暮らしやすい日常に慣れてしまっている私にとっては衝撃的だった。
ただ、現代でも子育てにまつわる考えは大きく変わっていないように思う。(それを悪いと感じるかは人それぞれ)
共働きが普通だから、男性も子育てに協力するというのは、女性は家事育児、男性は仕事といった考えが根付いていることに他ならない。 -
日頃、奥さんが言ってることがこれでもかと語られる。いかに男が無自覚で、能天気に生きているかを突き付けられる本だった。
舞台は韓国で、家父長制の影響が強く、「弟から先にご飯がよそられる」ことや、「弟は新品のものが買ってもらうけど、私は姉のお下がり」のような日常の様子が語られる。
男中心社会、女性は男性と同じ働きしても出世はできず、あげく「どうせ妊娠、出産して仕事を辞めるのだから」と、会社も子育てをする女性を支えるつもりすらない。
親世代より古い人たちは、男の子を産みなさいとあからさまにプレッシャーをかける(そのせいで、妊婦が赤子が女と分かると堕胎させることが多く社会問題となった)。
男性からのセクハラも日常茶飯事…、とにかくそんな韓国社会を(よくある名前の)キム・ジヨンを通して描く。
韓国の話でしょ、とはならず、同じような問題は日本でもあるわけで。
自分も子供が生まれた時、奥さんに「これから一層、子育てと家事手伝うから」と言ったときに、
「あんたの子でもあるんだから、手伝うはおかしいだろ」と一喝されたのを忘れられない。
というか、自分の中に「子育ては母親がやって当然」という価値観があったことがショックだった。
作中で、ジヨンが旦那に「私は出産のために会社を辞め、社会との繋がりも失うけど、あなたは失うものがなくていいよね」みたいに話すシーンがある。
仕事を辞めないにしても、産休からの出産、育休を経て、復帰し子育てと仕事を両立することは女性なら当たり前みたいに思ってしまいそうだけど、僕ら男性はその変化の辛さを他人事として思い、家庭や職場で想像力を持って接することができているのだろうか?
他にもキム・ジヨンがつわりで苦しみながらも通勤する様子とか、日常のささいな描写が生々しく辛い。
これは韓国の物語であると同時に、日本社会に生きる人たちの物語でもある。
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何年も前に話題になったとき、本書の存在を知った。
映画にもなったという。
やっと読むことができた。
本書の評判を聞いてもいたし、韓国が女性にとって生きづらい国という話も、これとは別に聞いたこともある。
そういう意味では、想定がつく、はずなのに―。
キム・ジヨンさんの半生は、これでもか、というほど抑圧の連続である。
生まれたときから、女性であることで落胆される。
学校生活での差別や、女性が教育を受けることへのハードルは、40年前の日本でどうだっただろう。
いや、日本ではそれほどでは、と思ってみたり、40年前なら似たようなものだったかも、と思ったりする。
就活、職場での扱い、結婚と出産…となると、日本とほぼ変わらない感触をもっているが、どうだろう。
というか、2020年代の日本で変わらないということに愕然とする。
さて、本書は「小説」だという。
そういう頭で読んでいくと、ちょっととまどうこともある。
例えば、教育、経済状況のデータなどが、随時差し込まれてくる。
外国人である私たちには、状況がわかってありがたいが、不思議な感覚になる。
小説というより、再現ドラマ入りのドキュメンタリー番組を見ているような気分になってくる。
それでもやっぱり小説だったんだ、と思ったのは、最後の場面、ジヨンさんの主治医(「私」と称する男性)が前面に出てくるところまで読んでからだった。
ジヨンさんに安易な病名をつけたことを誤りだと気づき、社会的な女性への抑圧に気づいたのか、と思いきや、である。
若干唐突な感じは否めないが、シニカルな幕切れ。
ああ、作者は「女性の生きづらさはまだ終わっていない」と言いたかったのか…。 -
とても重要で難しい課題だと感じた。
2001年日本生まれの私には経験のないことや知らないこともあったが、『違う国の話』には思えない。
私は以前、男女差別の問題は男性側のみが悪いと思っていた。しかし、ほとんどの問題においてどちらかだけが絶対に悪いということはないと思う。他人が不当に優遇されていると感じないように一人一人が心に余裕をもって生活できていないことが本当の課題のようにも感じる。
男性は今まで優遇されてきたからこれからは女性を優遇するべき、では問題は進まない。しかし、女性の育休や産休、そして、それが仕事が軌道に乗ってきた時期に重なることなど考えるべきことや考慮しなければいけないことは私が現在考えているよりも多くあると思う。
本の最後の方にあったミラーリングの話で、この本には多くの登場人物がいるが、男性の名前は一人しか登場せず、『男性に名前は必要ない』という一文に鳥肌がたった。
自分がされて嫌だったことをどうしたら理解してもらえるかとういうことに頭を悩ませる人がいなくなるような社会はいつになったら訪れるのだろう。 -
片頬を、いや両頬を思いっきり引っ叩かれたかのような衝撃。
わたしも同じ女だけど、国が違うだけで、境遇や置かれる立場、選んだ職場…こんなにも違った世界が昔というには近すぎる過去にあったという事実に驚きと哀しさと…わたしはこの本を読んで何を感じているのか。
言葉ではうまく表現できない、この心のもやもやはなんなんだ。
悔しい。
辛い。
自分のことじゃないけど自分にも通ずることで。
決して他人事としては考えられない事実。
私たちは世界を変えていくために、一体何ができるんだろう?
一体何から始めればいいのだろう?