忘れられた花園 下

  • 東京創元社
4.12
  • (70)
  • (80)
  • (45)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 485
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488013325

作品紹介・あらすじ

2005年、オーストラリアのブリスベンで祖母ネルと暮らしていたカサンドラは、亡くなった祖母からイギリス、コーンウォールの崖の上にあるコテージを相続した。1975年になぜネルはそのコテージを買ったのか?ネルの書き残したノートと古いお伽噺集を手に、カサンドラはイギリスに渡った。今はホテルとなっているマウントラチェット家の豪壮な屋敷ブラックハースト荘、その敷地のはずれ、茨の迷路の先にあるコテージが彼女のものとなったのだった。カサンドラは、コテージの手入れを進めるうちに、蔓植物に埋もれるようにして閉ざされ、ひっそりと忘れられていた庭園を見出す。封印され忘れられた花園が彼女に告げる驚くべき真実とは?ネルとはいったい誰だったのか?そしてブラックハースト荘の秘密とは…?サンデー・タイムズ・ベストセラー第1位。Amazon.comベストブック。オーストラリアABIA年間最優秀小説賞受賞。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 三代の女性たちが奏でる悲しい旋律が物語を包み込む。複雑に入り組んだ迷路のような花園。むせかえるような濃い緑の匂い。イギリスコーンウォールのターコイズブルーに輝く海と、切り立った崖に差す夕日、波の音の聞こえる岸壁にそびえる屋敷。また、緑の庭園に映えるイライザの赤毛の美しいこと。そういった五感を刺激されるような色彩描写がつまびらかで巧妙なのも本書の魅力の一つだ。

  • 久しぶりの翻訳本、さらに上下巻。
    面白かった!
    ソフトカバーだからなのかな?スピンがついてなくて不便だったけど…
    三つの時代を行き来して語られる物語。
    最初はその感覚をつかむのが大変だったけど、慣れると映像のように頭の中のイメージが切り替わる。
    上手に映画化して欲しい作品。
    ただ、オチというか最後の謎はそんなに引っ張るほどでもなかったかな…
    下巻の中盤くらいで予想がついたし。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「上手に映画化して欲しい作品。」
      雰囲気を上手く出せば、素敵な作品になるでしょうね、、、
      訳アリで、ケイト・モートンの2作「忘れられた花園」...
      「上手に映画化して欲しい作品。」
      雰囲気を上手く出せば、素敵な作品になるでしょうね、、、
      訳アリで、ケイト・モートンの2作「忘れられた花園」「リヴァトン館」を続けて読んで、余韻に浸っています。早く次作が訳されないかな?(でも文庫になるまで読みませんが)
      The Distant Hours - YouTube
      http://www.youtube.com/watch?v=PE3P35fZKxM
      2013/02/27
    • maoさん
      nyancomaruさま

      リヴァトン館面白そうですね。読みたいけど図書館にあるかなー。
      訳本はいかにも「英訳しました」的な言い回しと...
      nyancomaruさま

      リヴァトン館面白そうですね。読みたいけど図書館にあるかなー。
      訳本はいかにも「英訳しました」的な言い回しとか、わりとくせになりますよね。
      昔読んだ赤毛のアンとか。
      2013/02/28
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「昔読んだ赤毛のアンとか」
      村岡花子訳でしょうか?
      私の知人も、もう村岡花子以外は読めないって言ってました!
      言い回しにハマると、それがスタ...
      「昔読んだ赤毛のアンとか」
      村岡花子訳でしょうか?
      私の知人も、もう村岡花子以外は読めないって言ってました!
      言い回しにハマると、それがスタンダードになりますね。
      2013/04/04
  • 子供の頃、『小公女』や『秘密の花園』を読んで、私のお父さんとお母さんはもしかしたら本当の両親じゃないのかも・・・というあらぬ妄想に耽った事がある元乙女(*^ ^*)には超オススメ。そこにディケンズの下町的猥雑さとサラ・ウォーターズのお耽美系をふりかけて、バイアット『抱擁』的入れ子構造のロマンスの魔法をかけたら出来上がり、小公女のトキメキが再び味わえる。まるで三つ編みように絡み合った3世代の女性の人生と謎が徐々にほぐれていく過程がとても読み応えアリ、ページをめくるのももどかしいとはこの事。【注】あまり男性向きじゃないかも。
    作中に挟み込まれてるおとぎ話の部分で、上下に蔓模様の装飾と『総ルビ』、という編集の趣味の良さに拍手!

    2011年も押し詰まって名作に出会えたことに感謝します。

  • 「秘密の花園」であり「トムは真夜中の庭で」であり「オリヴァー・ツイスト」でもあり「レベッカ」でもある。

    1913年、オーストラリアの港に1人取り残されていた少女、から、お話は始まる。小さな白皮のトランク。トランクの中には身の回りの品と本が1冊。充分に魅力的な幕開けである。
    謎、秘密の匂い、ゴシック。

    3つの時代と、いくつかの場所をコラージュのように貼り合わせた複雑な構成で、4つの世代を解きほどいていく。
    それを「あ、これ確かさっき…」と記憶がつないでいく仕掛けが、うまい。何度も螺旋のようぬ巡りながら、次第に秘密の核心へと近づいていく。

    堪能しました。

  • ゴシックロマンだなあと。
    秘密の花園、トムは真夜中の庭で、レベッカなどを色々と彷彿とさせるスリリングでロマンチックなミステリ。

    哀しい運命に翻弄された人生が明らかになるのだが、それでも読後感は悪くない。

  • イライザ・メイクピースという名前が頭から離れません

  • こんなに胸が躍る作品に出会えたのは久しぶりでした。
    秘密の花園”の意味を知ったときのずしんとした感じが忘れられない。
    イライザの時代のお話がお気に入りでしたが、エピローグが特に好きです。
    自分の出生を知らずに亡くなってしまったネルですが、どういう理由であれ救われてよかった。
    このお話はネルの出生を巡るお話ですが、結局はイライザのお話なのかもしれない。愚かなほどひたすらなイライザが読んでいてとても切なかった。彼女も生きてほしかった。

    このお話は小さいころから今現在も好きなものが詰まった魔法のような作品です。上手く映画化してほしいと最初は思いましたが、この魔法のような作品はぜひ活字に閉じ込めておいてほしい。

  • 面白い。面白い。塀で囲まれた忘れられた花園には、こんな秘密があったのか!謎がひとつづつ、解かれていくたび、ドキドキしました。ネルの秘密、イライザの秘密、ローズとイライザの関係・・・書けない事がもどかしいです。もういろいろビックリ!!!秘密の花園、レベッカ、・・・好きな人にはたまりませんね。ほんと、ほんと面白かったです^^

    • ななこさん
      日向さん、こんばんは♪わぁ、5つ☆何だか嬉しいです^^本当に、下巻は驚く事ばかりでしたね!少女達の秘密の世界をこっそりと覗いたようなお話でし...
      日向さん、こんばんは♪わぁ、5つ☆何だか嬉しいです^^本当に、下巻は驚く事ばかりでしたね!少女達の秘密の世界をこっそりと覗いたようなお話でした。。。秘密の花園を読みなおしたくなりましたよ~(><)
      2012/05/08
    • 日向永遠さん
      nanacoさん、こんばんは★
      面白かったですよ~ 初期のレントゲンであんなことになってて実は とか 「取り替え子」の意味も「黄金の卵」の意...
      nanacoさん、こんばんは★
      面白かったですよ~ 初期のレントゲンであんなことになってて実は とか 「取り替え子」の意味も「黄金の卵」の意味ももう・・・ああ、喋りたいけど・・・ほんと面白かったですね!壁の奥にしまって忘れてしまった、壺が原因だったとは(言ってしまった・・)あれ何時とりに戻るんだってずっと気になってたんです、そしたら これですから・・・びっくりでした
      2012/05/10
  •  1913年、オーストラリアのメアリーバラという港に、ロンドンからの船が着いた。
     誰もが立ち去った後、4歳の少女がたった一人取り残された。
     白いトランク一つとともに。
     不憫に思った係の男が連れ帰り、自分たちの娘として育て始める。
     少女は「ネル」と名づけられ、その後に生まれた妹たちと幸せな少女時代を送った。
     しかし、母が亡くなり、結婚間近な21歳の誕生日に
     突然、父親から出生の秘密を打ち明けられる。
     驚き、悲嘆にくれるネルを見て、父親は自分のしでかしたことの大きさに気づくが
     すべて、後の祭りだった。
     ネルは、家族と距離を取り、自分の生い立ちを調べ始める。
     が、月日は流れ、真相にたどり着かないまま命尽きてしまう。

     残されたのは、ネルと暮らしていた孫娘カサンドラ。
     遺産とともに、イギリスに不動産が遺されていると知った彼女は
     祖母の願いをかなえるため、祖母に代わり
     そのルーツを探し始めるのだが……

     孫娘が探す、祖母の出生の秘密。
     「4歳の少女はなぜ1人で船に乗っていたのか」「ネルの本当の親は誰か」
     「ネルの親はどうなったのか」「おはなしのおばさまとは誰なのか」
     次から次へと湧き上がる疑問符の数々。
     舞台はブリスベンから、コーンウォール。
     時代は1900年代、1975年、2005年を行ったり来たり。
     運命に翻弄される登場人物たちの愛憎劇。
     壮大な物語に圧倒され、ほ~っとなりました。
     読み応えがあるので、物語好きにはたまりません。
    。」

  • タイムスリップはしないけど、過去にさかのぼる物語。
    バーネットの『秘密の花園』より もうひとつの世界に迷い込む物語に近いかも。

全87件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1976年、南オーストラリア州ベリに三人姉妹の長女として生まれる。クイーンズランド大学で舞台芸術と英文学を修めた。現在は夫と三人の息子とともにロンドン在住。2006年に『リヴァトン館』で作家デビュー
『湖畔荘 下 創元推理文庫』より

ケイト・モートンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×