フレンチ警視最初の事件 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488106324

感想・レビュー・書評

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  • いい加減な男に翻弄される女性がリアルに表現されている。国や時代の差を感じず、面白い。事件は、フレンチ警部の登場から、流れるように解かれて行く。殺人の動機やトリックを知りたくなり、最後は一気読み。読後感は良い。

  • 一人の男が酒に酔ったギャンブルで大損、その金を返すために恋人を抱き込み様々な罪を犯していく。恋する人のためならと罪を負う姿は頷ける、だが嫉妬から裏切られたと思うことで人間の欲と恋心は一変する。その屋敷で「自殺」事件が起こり「殺人」事件へと展開する。更に本当に元恋人が犯人なのか、最後まで犯人像が変わっていく様は、一気に読み終えたくなる。フレンチ警視の言葉「決して望みを捨てず、どんなに不利な状況でもいつかは好転すると信じること」が印象的だ。

  • 3+

    物語が動き出すまではかなり退屈。
    事件が起きてからの展開は秀逸。

  • クロフツは、ちゃんとした女性を描くのがうまい。
    「ちゃんとした女性」とは、

    育ちがよくて、知性があって、
    自分のことを、自分で決められる女性。
    結果を誰かのせいにしない女性。

    のことである。

    ところが、このちゃんとした女性が、ちゃんとした女性であり続けること・・・ちゃんとしたお嬢さんから、ちゃんとした婦人、さらにはちゃんとした奥さんになったり、ちゃんとした大奥様にまでなったり・・・というのは、残念ながら難しいらしい。

    なにかしら事件があって、犯人が明らかになった時、
    「まさかあの人が!」
    という声を聞くのは、よくあることだ。

    これが、ただ近所に住んでいるとか、名前を聞いたことがある程度の人ではない。よく知っているごく親しい人でさえ、
    「まさかあの女性(ひと)が!」
    と、心底から声をあげる事件がある。

    まさかあのちゃんとした女性が、どうしてそんな道を誤るようなことをしてしまうのか。

    これを、『フレンチ警視最初の事件』では、実によく描いている。

    読んでいてつくづく思ったのは、ただしい伴侶を選ぶというのは、本当に難しいということだった。

    とくに、世話焼きの女性、これは危ない。「ダメな弟タイプ」が好きな女性は、けして自分だけで選んではいけない。まったくダメな男を選択してしまいがちである。
    世話焼きで、しっかりしていて、社会的能力があるなら、もうダメだ。ダメな男の理想の女性だ。「事故物件」と呼べるような男が、全魅力を発揮して、生涯、彼女を虜にしようとするだろう。

    あなたのその能力は、将来できるであろうあなたの子供のためにとっておくべきだと、私は言いたい。

    同じ冗談で笑えるかどうかが、伴侶を選ぶには大事だ。
    と、私は常々思っているのだが、これが万全かというと、違う。

    同じ嗜好、同じユーモア、同じ関心事があったとしても、件の「事故物件」を除外することはできないのだ。
    「好きな食べ物はサンドイッチ!」
    「僕もだよ!」
    『アナと雪の女王』にもあったが、なにかしらの嗜好が合えば、あるいは合わせることによって、「事故物件」は、かえって懐に入り込みやすいのである。

    よき伴侶を選ぶには・・・面白くないことかもしれないが、自分一人で最終決定を下す前に、賢明な大人に相談するのが、やはりよいのかもしれない。
    親でもいい、友人でもいい、耳に痛いことも言ってくれる誰かに、意見を述べてもらうべきだ。

    恋に夢中であればあるほど、聞く耳など持てないのが難点だが。

    よい人に出会えるかどうか、それを伴侶にできるかどうかは、もはや運としかいえないのかもしれない。
    犯罪に走るでもないごく真っ当な、
    暴力的でも酒乱でも博打中毒でもない当たり前の、
    手を焼かされて消耗するようなこともない正常の、
    そんな人物を伴侶にできた人は、皆、この上ない幸運に深く感謝すべきかもしれない。

    さて、男性についてはどうだろう。

    女性の趣味が悪い男性は、破滅だ。
    持って生まれたものから築き上げたものまで、すっかり失ってしまう恐れがある。
    しかも、周りも大いに巻き込んだ上で。

    が、これはまた別の話。また別の本の時に。

  • 肝心のフレンチ警視の登場は本文の4分の3が過ぎてから。なかなか「動き出さない」展開にもやもやしつつも、謎解きが始まると一気に読ませる。60年という歳月を経ても、色あせずに楽しませてくれる作品。

  • フレンチ警視シリーズ

    復員兵フランク・ロスコー。幼馴染で恋人のダルシー・ヒースを利用し詐欺を働く。富豪ローランド・チャタトンの秘書としてもぐりこんだフランク。娘のジュリエットに近づき恋に落ちさせる。拳銃で自殺したチャタトン。順調に進むフランクの計画。フランクがチャタトンを殺害したと疑うダルシー。検死審問の自殺の評決に疑問が浮上し捜査を開始するフレンチ警視。チャタトンの弁護士リデルの秘密。

     2011年7月14日読了

  • 2011/07/04読了

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著者プロフィール

フリーマン・ウィルス・クロフツ。1879年、アイルランド、ダブリン生まれ。技師として鉄道会社で働いていたが大病を患い、療養中に長編ミステリ「樽」を執筆。コリンズ社に原稿を送ったところ採用され、1920年に同社より刊行された。29年に鉄道会社を退職して専業作家となり、77歳で死去する直前まで作品を発表し続けた。57年死去。

「2018年 『四つの福音書の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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