コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488252045

感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性スパイがナチスに捕虜となった。彼女はイギリスに関する情報を手記とすることを強要される。
    その手記には親友であるマディのことが丁寧に綴られていた。

    こういう物語で、前半は彼女の記した手記がつづく。
    何故彼女は、手記を小説のような形にしたのか。

    わたしは戦争の特にナチスを扱ったものは見つけたら読むほうなので、今回作品の存在を知って、読みたくて堪らなかった。

    この作品では、手記の部分が大変長い。また、手記に挿まれるように捕虜としての生活を窺わせる内容も記されている。
    長い手記が、全て真実なのか空想なのかわからないまま読み進めていく。そのためなんとも心許ないまま物語は進む。

    長い手記のあと二部が始まり、物語の全貌が見えてくる。
    そうなると彼女がどんな思いでこの手記を綴っていたのかと思い、物語の途中であるのに手記を読み返したくなる。
    最後まで読むと、勿論手記のはじめから読み返してしまう。

    物語が非常に丁寧に綴られており、情景が目に浮かぶようだ。そこは素晴らしい。
    ただ、この作家の文章自体なのか翻訳の文章のためか、わたしには手記の部分が少し読みにくい。文章のリズムが合わないというか、単純に好みの問題だとは思う。
    それでも、戦争でなければ出会うこともなかったふたりが友情を深めていく様が、とても上手く描かれていた。静かに心が通いあい、互いを大切に思いやる様子が心に沁みてくる。

    手記の終わり辺りから二部にかけては展開も良く、見えていなかった部分が見えてくるため一気に読みやすくなる。

    戦争中に出会ったふたりの女性の友情が、とてもあたたかいものを残す。
    第二次世界大戦とナチスを扱っているが、ナチスとドイツ国民やユダヤ人という構図ではなく、ドイツと敵対するイギリス、ナチスとイギリス軍という物語であり、ナチスを扱う作戦の中ではやや珍しいかもしれない。

    戦争を扱うため、それなりに残酷な描写はあるが、そこが中心ではないため、そういう描写の苦手なかたでも問題なく愉しめる。
    青少年向きの作品をよく書かれているようだが、大人が読んでも十分読み応えがある。

    この作品は著者の日本語訳されたはじめての作品らしい。
    この作品の次にも同じ頃を舞台にした作品を書いておられるらしく、そちらも是非読んでみたい。

  • ちょっと入り込み辛かったかな。
    再読する。

  • アメリカ出身でイギリス在住の作家「エリザベス・ウェイン」の長篇ミステリ作品『コードネーム・ヴェリティ(原題:Code Name Verity)』を読みました。
    ミステリ作品とSF作品の間を行ったり来たりしていますがここのところ、アメリカ(出身)の作家の作品が続いています。

    -----story-------------
    第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性がスパイとしてナチスの捕虜になった。
    彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。
    その手記には、親友である女性飛行士「マディ」の戦場での日々が、まるで小説のように綴られていた。
    彼女はなぜ手記を物語風に書いたのか? 
    さまざまな謎が最後まで読者を翻弄する傑作ミステリ。
    訳者あとがき=「吉澤康子」
    -----------------------

    2012年(平成24年)に発表された作品で、翌年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)ヤングアダルト小説部門を受賞したほか、アガサ賞、ゴールデン・カイト賞、カーネギー賞など数々の賞の最終候補になり、高く評価された作品です。


    第二次世界大戦中、ナチ占領下のフランスでイギリス特殊作戦執行部員の若い女性「クイーニー」がスパイとして捕虜になった… 彼女は親衛隊大尉「フォン・リンデン」に、尋問と拷問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制され、インクと紙、そして二週間を与えられる、、、

    その手記には、親友である補助航空部隊の女性飛行士「マディ」の戦場の日々が、まるで小説のように綴られていた… 彼女はなぜ物語風の手記を書いたのか? 

    さまざまな謎がちりばめられた第一部の手記… 驚愕の真実が判明する第二部の手記、、、

    そして慟哭の結末。最後の最後まで読者を翻弄する圧倒的な物語!


    「クイーニー」と「マディ」が軍の中で知り合い、友情を育み、親友となる… そして、ナチスドイツ占領下にあるフランスへスパイとして乗りこんでいく「クイーニー」を「マディ」が送り届けることになるが、ドイツ軍の対空砲火により飛行機は航行不能となり、パラシュートで降下した「クイーニー」はドイツ軍に囚われの身となり、胴体着陸をした「マディ」はレジスタンスたちに匿われながら「クイーニー」を救出しようと奔走する、、、

    この展開は、第二次世界大戦を描いた戦争小説、冒険小説、二人の女性の友情を描いた物語として、じっくり読めるし、これはこれで愉しめなくないことはないんだけど… 驚愕の真実が判明するミステリを期待して読んでいたので、ちょっと拍子抜けした感じでしたね。

    読了後は… あれれっ という印象でした、戦争映画にすると面白そうな感じがしますね、、、

    あと、著者が小型飛行機の操縦が趣味らしいので、飛行機の操縦に関する描写はなかなかリアリティがあり愉しめました… 飛行機の操縦、憧れなんですよねー

  • 手記から戦争が描かれているが、今ひとつ形が見えてこない。結局主人公はどうしたかったのか、何が伏線で何が結末なのか、よく分からなかった。

  • しっかりとした読み応えがある。
    謎や意外性はないけど、戦争と女性と決断の手触りがはっきりとある。
    子ども向けと思わず、大人の小説として味わうべき作品。

  • 一部と二部に分かれており、一部はちょっと読みにくかったかなーと。
    二部は読みやすく、一部での謎というか、いろいろ種明かしされてよかった。
    つらいなー、戦争はつらい。

  • 第二次世界大戦を舞台に二人の少女の友情と成長と愛の物語が2部構成で展開する。
    1部あっての2部でのマディの行動の切実さ、そして2部を読んで新たに嚙みしめるクイーニーの深い愛と経略が浮かび上がってくる。
    二人の少女の成長物語であってほしかったが戦争がそれを阻む。拷問シーンなどの場面になるたび、戦争の持つ計り知れない闇を思ってゾッとした。

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