コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488252045

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性がスパイとしてナチスの捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。その手記には、親友である女性飛行士マディの戦場での日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ手記を物語風に書いたのか? さまざまな謎が最後まで読者を翻弄する傑作ミステリ。訳者あとがき=吉澤康子

感想・レビュー・書評

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  • 『コードネーム・ヴェリティ』 - 翻訳者の部屋から (原田勝)
    http://haradamasaru.hatenablog.com/entry/2017/03/17/233946

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    第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性がスパイとしてナチスの捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制される。その手記には、親友である女性飛行士マディの戦場での日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ手記を物語風に書いたのか? さまざまな謎が最後まで読者を翻弄する傑作ミステリ。訳者あとがき=吉澤康子
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488252045

  • ヴェリティ=真実、
    記録された歴史の裏にある人々の思いこそ、戦争の真実である。

    「スパイと飛行士」ふたりの女性。
    ドイツ占領下のフランス。

    作者のあとがきでは「マディとジュディーは私の空想から生まれたフィクション、舞台の都市名もその他の登場人物も架空、でも、一つ一つのエピソードは真実」と、さまざまな文献等から探り当てて織り込んだことがらに、この物語にかける熱量が伝わる。
    そのすさまじさにより、男の戦場には表されない現実の戦争の残酷さを、まざまざと見せつけてくれる。

    二人の主人公の語りの世界
    第一部、とらわれたスパイのゲシュタポのための手記に描かれた“小説のような”独白は、いつまでも溺れていて出口のない夢のようなできごとに、奇妙な感覚を覚える。
    一転して、第二部では占領下のフランスでのレジスタンス活動の緊迫感が押し寄せ、夢を見ている暇はない。

    そして、二つの物語が出会い、
    一瞬の笑顔と叫び声「キスして、ハーディー、今すぐに!」……。

    言葉にならない……。

  • なかなか評価の難しい小説。
    第二次大戦時のイギリス。偶然巡り合った二人の若い女性。一人はパイロット、もう一人はスパイ。
    物語はナチス占領下のフランスでナチスの捕虜となってしまったスパイの女性が、拷問の末の、情報提供として書き始めた小説形式の独白として描かれる。
    これが第1部。
    第2部はパイロットの女性の視点で描かれる捕虜になった女性を救出するための話。
    当然ながらこの第1部の奇妙な小説が第2部の展開の伏線となり、話は展開していく。
    なぜ評価が難しいかというと、第1部が結構長いのだ。若い二人の女性の青春記みたいな感じもあるが、それでも長い。
    第2部で伏線など回収されていくが、そこまで第1部が長くなくてもと思う。はっきり言って第1部は途中から単調に感じてしまう。
    一方で解説を読んで知ったのは、これがヤングアダルト小説、つまり10代など若者向けの小説として書かれて、ヒットしたということ。
    米国の書評では、若者だけでなく、万人にとっても面白い作品とあるが、まさにその通りで、主人公の二人が若いという事を除けば、ナチスの捕虜となった女性の独白や、第二次大戦のイギリスの女性パイロットの話が、どうしてヤングアダルト小説なのか、よくわからないのだ。
    ただ想像するに、これは第二次大戦をアメリカとの大平洋戦争と捉えるのが普通の日本人と、連合国対ナチスドイツの戦いと捉える欧米人との感覚の違いかもしれない。
    でも、気になる作品であることは確かで、次作も読んでみたいと感じる。

  •  これはミステリといっていいかどうか。本来はヤングアダルト向け戦争小説というジャンルらしいがそれを越えて幅広く読まれ評価されている作品とのこと。潜入したフランスでナチスドイツ軍にスパイ容疑で捕えられたイギリス女性が尋問官の要請で書いた友人パイロットを主役に仕立てた物語風の手記が第一部、それと呼応する形で彼女をフランスに運んだその親友のパイロット女性の手記が第二部。一見のどかに綴られている第一部にいろいろと伏線が張られており、第二部でその情報によって捕虜奪還とゲシュタボ殲滅作戦が進められる。という謎解き要素がミステリぽいところなのだが、どうも読んでいていまいちはっきりしない。無理してミステリにしなくても二人の娘の戦時下友情物語として読めばいいような気がする。

  • 2 続いて、「ベルリンは晴れているか」の深緑先生がおすすめされていたこちらを。時は同じく第二次大戦末期。ナチスに捕らえられ、情報を書き記すことで尋問を逃れた特殊部隊所属のクイーニー。ところが手記は小説の体裁を取り、親友のマディとの出会いやこれまでの歩みを克明に記したものだった……というのが第一部。
    第二部はマディ視点で、クイーニーを救出すべくレジスタンスと活動をともにするうち、真実(=ヴェリティ)が明かされるという構成。
    イギリス補助航空部隊(ATA)とピーターパンを絡めたお話は過去に同人誌で読んだことがあったので、不思議な縁に首を捻ったものです(もちろん作者さんにはこちらも勧めました)。
    聡明なクイーニーと、勇敢なマディ。ふたりの友情を無惨に引き裂いた戦争に憤りつつ、それをどこにぶつけてよいのかと持て余しているうちに号泣に変わる巧みな構成で、言葉を失います。「尊い」ってこういうことを言うんじゃないのかな……

  • 悲しい。でも読むのを止められなかったです。
    ナチスに捕らわれたジュリーが、拷問の末に書かされるようになった手記は、親友マディの日々でした。
    ジュリーとマディの、戦時下でも害われない友情と、それを読んできてからの、第二部の「キスして、ハーディ!キスして、いますぐ!」が泣けました。
    戦争さえ無ければ…と思うシーンがたくさんあって、もうこんな世界にしてはならないという思いを改めて感じました。

  • これはミステリなのか!?
    ミステリだと思って読み始めたところ、なかなか重めの戦争ものでした…。
    辛い描写も多かったけれど、最後に救いがあって良かった。

  • 戦時下の女性たちが生き生きと描かれている。途中の謎めいた展開や二人の視点による構成のわりにラストは物足りなさを感じた。期待し過ぎたかな。

  • 第二次大戦中、女性パイロットのマディと女性無線技士のクイーニーは親友同士。クイーニーはスパイでもあり、マディの操縦する飛行機でフランスにもぐり込むが、ナチスに捕まり拷問をやめる代わりに、知っている情報を書くように紙とインクを渡される。残された時間の中で、クイーニーは生きているかどうかわからない親友マディについてを小説のように書き始める。この紙が無くなり、与えられた時間が過ぎればクイーニーは実験材料として収容所へ送られるであろう。

    第二部は、フランスにもぐり込んだクイーニーがレジスタンスとともに活動する場面が描かれる。そして、第一部の真実が明かされる。
    戦時寺中の過酷な状況の中、お互いを信頼し続けたクイーニーとマディ。第一部でさりげなく書かれていることが、実は伏線で第二部を読み進むうちに明かされていく。ひきつけられてしまうストーリー運びだった。

  • 女性2人の永遠の友情が描かれる戦争作品。

    第一部はクイーニーの手記。親友マディのことを綴っているけど、クイーニーが捕えられている極限状態のせいか、文章も読みにくい。(あえて彼女は読みにくくしているのかもしれないけど。)
    読みにくいと思いつつ、がんばって読み進めるしかない。
    洋書だから読みにくいというより、そういう話なんだろうな。

    第二部のマディの手記のほうが読みやすく、第一部の疑問を解消してくれる。
    第一部よりジェットコースターに乗っているような疾走感のある第二部。

    後書きを呼んで驚いたが、児童書、、、?!
    内容を理解できるのか、と、刺激が強くないか?という疑問がある。私的には大人の作品かと。

    柚木麻子さんが推薦していたため購読してみたが、納得のガールミーツガール小説。

    キスして、ハーディ!
    キスして、いますぐ!

    ありがとうジュリー、マディ。

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