- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488299019
感想・レビュー・書評
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このトリックは凄い。
密室トリックがあのトリックだと判明したときにはガッカリしたが、その後にあの驚愕が待っていようとは!
ユーモアのある語り口も面白い。
その語り口やヴェリティの魅力的な探偵像のおかげで読後間も爽やか。
いつまでも色褪せない密室ミステリの雄編。
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ピーター・アントニイ『衣裳戸棚の女』読了。
密室の傑作として名高い作品だが、その本質はプロットが完全に閉じられ、無駄がないことに依る。物語としての面白さと落とし所に「密室」が不可欠であり、それが密室モノとされる所以といっていい。
同じく、これは「ユーモア」のミステリであり、この要素もまた不可欠。邪悪さが払拭された世界、それを構築するにはユーモアがなくてはならない。
この「密室」と「ユーモア」がストーリーラインを支える二本柱であり、そこに不可能状況や幾つもの仮説のスクラップアンドビルドが加わることで、魅力的な謎とその解明の物語が成立している。最高のオチに導くプロットのための作家視点での必然性と、作中の因果がメタ的に転倒するところがすごく楽しい。 -
田舎町のホテル。2階の窓から隣室に忍びこむ男が目撃され、同じ窓から地上に別の男が降りてくる。駆けつけてみると、その部屋にはまた別の男の死体。ドアも窓も鍵がかかったその部屋は密室。部屋の衣装戸棚には縛られた女。
謎に挑むは古美術収集家の素人探偵ヴェリティ。並行して同じイギリスのダルジール警視ものを読んでいるのだが、そちらがいけ好かないキャラなのに対し、このヴェリティ氏は同じ巨体でもなんか愛嬌がある。巨大な藤色の水着で泳ぐ姿は、想像するだけでおかしみ。
安楽椅子探偵かと思いきや、刑事と一緒に現場にも行き、聞き込みにも同行し、ふうふう言いながら足も使って情報を集める。途中ででてくるイングランド王リチャード4世と名乗る変人が気になりすぎる。彼は単なるにぎやかしなのか事件に関係あるのか。誰もが怪しく、最後の最後まで謎解きを楽しめた。 -
なるほどーというラストだけど、ちょっと読みにくいかな。
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「アマデウス」等で知られるシェーファー兄弟による合作。本書以外にも短編があるようだが未邦訳らしい。長らく絶版だったが、再販されたのを機に再読。
トリックの衝撃で他の内容が記憶からほとんど抜け落ちていたが、全編を通して漂うユーモア感と探偵のキレキレな言動に幾度もニヤリとさせられた。
これを20代半ばで書き上げた作者たちの力量に脱帽。 -
最後は、まさかそうきたか。
苦笑してしまった。 -
明るく朗らかミステリー。
名探偵ヴェリティ氏のキャラクターがとても良い。好き。
友達のランブラー警部と茶目っ気たっぷりに、されど鋭く事件を解決に導く。
浜風と降り注ぐ陽射しを感じるミステリーというのも珍しいのでは。
被害者が見つかった密室の中に人がいた、というパターン。奇妙な状況の上に次々と現れる容疑者。
ぜひとも解説に記載のシリーズ他著も読んでみたい。
3刷
2021.4.3 -
全く期待せずに時間潰しに読み始めたらすっかり堪能して読んでしまった。戦後最高の密室長編だとか。ホテルの衣装戸棚から見つかったウェイトレスの射殺死体。しかし部屋は完全な密室。トリックが凄いだけでなく話が素敵に面白い。あとがきによるとピーターアントニイとは「アマデウス」「スルース」、ヒッチコックの「フレンジー」の脚本家シェーファー兄弟のペンネームだそうで、筋書きが巧みです。このトリックは見破れない((((;゚Д゚)))))))
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アマデウスの作者なんだって。兄弟が2人で書いてる。古き良き時代のオールドミステリーの雰囲気。やっぱり現代のミステリーは、やれ警察のどこどこ所属、かつて警察の仕事をしていて今はしてないとかさ、とにかく設定がこんがらがりすぎて、そういうのに惑わされ、何を追っかけているのかわからなくなりがちだ。→ある宿屋で密室事件が起きる。その謎解き。それだけなので、追うのが楽だぞ。作風なのか時代なのか、なんか登場人物が殺伐してなくて、無駄に疲れなかった。面白いのかというと、まあまあ。