- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492371220
作品紹介・あらすじ
作っては、壊して。
私たちは何を求めて働いているのか?
大反響! 異色のNHK経済教養ドキュメント、待望の書籍化!
未放送部分も多数収録
●テクノロジーが進歩しているのに、なぜ経済成長できないのか?
●常に創造性を求められる社会は幸せなのか?
●「ショウ」と化した資本主義はどこへ行くのか?
人間と社会を動かす「闇の力」の構造に迫る!
ダニエル・コーエン、マルクス・ガブリエル、トーマス・セドラチェク
世界の知性が、経済の深部に挑む
感想・レビュー・書評
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マルクスガブリエル氏の主張が心に残った
・資本主義はショウ(show)である
・資本主義には代替性がない。そのため内部に外部を作り出そうとする
・環境運動など非営利活動をきっかけに自然が商品化される 二酸化炭素や綺麗な空気の値段など -
生きるためのコストは、衣食住ではなく人と交流するためのコストが大きい、というのはなるほど、と思いました。
自分はわりと引きこもりタイプで、人との交流は疲れてしまい、ひとりでいることが好きですが、それでもやはり衣食住が整っていたとしてもひとりで生きていくのは精神的にも無理です。
そして、自分は特に節約しているわけではありませんが、生活コストがかなり低いのですが、交流コストがかなり低いからかな、と気付きました。そして田舎にいると東京に行きたいという人が必ず一クラスにひとり以上いますが、どれだけ交流を必要とするかは人それぞれですが生きるために多くの交流が必要なタイプだと田舎という閉ざされた世界では生きるのに苦しいのでしょう、きっと。
なんでかなあ、と思っていたものが、すっきりしました。 -
拡大する資本主義の是非をテーマとして、世界の知識人にインタビューするシリーズ。
この題材で哲学が絡んでくるのはごく自然な事だと思うが、マルクス・ガブリエル氏の言葉は自分には難解すぎて…
経済が世界にとって(とても優先すべきものではあるが)”最”優先にならないためには
それを超える「道徳」の価値観がないといけない
しかしその道徳こそ、定義や取り扱いが最も難しく、リスクも高いのでしょう。
主題とは異なるが、哲学が全ての学問の幹の部分で
経済学等他の学問が枝の部分
という比喩にすごく納得がいった。 -
前作に続き、知的な刺激にあふれた本。難解な部分もたくさんあったが、AIによって創造的であることの圧力が強まるとの部分や、ネガティブな部分を含め全てが資本主義に取り込まれる過程など、読んでいてイマジネーションの働く部分がたくさんあった。ただ、「おわりに」の部分は、少し強引に感じて、あまり馴染めなかった。
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資本主義を考える月間3冊目。どうにも止まらない資本主義の「闇の力」を考察する一冊。本書によると、資本主義はもともと悪だったのではなく、共産主義や社会主義という「抵抗勢力」が失われたために暴走するようになり、自己を成長させるために「内なる敵」を作るようになった。これが顕著となったのが、自国主義であり、格差であり、差別ということ。前半のダニエル・コーエンとの対談では、テクノロジーの進化による社会変化について、農業革命や産業革命の時代は、一つの職が失われても、同じくらいかそれ以上に魅力的な別の選択肢があったが、IT革命やAIによる失業では、単純労働(クソどうでもいい仕事)しか残されておらず、格差を助長することになる。後半のセドラチェクとガブリエルの対談では、書き切れないほどの学びがある。「資本主義はあらゆる差異を商品化する」というのはなるほどと思った。冗談のようだが、コロナ禍も二酸化炭素の増加(差異)も、確かにビジネスになっている。今後の注目ポイントか。
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個人的に好きなNHKの番組の書籍化第2弾。
テクノロジーの進化によって発生した今日の産業革命は、過去の産業革命と全く性質が違うという発想が面白い。過去に起きた農業から工業への産業革命は、高スキルと低スキルという軸で捉えることができた。そして農業から追われた人たちの受け皿として産業があった。しかしテクノロジーによる産業革命はスキルの有無や学歴の高低関係なく、ルーティンワークが職を追われ不幸なことにそれに対する受け皿が存在しない。言い換えれば高所得のトレーダーや医療従事者でさえ、テクノロジーの発達により代用可能になれば職を失う可能性があるのだ。そしてテクノロジーでは今のところ代用できない、生産性が低く労働力の足りない分野である非ルーティンワーク(美容師、介護士、サービス業全般)は適切な賃金を得ることができず、低賃金で働かなければならない…
他にも、人々は芸術家であることを強いられている、どんなシステムも組織も自身を維持するためには他のシステムを排除しなければならない、など読んでいてワクワクする議論が散りばめられている。
巨人の肩から世界を眺めるとはよく言ったもので、普段生活していては見えない物の見方を教えてくれる良書だと思った。 -
(ほぼ1と同様)
NHKスペシャルの書籍化らしいけど、結論ありきで方向性が見えており、ディレクターの嗜好が色濃く出た本といった感じ。インタビューの端々にもディレクターの誘導が見られてしまって残念。
もうちょっとそれぞれの人の主張を聞きたかった。結局、インタビュー集でなく、それぞれの人の本を読めということか。 -
前作、”欲望の資本主義 ルールが変わる時”の続編。今回は第1章”安田洋祐 x ダニエル・コーエン”がテクノロジーと経済成長について対談、第2章は”マルクス・ガブリエル x トーマス・セドラチェク”が哲学と経済学の異種格闘技論争という構成となっています。トランプ大統領がこの書籍で話題に上がっております。色んな意味で人気者ですね、トランプ大統領。