等伯 下

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
4.11
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本棚登録 : 799
感想 : 149
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532171148

感想・レビュー・書評

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  • 後半は 狩野派との対立
    息子をめぐる狩野派とのいざこざ。

    そして 息子の死。

    秀吉に 誰もみたことのない絵を書けといわれれたかどうかの真偽はわからないが

    松林屏風図の成立に迫る。

    たしか 紙もあまり 良い紙でなかったと記憶している。

    天才の 一瞬の きらめきが 後世にのこる作品をのこしたということなのか。

     余白をいかすという 技法が十全に発揮された
    屏風図となった。

    ただ本書はどちらかというと等伯の人生の本。

    松林屏風のところの 扱いは決して大きくない。

  • かるい読み物や短編ばかり読んでいると、どっしりとした歴史の物語を、読みたくなる。満を持して(?)読み始めた。正直、上巻は退屈なところもあったが、下巻に入ると一気に読み進んでしまった。
    狩野永徳、千利休、といった文化人の描き方には引き込まれた。一方、残虐の限りを尽くす信長や、謀略をめぐらせる石田三成、教養のかけらもないと思わせた秀吉の慧眼など、誇張して描かれる戦国武将たちは、表舞台で歴史を作っているが、ここでは脇役にすぎない。
    信春(後の等伯)は、武士の出自。長男でなかったため、商家に養子に出され、そこで絵の才能を開花させる。
    政治に巻き込まれ、度重なる不運に泣かされるが、家族には恵まれていた。二人の妻も献身的だし、息子たちもそれぞれ道を受け継いでいる。だが、それだけが救いといってよいほど、つぎつぎと苦難が襲いかかる。その家族が居てこその信春であったと思う。
    歴史の描写が、翻弄される信春を浮かび上がらせる。芸術家ひとりが、時代の波をどう戦い、乗り切ってきたか、これはただもう実直で並ならぬ求道者の、壮絶な物語。
    一枚の絵にも、これだけの物語があったのだ。

  • 下巻。上巻からのずしんとくる感じが残っていて、なかなか手を付けられなかったが、読み始めるとやはり面白い。絵だけを見ていたらイメージができなかった長谷川等伯の人間らしさが見えてきた。
    2014/12/31

  • 昨秋、仙台博物館で『松林図屏風』を観て、吸い込まれるような衝撃を覚え、この本に出会ったときはすぐさま手にとり一気読みした。(新聞に掲載されていたことや、恥ずかしながら直木賞は知らなかった)
    時代の波に流され、大切な人たちを次々失い、それでも人生をかけて絵に精魂込める姿。根本に日蓮宗への信仰があったからこそであろう。すべてを読んで、あの松林図かと胸が熱くなった。

  • ★3.5。
    作者があとがきで書いているように、確かにこの作品には発表された時の無力感とそれでも尚立ち向かう決意が下敷きとなっていることがよく分かる。題材も戦国武将でなく、一人の画家を選択したことも功を奏している気がする。
    それにしても石田三成の描写が容赦なき辛辣さに満ちとります。狩野永徳らへの描写には慈愛が感じられるのだが、これもこの作品発表時の政権・官僚どもへの作家の怒りの現れかもしれないですな。

  • 「すみません。業が深くて」--なんとすさまじい生涯であろうか。松林図の描写も迫真だ。仏道を求める、真の人生を求める激しさが芸術へと結実する。名場面、名台詞の数々が今も脳裏に焼き付いて離れない。このような小説に出会えて、幸福だ。

  • おそらく日本史の教科書では1ページも満たないであろう,安土桃山時代の絵師 長谷川等伯の伝記らしきもの.
    なかなか今まで知らなかったことが多く知れたし,いろいろなことを感じることができた.
    屏風絵も図説等で見てみたい.

  • 狩野派が全盛だったこの時代、一匹狼のように現れた等伯。天才と努力の人。しかし息子を亡くし妻までも。そんな悲しみの中から生まれた松林図屏風。この本を読まなかったら薄気味悪い松林でしか感じなかったかもしれない。国宝松林図屏風。ぜひ見に行きたいと思います。

  • 日経新聞で連載していた歴史小説。連載中は細切れでなかなかストーリーに入り込めなかったけど、単行本で一気に読むと面白い。狩野派全盛の時代に狩野派の棟梁、狩野永徳がその画力に嫉妬する長谷川等伯の話。狩野派からいじめられ、閉め出され、それでもめげずに画を描き続ける。そんな努力と気力から松林図が完成する。いつかこの画は見てみたい!

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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