- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532314781
作品紹介・あらすじ
リソースベース、ポジショニング等々様々な考え方が入り乱れている経営戦略。経営学の第一人者が切れ味鮮やかに戦略の地図を解説し、組織の暴走、シナジーの崩壊などの問題点も浮き彫りにする待望の経営戦略入門。
感想・レビュー・書評
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各経営戦略を整理され、わかりやすい事例をもとに解説されている。
特に以下の4点が重要だと思われた。
❶ p243
差別化をチャレンジャーが達成できるようになるためには、少なくともリーダー企業よりも外向きの競争思考の組織を構築していなければならない。
そして、リーダーの組織的問題を捉えて、差別化するタイミングを見計らうこと。
❷ p325
リアルな小人の相互作用を頭に描き、徹底的に「なぜ」「どうして」と言う問いにこだわりを持って考え抜けば、全てとは言わないまでも暴走と英断の違いを少しでも判断可能なレベルと明確化していく。
埋没費用を正当化の手段に使わないこと。
❸p29
3×3のSWOT分析により、要因を結びつけて戦略の選択肢を生成する。
❹p126
5つの戦略論を複眼的に用いていくプロセス
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ロバート・ラスムセンがRTSの位置付けを説明するときの図と、ほぼ同じ図で、経営戦略論を分類し、解説がなされている。RTSが既存の戦略理論とどのように関連しているのか、考えて位置付けたい人におすすめです(ただし本書にはRTSそのものはでてきませんのでロバートの図と重ねて自分で咀嚼する必要があります)。
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学術的な本だと思っていたが、読み物としてもおもしろかった。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA91706967 -
経営戦略の考え方、planning/emergence/positioning/resorces/games
→考え方。として知っておくと良い
副題の時間展開、相互作用、ダイナミクスの通り、複雑かつ不確実なビジネスで戦うための経営戦略思考法を解説している。すごいまとめ。
アカデミックな文体なので、とっつきづらい感あり。
二章は飛ばし読みした。→再読したい
p293 企業レベルで多様性→産業レベルで同質化。企業レベルで差別化→産業レベルで多様化。
意思決定フレームワーク。ゲインは保守的、ロスは一か八か。株式投資とかでもよく言われるよう、人は損切りがうまくできない。
未来思考の意思決定。過去の努力などの埋没費用を考慮しちゃう[苦労の過剰正当化]
もっと色々ありましたが、記憶に残ったところだけ列挙 -
沼上さん、良いなあ。学者らしい論理を重視した語り口は読んでいてある意味気持ちいい。頭をしっかりと使って読むと、使った分だけ理解が進む気がする。こちらの頑張りに対して決して裏切らない。
戦略論というものはもちろん学問なのだが、優れた戦略論の教科書を読み込むということは、一種のエンターテイメントになるということを改めて認識した。 -
一般的には戦略論の概観を掴む際の良本とされているが、まさにその評価通りの本。また経営コンサルタントとして思考する事を求められる身にとっては、コンサルタントとしての思考法を学ぶことができる本。
特に良かったのは下記3つ
①経営戦略を考えていくプロセス126〜127頁
②メカニズム解明法164貢
③人は実践から学ぶ328頁 -
小田さんの「学習する組織入門」の参考文献にあがっていたので、読んでみた。
「経営戦略」論は、昔、いろいろ読んでいたが、ロジカルな分析にもとづく事前の戦略策定の限界があって、結局のところ、RBVとか、創発戦略みたいな話になるんだよね、ということで納得して、それ以上、経営戦略を深めようという気持ちにはならなかった。
そういうなかで、久しぶりの「経営戦略論」である。
これが、本当に面白かったな。
第1部が経営戦略論の歴史みたいな感じで、5つの学派にわけて紹介してあるのだが、この切り口が素晴らしい。ミンツバーグの「戦略サファリ」は、10個に分けていたのだが、この5つで十分だし、その位置関係がとても分かりやすい。そして、これが単なる復習におわらず、これまでの戦略論が、時間的な展開とか、相互作用みたいな観点がなかったという話になる。
おお、そうそう、そこに不満をもって、シナリオプランニングとか、システム思考という方向にわたしは興味の方向を変えたんだ。
で、第2部では、いよいよ時間的要素や相互作用を織り込んだ「思考法」。要するに、システム思考なんだけど、通常の因果関係の時間的展開を考えるものに加えて、関係者間の相互作用なども考えるもの。つまり、場と時間をしっかり考える動的な思考法。事例として上がっているのは、結構、単純なものなんだけど、でもそれは後知恵で、そのとき、その場にいた人は、そういうことになかなか気付かないんだよな。
そして、第3部では、第2部の「思考法」をベースに、行動経済学やゲーム理論の成果を取り入れながら、さまざまな経営戦略論の定石的な考えを検証していく。そして、なんで、誰も望まないのに、こんなことになっちゃうのなパターンを読み解いて行く。ほんと、「あるある」です。ある意味、会社でよくある「システム原型」と言ってもいいかも。
これは、ちょっと知らぬ間に「経営戦略論」に、いろいろな進化が起きていそう。しばし、この辺の本を読んでみようと思った。
ちなみに、この本、写真からは分かりにくいけど、装丁が和のテイストもはいった素敵なものです。そういう意味でも、いい感じだな〜。