話す技術・聞く技術: ハーバードネゴシエーション・プロジェクト 交渉で最高の成果を引き出す「3つの会話
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2012年11月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532318420
作品紹介・あらすじ
部下に解雇を通知する、悪い人事評価のフィードバックをする、見積書以上に費用が膨らむことをクライアントに説明する-日常生活にあふれるむずかしい会話や交渉を、上手に乗り切る会話術を伝授。
感想・レビュー・書評
-
訳書からか、内容が難しいからかなかなか読み進められなかった。
感情を共有し、すれ違いをなくすことが、会話では重要ということだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「難しいメッセージを伝えるのは、いわば手榴弾を投げつけるようなものだ。… いくらがんばっても、感じよく手榴弾を投げつけたり、その結果から逃れたりすることは出来ない」(本書から引用)
部下に減給を言いわたす、家庭での不満をパートナーへ伝える等、言い出しにくい、出来れば避けたいいわゆる「難しい会話」は誰にでもありますが、どうそれに向き合い、乗り越えるかを示した本です。難しい会話は、
①何があったのかをめぐる会話
②感情をめぐる会話
③アイデンティティをめぐる会話
の3つに分類されると記載されていますが、話がややこしくなる時、噛み合わない時はこの③に当てはまる場合が多い気がします。自分が自分自身に対して持っている自己イメージ、相手が相手自身に対して持っている自己イメージが何かを考え、これから行う会話で、それがどう侵されるかを推測する。これが難しい会話を始める前の準備の一つとして肝要なのだと学びました。
家庭でも職場でも活かせる内容だと思うので、何度も読み直して自身の行動に落とし込もうと思わされました。 -
正直、読み通せなかった…。
まとまりがなく、実用性も乏しく、読み始めてそれに気づいたので後は拾い読み。
20年以上前に刊行され、10年くらい前に追補されたそうだが、例示やその取り扱いが古い。話し合うテーマが子どもへの体罰だったり(「子どもをぶつのは、とにかくぜったいに間違っている」こうした断言は、あなたの友人にとって非難がましく、あるいは無遠慮に聞こえるだろう。だそうだ)、相手の話をとても聞ける状況ではなくなるケースがルームメイトがバイセクシュアルであることを知ったことだったり(まあそういう人もいるでしょうけど…)。
ここから学べるのは、恐らくこの本が当時も保守的で人権意識に欠けていたわけではなく、この10年くらいの間に、子どもの教育やマイノリティに関する意識が高まったのだろうということ。だから、この点だけをもって本作を低評価にはできない。
だが一方で、普遍性のある著作なら、そうした古めかしさにもかかわらず読む価値が感じられるものだと思う。本作にはそれがあまりない。
相手ばかりを責めてはいけない(が、その事例の一つがセクハラって…)、とか、人は世界を違った見方で見るし違った解釈をする、というのは尤もだけど目新しい意見ではないし、感情をめぐる会話をし始めたら(特に仕事の場で)話はかえってこじれる、という一般論の方が、本作の主張より有効だと思う。
-
原本を知らないので何とも言えないのですが、翻訳がおかしなところが多々あるような気がします。
やけにわかりにくい記述や間違っていると思われる箇所が散見されます。
それはさておき、この本は、交渉だけでなく、会話全般に関して述べられた本だといえると思います。
著者(たち)の主張としては、相手の結論を受け入れるだけでなく、その背景にある感情に共感することやロジックを理解することが大切で、かつ、それらを相手に伝えることが大切、ということですね。
同時に、自分の結論やロジックは唯一のものではないことや、自分の感情も大切。
そして何より、相手を理解しようとする粘り強さが大切。
どこまで実践できるかはわかりませんが、せっかくこの本を読んだからには、少しでも実践できるよう、がんばります。 -
コミュニケーションする際に陥りやすいミスとそれにどう対応すべきかがまとめらた本。書かれていることはとても参考になるが、本の書き方が冗長なのか読みづらい。
この本で印象に残ったのは以下
「加担」の考え方、相手の反応や行動がこちらの意図と違った時に人は相手が100%悪いと思いがちだが、実はその行動や反応にこちらが加担している場合が多い。いい悪いではなく、こちらにもそうさせた何ががあるという考え方
「なおかつ」相手の主張は理解したなおかつ、受け入れられないのように、なおかつを使うと一見相反することも言える。
「傾聴」こういった本にはよく書かれているが、相手の主張を理解し、それを示すだけでそれに同意しなくともコミュニケーションは円滑になる -
人間だからそれぞれの認識、考え、感情がある
相手の意図を推測(邪推しない)、責めても何もうまれない
誰が正しいか論争するのはやめる、理解がないと変化ない
善意の主張は逆効果で相手がそう感じたということも重要
自分がこうむった悪影響を相手に伝え、相手の意図を尋ねる
非難を聞き流し感情に耳を向ける
自分の意図は複雑、純粋だと言わない
あなたのストーリーではいつも相手が責められる
相手に推測させないで1番大事なことからはじめる、方向違いの表現をしない
話し合いが難しくなるパターン:何があったか、どうあるべきなのかという点・感情にまつわる問題・アイデンティティ、自分にとって何を意味するか、示しているか
-
・わたしと相手のそれぞれの感情を、判断や仮定を交えずに伝え合う。問題の解決の前に、感情の存在を認める
・善意を主張するのは逆効果
・ある問題への共同の加担を探ろうというと、「相手の加担は大目に見て、あなた自身の加担に焦点を当てるべきだ」という意味に受け取られることがあるが、それは誤りだ
・(相互の)加担のシステムを図式化する
・伝えられずにいる感情は、解消しきれないほど多くの緊張を生み出しかねない
・感情を抱くのは自然なことだと認めよう
・誰かの感情を認めるとは、相手の言ったことがあなたにどんな印象をあたえたかを、相手の感情があなたにとって重要であることを、あなたが相手を理解しようと努めていることを当の相手に知らせるという意味
・本当の対立が自分の中にある時は話し合うことに意味はない
・人は自分が理解されている、話を聞いてもらえている、尊重されていると思ったときにしばしば変わる。わたしは変わらなくていいのだと感じられる時にこそ、人は変わるものなのだ
・相手が変わることに期待するのではなく、ありのままの相手を受け入れることで自分が変わる
・一緒に問題を解決するためには、相手に魅力的な役割を提供する必要がある。「私が広い視野を取り戻すのを助けてくれる人」
・人には誰でも、自分の言うことを聞いてもらいたい、相手がそれだけ自分を気にかけてくれていることを知りたいという強い欲求がある
・不満やプライドや怖れといった感情に耳を傾け、そうした感情を認めてあげる
・私は理解している のスタンスから 私が理解するのに手を貸して のスタンスに移ることが重要
・最終的には問題に取り組むが、その前に感情が認められなければその先に進めない
・ストーリーを単純化しすぎない。矛盾した感情を抱えたときでも、「なおかつ」を使って表現する -
困難な話し相手にどう立ち向かうか、難しい会話をどう切り出し進めていくか具体的な事例に沿って内容が書かれていて分かりやすかった。よく聞くことが大切なのだと再認識した。
-
- 自分の間違えを認めること、自分の感情を伝えることは、自分を不利にさせさせそうで怖いもの。だから人は自分の正しさと、自分がいかに感情的ではないかを押し付けようとする。「ロジックが正しいこと」では解決しないという、冷静に考えれば当たり前なんだけど、実践が難しいことが言語化されている。
- 上に関連するけど、自分の感情を抑えるのだから相手の感情も脇に置いておく、というのがどこか前提あって。それが相手のストーリーを知ろうとしない根底になっているんだろうなと。
- 昔は感情的にならずに懇々と冷静に正しいこと言ってる大人がかっこいいなとか思ってたけど。結局それで物事がうまく進むほど、世界はシンプルではないよなー。
- タイトルでは「交渉術」みたいな副題がついているが、本題ではDifficult Conversationsとなっていて、こっちのがしっくりくる。自分の要求を通す、みたいな文脈はほとんどなく、いかに難しい会話をちゃんとするか、みたいな内容。
- と、色々書いたがまあ読みづらい本だった。まどろっこしい表現が多くなかなか頭に残らず、もうちょっとやりようなかったのかなと思う。もったいない。 -
交渉は難しい。なんなら,簡単な会話すらも難しい。
話を切り出すのは抵抗がある。相手がどんな反応をしてくるかわからない。そうして悩んで,何回,先延ばしにしてしまったことか。
そうして,私はこの本を読むに至った。
難しい問題なので,簡単に解決できるなどとは思っていない。ヒントがひとつでもあれば儲けものであると思っていた。ところが,この本はコミュニケーションの困難を克服するための多くのヒントが詰まっていた。
話し合いが難しくなる3つのパターンとして,本書では①何があったかをめぐる会話,②感情をめぐる会話,③アイデンティティをめぐる会話があると挙げている。
そして,それぞれに①相手の意図を決めつけず,責めを負わせるのを辞めてお互いの加担について話そう,②感情を大切にしよう,③ゼロかすべてという感覚を捨てて自分自身を見つめ直そうと提案する。
……残念ながら,私の要約力では以上のような要点を挙げたところで本書のよさは伝えることができない。それは,本書が家庭のコミュニケーションや職場での交渉といったレンジの広い場面を例に挙げながら,私たちが陥りがちな困難を丁寧に説明しているからだ。おかげで,これまで私は気がつかなかった小さな違いにいちいち感心をせざるを得なかった。
例えば,感情を表現することは判断,決めつけ,性格描写,問題の解決とは異なるということ(第5章)。感情を表現することと感情的に表現するというのは根本的に違うのだ。これも,本書の厳選された例文(訳本だけれど,表現はとても自然だと思う)で理解していただいたほうがいいだろう。
様々な学びがあったが,それ以上に発見したことは,この本を読み進めるにあたって,私は自分のコミュニケーションがだめだと責められているような感覚になることは全くなかったことだ。おそらく,この本自体がコミュニケーションの配慮に溢れた内容になっているのではないかと思う。
本書を読んだからといって,コミュニケーションの困難を完全に克服することはできないだろう。しかし,私は実家に電話をかけることが少しだけ嫌ではなくなった。この本を時々めくってみて,豊かな人生を送るための糧にしたいと思った。