小飼弾の 「仕組み」進化論

著者 :
  • 日本実業出版社
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本棚登録 : 809
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784534045225

作品紹介・あらすじ

従来の仕組みが壊れていく今、あなたは自分が「働いている」と言い切れますか?5年後、10年後のあなたの「居場所」をつくるためにすべての仕事を進化させる方法。

感想・レビュー・書評

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  • 社内のシステムの枠組みを変更する意義、事例を学べました。

  • 私見だが、小飼さんの文章でパンチが効いているのはツイッター>ブログ>単行本である。これが編集のせいなのか、文章の長さのせいなのかは分からないが、ツイッターの気の利いた一言を本に導入するのが困難なせいかも知れない。

    Googleのエンジニアの問題、みんなの意見は案外正しいや本田宏先生の著書が共有できたことが成果。渋滞学はまだ読んでいないので、今後の課題。机に積んである。

  • 仕組み作りの重要性に考えさせられる。日本の多くの組織が、うまくいっていない現状を考察するのに、個人的には、非常に有益であった。

  •  売れっ子プログラマーにしてアルファブロガーでもある著者が、プログラマーとしての知識と経験を援用して書いた「仕組み本」。プログラマーは仕組み作りのプロだから、その視点から仕組み本を書くという企画そのものが卓抜だ。

     「仕組み本」とは、最近数多く出版されている「仕組み仕事術」のたぐいのこと。
     著者は「まえがき」で、従来の「仕組み本」の内容は「なまぬるい」という。なぜなら、それらの本の主張は「仕組み化で効率を上げよう」ということに尽きるが、仕組み化の「負の側面」には目をつぶっているからだ、と。たとえば自動車は人やモノを速く遠くへ運ぶための仕組みだが、同時に大量の交通事故死者を生み出す仕組みでもあるのだ、と……。
     また、既成の「仕組み本」は仕組みのプラス面についての追求も甘い、と著者はいう。

     そこまで言うわりには、本書の内容も大したことないなあ、と感じてしまった。

     とくに、前半は退屈。
     たとえば、仕事の中の無駄なくり返しを「仕組み化」して効率を上げよ、と著者はいうのだが、それは「仕組み化」などというまでもなく、あたりまえの話ではないか。
     たとえば、“何度も同じ内容の文章を打つ必要があったら雛形として保存しておき、宛先などを入れ替えて使う”という程度のことは誰もが無意識にやっているわけで、「仕組み化」ってほどのことじゃないだろう。

     著者は、「仕組み作りが仕事になる」これからの時代には、「既存の仕組みを回す仕事を勤務時間の20%で終わらせ、80%を新しい仕組み作りに当てる」必要がある、と説く。
     だが、そんな芸当ができるのはよほど恵まれている人(著者のように)であって、勤め人かフリーランサーかを問わず、大部分の労働者にははなから無理な話だろう。
     いちおう本書には「仕事を20%の力でこなす仕組み」を作るコツも書かれているのだが、それらのコツもさして画期的なものには見えない。「勤務時間の20%」で仕事を終わらせるようになるとは、とても思えないのだ。

     いろいろケチをつけてしまったが、第5章「仕組みと生物」だけはよかった。
     この章は、“38億年かけて進化してきた生物という仕組みの中にこそ、仕組み作りの要諦がある”との主旨で、生物の仕組みの特長を仕事の仕組み作りに援用しようとする内容。実用性はともかく、読み物としてなかなか面白い。

     以下、この第5章から、印象に残った一節をメモ。

    《生物の仕組みは驚くほど“非”効率的にできています。
     たとえば、1匹のマグロは卵を数万個以上産みますが、そのうち成魚になるのは0.1%以下と言われており、残りの卵はほとんど別の生き物(マグロを含む)のエサとなってしまいます。(中略)
     生物の凄みは、個体や細胞をいとも簡単に犠牲にして、仕組み自体を生き延びさせてきたことにあります。》

    《最適でなくても十分であればいい、というのが生物の基本戦略のひとつと言えます。

     このことは、必要以上に仕組みを最適化することへの警告とも取れるかもしれません。高度に最適化され過ぎた組織は、環境の変化に対して脆弱である可能性があるのです。》

    《国としての歴史の浅い米国に、なぜあれほどの知恵が集まっているのか。そのひとつの理由として、記録に対する米国人の考え方があるように思われます。米国人は、とにかくあらゆることを記録しようとするのです。》

     それから、「これは重要な指摘だ」と感じたのは、「創発」(※)が生じやすいようにするには、最初から完成形を作ろうとするのではなく、仕掛品(しかかりひん=製造途中の製品)をたくさん作っておくことがたいせつだ、というくだり。

    ※組織等において、個々の部分が勝手に進化を遂げ、予測できない複雑な相互作用を生み出すこと

    《自分の得意分野についてとことんまで突き詰め、あと1ピースが揃ったら完成するという状態にしておく。これが「仕掛品を作っておく」ことにほかなりません。

     科学技術におけるブレークスルーは、ほとんどこれで説明が付きます。》

     これは、アイデアを生む極意としても使えそうだ。

  •  「仕組み〜」も、これからの不安定な世の中を生き抜くために、20%でルーチンワークをこなし、80%を自分に投資しよう!という本です

  • 電子ブックで読了。読みやすい。仕組みを作ってやろうという気になる。具体策までは腹にまだ落ちていないが、少しチャレンジした後、またこの本に戻ってこようと思う。

  • 仕組みを作る仕事こそやるべき事。従来の仕事を20%で行い80%の時間を新たな仕組み作りに費やす。プログラマーの三大美徳は「怠慢」「短気」「傲慢」。生産効率重視からリソース効率重視への転換。かなーり自分自身の仕事に対するスタンスに近く読んでいてスッキリしていく。仕組みがプアなことによる非効率はもはや許される時代ではない一方、常に存在し続けるとも言える。大事なのはそこが見える人にとっては成長のポテンシャルが見えているということであり仕組み作りがそこでの武器になるはずだ。

  • 従来の仕事をリスク保障のため20%、残りの80%で新たな仕組みつくりをチャレンジするのがこれからの仕事という提案。

    誰もが危機に対応できる並列的仕組みで高い安全性
    自動化、自働化、仕組みに名前をつけて保存
    リソース効率重視
    使えるものをどれだけ有効に使うか

  • ①より効率よい仕組みを作るには?
    ・仕組み作りの時間を全体の8割にする
    ・仕組みはテコと奴隷で出来ていると認識
    ・奴隷も判断能力を最大限生かしてもらう
    ・仕組み3原則(①人に危害を加えない、②命令に従う①の例外を除く、③自己を守る①②の例外除く)
    ・DRY(Don't Repeat Yourself同じことを自分で繰り返さない)
    ・80%は遊ぶ、できるプログラマーは遊びが大好き
    ・仕事でしかプログラムを書かない人ですごい人はいない
    ・いざというときの仕組みを作る
    ・仕組みを直列、並列に組み合わせる
    ・そしてベクトル(方向性)とタイミングを考える
     
    ②気づき
    ・レコードからCDに変換したように市場自体が消滅することが多く起こる
     ⇒醤油+プリン=ウニの味
    ・仕組みで重要なことは、正しいことではなく、生き残っていること
    ・ブレインストーミングで成功も失敗も記録して、仕組化に活かす

  • 仕組みは「テコ」と「奴隷」で出来ており、奴隷にテコを持たすことで、仕事は楽になる。
    すぐれた仕組みには安全性が求められている。
    生物の仕組みには
    ①生きていれば、最適である必要がない。
    ②一度使った仕組みは、失敗も含めて手放さない。
    ③出来ることだけ行い、出来ないことは無視する。
    の3つがあるとのこと。
    生物の仕組みは驚くほど”非”効率的に出来ている。だが、個体や細胞をいとも簡単に犠牲にして、仕組み自体を生き延びさせてきたことに生物の凄味がある。成果物を捨てたとしても生み出すための仕組みは捨ててはいけない。突然変異を生み出すためには、一見無駄と思うような意見も捨てず、ブレーンストミングの会話が大事。仕掛け品を予めたくさん作っておき、最後の1ピースが来たら、すかさず取りに行く。

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著者プロフィール

1969年生まれ。ブロガー、プログラマー、投資家。カリフォルニア大学バークレー校中退。オン・ザ・エッジ(現ライブドア)のCTO(取締役最高技術責任者)を務めた。現在、ディーエイエヌ有限会社代表取締役。2004年に開始したブログ「404 Blog Not Found」は月間100万ページビューを誇る。著書に『弾言』『決弾』『未来改造のススメ一脱「お金」
時代の幸福論」(岡田斗司夫氏との共著)(以上アスペクト)、『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)、『新書がベスト』(ベストセラーズ)など。

「2011年 『働かざるもの、飢えるべからず。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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