- Amazon.co.jp ・本 (880ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560092613
作品紹介・あらすじ
謎の作家アルチンボルディを研究する四人の文学教授、メキシコ北部の国境の街に暮らすチリ人哲学教授、ボクシングの試合を取材するアフリカ系アメリカ人記者、女性連続殺人事件を追う捜査官たち…彼らが行き着く先は?そしてアルチンボルディの正体とは?2008年度全米批評家協会賞受賞。
感想・レビュー・書評
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https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/571559詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1ヶ月の格闘の末遂に完読!自分頑張った!
膨大な量ではあるけど、幻想的な作品調に頭クラクラしながらハマってく感触を味わいながら読み進められた。圧倒的スケールで、この読後感は読み終えたことを誇ってもいいと思う。 -
かなりの文量で読み終わるのに7ヶ月もかかった。
5章からなる物語で、それぞれがかなりの文量ある。第1章は楽しく読み進めていたが第2章からは分からなくなってきて、義務的読み進めていた。正直、面白いとは思えず、睡魔とよく戦った。第3章以降も章ごとの繋がりも感じつつ、話の脱線が多すぎて、脇役というか、サブストーリーの詳細がずっと続いたり、読むのがしんどくなってきた。第4章は、兎に角、女性が性的暴行を加えられながら死んでしまうという事件が凄い文量で続く。最初はサスペンス要素もあり楽しく読めたが
段々、いつまでも増え続ける被害者女性にこれはどういう小説なんだと思いながら読んでいた。犯人・容疑者が時々捕まりながらも、新たな事件が発生する。ストーリーはあるものの、これだけの量を次から次に同じような女性暴行事件を書き綴る作者に感心してしまいながら、かつ内容が内容だけに気持ちは進まず、小説の読み方としては良くないと思いながら、義務的に毎日数ページ読み進めた。
最後の5章は他の章と繋がる話になっており、読み終えると特に第1章が気になり始めた。しかし文量が文量だけに、もうなかなか手が動かない。
謎解きや伏線回収といった気持ちよさはなく、ジワジワと繋がりが感じられる。
個人的には、このジワジワくる繋がりや、他の登場人物の細かい描写やサブストーリーの多さがこの小説の魅力なのだと思った。読んでよかったと読み終えたから思えたし、将来、歳をとって、時間がたっぷり使える時に懐かしみながら読むかもしれない。読まないか。。勇気が少しいるかも。
兎に角、友人にはお薦めしずらいが、自分の読書人生で忘れられない小説になった事は間違い無い。 -
本の規模、構成やあらすじについては他の方の感想を参照のこと。純文学や文芸というものが作者の内面の発露であり、読者はそれを読み解くものだとすれば、それは現代美術にも通じるものがあるのだろう。少なくとも、読み解く/感じ取るスキルが必要だと思う。
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2022/10/19
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淳水堂さんへ
次は何にしようかなと迷っていたので、『野生の探偵たち』に決めました。
コメントありがとうございます。淳水堂さんへ
次は何にしようかなと迷っていたので、『野生の探偵たち』に決めました。
コメントありがとうございます。2022/10/19
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4.22/738
『文学の新たな地平を切り拓く、遺作にして最高傑作
小説のあらゆる可能性を極め、途方もない野心と圧倒的なスケールで描く、戦慄の黙示録的世界。現代ラテンアメリカ文学を代表する鬼才が遺した、記念碑的大巨篇! 2008年度全米批評家協会賞受賞。
2003年、チリ出身の作家ロベルト・ボラーニョは、世界的に名声が高まるなか、50歳の若さで死去した。遺作となった本書は、作家の文学的遺書ともいえる傑出した作品である。
全五部からなる本書は、謎のドイツ人作家アルチンボルディの作品に魅せられた四人の研究者の物語から始まる。彼らはある目撃情報を頼りに作家の足跡を辿り、メキシコ北部の街サンタテレサに向かうが、そこでチリ人哲学教授アマルフィターノに出会う。数年後、ボクシングの試合を取材するためこの地を訪れたアフリカ系アメリカ人記者フェイトは、国境地帯で頻発する女性連続殺人事件のことを偶然耳にする。1993年から続くとされる事件の多くは迷宮入りとなっていた。そして最後に、作家の知られざる人生と、彼がメキシコに赴いた理由が、想像を絶するスケールで明かされる……。
あたかもアルチンボルドのだまし絵のように、大小さまざまな物語がちりばめられながら最後に驚くべき全体像が浮かび上がる仕掛け、第二次世界大戦を含むおよそ一世紀にわたる悪と暴力の歴史を織り込みながら、今なお続くメキシコ北部での女性連続殺人事件というアクチュアルな問題をあぶり出す本書は、まさにボラーニョ文学の集大成である。本書によって世界文学の地図は大きく塗りかえられるに違いない。』(「「白水社」サイトより▽)
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b206420.html
原書名:『2666』
著者:ロベルト・ボラーニョ (Roberto Bolaño)
訳者:野谷 文昭, 内田 兆史, 久野 量一
出版社 : 白水社
単行本 : 880ページ
受賞:全米批評家協会賞(2008年) -
通勤電車で読んでいたら腕や肩に甚大な支障をきたした。犯罪の部には、ただひたすら書くということの凄まじさがあり、ここがもっとも好きだった。
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倦怠の砂漠のなかの 恐怖のオアシス ―――シャルル・ボードレール
ボラーニョの遺作。
860Pというページ数に違わぬ巨作という印象。
長い長い旅を終えたような読後感…と、正直読み終えたという達成感もある(米か?ってくらいの重さの本を3ヶ月かけて読む経験あんまりない)。
全5部に分かれている本作
第1部 批評家たちの部
第2部 アマルフィターノの部
第3部 フェイトの部
第4部 犯罪の部
第5部 アルチンボルディの部
第1部は、大まかにいえば、4人の批評家たちが謎に包まれたアルチンボルディという作家を探すという部で、
私は登場人物の名前をメモしながら読み進めました。
著者の「野生の探偵たち」――2人の若い詩人が謎の女流詩人を探す旅にでる物語を読み終えたとき、そうすればよかったと思っていたので。
第5部でこの謎が明らかになるのをワクワクしながら膨大な人名をメモメモしていましたが(めちゃくちゃ人物でてくる)
第4部 犯罪の部 で心が折れました。
第1部から第3部にかけて、常に背後にある薄ら寒い不安感、それはサンタテレサという街で起きている大量女性連続殺人事件の存在。
犯罪の部では、不安感がおぞましさに変わり、ページをめくる手が鈍くなります。
延々と起こる事件、連なる被害者の名前をメモするのは諦め、ただ淡々と事件の発行現場、死体の被害状況、被害者がなにをされたか、どんな恐ろしい目にあったか、事件簿をひたすら読まされるようなページが続き
正直気が滅入った。しかも犯罪の部がほかのどの部よりも長く、読んでも読んでも事件は終わらず被害者が増えていくだけ。
連続殺人やサンタテレサの性モラルも恐ろしかったが、私は著者の狂気じみた執念も怖くなった。
この長い長い醜悪な部を、どんな気持ちで書きあげたんだろう?私は一体なにを読んでるのか?
最後の部、アルチンボルディの物語を読むのは、前の部の反動もありとても心踊る体験だった!
ハンスがアルチンボルディになったきっかけや、入れ子構造の物語には淡々と語られながらも心揺さぶられるものがあった。
ボラーニョの作品の好きなところは、残虐な世界が淡々と続く中、ほんの少しだけ語り方が優しい瞬間があるところ。
これまでの部で登場した人物の過去が明かされたところでは、しばらく鳥肌が消えなかった。
というのも3ヶ月前に読んだ部分なのですっかり忘れていて、なんだか聞いたことあるような…と思って自分の登場人物メモを開いたら、名前があったものだからびっくりした。
メモ書いててよかったね。
消失点としての2666
解説読んでいろいろ納得。
とりあえず第1部、2666やサンタテレサの言葉がでてきていた過去作「通話」「野生の探偵たち」を読み直すのがたのしみ。ずっと前から構想練ってたんだろうなぁと思うと、今作はこれまでの作家人生の集大成で、遺作としてのエピソードが強すぎるな。(好きだ…)
Amuleto(お守り)も、2666に関わる作品らしいので、いつか日本語訳でないかな…。
ページ数や価格にしり込みして迷ってる人がいたら、ボラーニョのほかの作品が気に入ってたら後悔はないと思うので、読むのをオススメします。