- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562056279
作品紹介・あらすじ
霧と炎が支配する世界に巨人と神々が生まれた。彼らは定められた滅びへと突き進んでゆく――断片的な詩や散文からなる複雑な北欧神話を現代ファンタジーの巨匠が再話。後の創作物に多大な影響を与えた神々の物語がよみがえる。
感想・レビュー・書評
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神々の終焉「ラグナロク」に向かって進んでいきます。力任せのトールと狡猾なロキ、旅に出たりしていいコンビかとも見えたのですが次第に溝が深まっていきます。
ロキのお茶目な悪戯も次第に陰湿なものになり、オーディンの次男ハルドルを弟のホズを巧妙に用いて殺害するとゆう事件を起こし、神々から無視されるようになったり。恒例になったエーギルの館での宴会で男女の神々を1人づつ侮辱して回ったりして毒舌ぶりを発揮し憂さ晴らしたり。これが「ロキの口論」と言う美しい散文形式で口喧嘩しあうものみたいですが、今風で言えばラップバトルみたいなものかも?
それで神々から恨みをかい洞窟に閉じ込められてしまうのですが、ここでも目を覆いたくなるような虐待にあい。ロキが苦痛にうごめくと地震が起こったとか。ナマズみたいですね。そして洞窟から解放された時には霧の巨人側につきロキの虐げられてた3人の子供たちも参戦して神々との最終戦争になります。
アースガルズが消えたあとイザヴェルという新しい世界が生まれる。
神々の世界の終焉は避けられなかったのかな?
北欧といえば、ムーミンとかサンタクロースを思い浮かべてたんですけど。
ヴァイキングの詩人たちが伝えた北欧神話は凄まじいものでした。
でも、これがなければ、「指輪物語」も「マイティ・ソー」も「進撃の巨人」も生まれなかった訳だから北欧神話凄しです。
「9」という数字が多く出てきたのが気になってますが一番大きな数字で次は0になって繰り上がるので「長い」とか「生まれ変わる」とか象徴的な意味合いがあるようです。オーディンが世界樹に吊るされてた期間も9日だったし、フレイのお相手も9日後に婚礼をとか、9つの国とか結構9が好きみたいです。
あとルーン文字とかも気になりました。
訳者のあとがきでゲイマンの「アメリカン・ゴッズ」を勧めていたので読んでみたいと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても読みやすい北欧神話の下巻です。
上巻後の世界からラグナロクまでが綴られています。
いたずら好きのロキが、なぜ邪悪に豹変してしまうのかが謎です。
しかしながら、彼の影響力あっての北欧神話と言えます。
ラグナロク後の天変地異は、現実に起きてもおかしくないことばかりで不安になります。
「大いなる冬」は氷河期を連想しますし、噴火、地震、津波などについては、日本では馴染みの現象です。
物語上の現在、ロキは地下に縛り付けられ、蛇の毒液が滴るごとに体を揺すり地震が起きていることになります。
現在の天災とその後に起こりうる大きな災害に対して人間はどうすることもできませんし、北欧の神々同様に黄昏時には死を受け入れる他ないのかもしれません。 -
ちらちらと黒い面をのぞかせながらも、自分で自分の尻拭いをして、うまくやってきたロキ。しかしその暗黒面がついに全開になって、とらわれの身となり(その経緯もまたすさまじい)、やがて来たるべきラグナロクの世界が予言される。
やはり根っこには北欧のきびしく荒々しい土地柄があるんだろうな。地味豊かで花が咲き乱れ、豊穣なワインが樽を満たし……というギリシア神話の世界とは風土の違いを感じる。そのすさまじさが、たいへんおもしろかった。そして、ゲイマンの語りのうまさ、野沢佳織&金原瑞人の訳文の明瞭さ、どちらもすばらしかったです。 -
上巻からの流れで、登場する神々の性格が分かった来て楽しんで読めた。
小学中学年以降ならば、ことばも難しくなく読めるだろう。
この神話の面白かった所は、神々にも欲があり、人間のように欲望や物欲のために行動する、自己中心的な側面がある(というか多すぎ?)ところ。
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巻末に数あるエッダのうちどこから、飜案したのか、きちんと書いてあり、元に当たりたい人に親切。
著者がどのような思いで飜案したのかも触れてあり、情熱が伝わってくる。 -
とても面白かった。神々が人間と同じように殺し合いをしており他の神話には無い闇の部分を感じた。
専門用語は多いが、後ろに用語集がある為、わかりやすい。 -
下巻
トールの巨人国への旅/不死のリンゴ/ゲルズとフレイの話/トール、ヒュミルと釣りにいく/バルドルの死/ロキの末路/ラグナロク――神々の終焉/用語集/著者による覚書/訳者あとがき