官僚の責任 (PHP新書 745)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569798059

感想・レビュー・書評

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  • 官僚、霞が関の体質に対する辛辣な批判。

    公務員という職種は、利益追求を目的とする民間企業とはそもそもの性質が異なることから、民間の「当たり前」をそのまま適用することは不適にせよ、たしかに出世に関して実力主義を登用する必要はあると感じる。
    国の財政立て直しのためには「ちょっとかわいそうな人は救わない」という発想も、奇抜な響きに聞こえるが的を得ていると思う。

    時代・社会の変化に鈍感な国、目先の利益や私利私欲に目が眩むような人間が中枢に座する国は衰退する。

    本書に書かれているような腐敗堕落が各省庁で本当に起きているとしたらかなり絶望してしまうが、いい意味で危機感を煽り、この国の行く末を真剣に考えるきっかけを与えてくれる本だった。

  • 四章まではこれまで読んだことのある官僚批判であったが、五章の『成長に命を賭けよ』は読んでて胸が熱くなった。
    日本の国家が守るべき必要のないモノまで守って、結果全体のレベルが下がってしまうんだ。老人が身分だ、という考え方は面白いね。確かに、コレまで何をやってきたかに関わらず、年を取ったら老人として優遇されるのは、公平性に欠ける。年金に関する考え方も改めないといけないな。
    選択と集中。それを国が率先してやる必要がある、できないなら口を出さない。確かに中小企業から日本を引っ張るような会社になったは近年見ない。日本の中小企業戦略は間違っていたのだ。共倒れを防ぐためにも、選択と集中。日本は同じことやってる会社が多すぎる。専業化しないと、世界で戦えない。
    『生き残るのは国籍を棄てた企業』という言葉も印象深い。これから人口が減るので国内のパイをアテにはできない。すなわち、日本もシンガポールやオランダ、ひいては韓国のように世界を目指さないと立ちいかなくなるのは自明であろう。昔のようにいかないことは悲しいことだけど、昔を知っているのは、僕たちまで。娘達の世代は今から始まる。何が基準になるのかを見直さなくてはいけない。今の年を取った政治家、官僚、老人達には自身の過去を捨て去り新しい基準に向かって社会を変革して行くことができるのだろうか。否。国民の強い意思である。とは言え、どうやって声をあげていいモノやら… 選挙なんて政策ごとに支持政党が変わっちゃうしな。国民の意思を選挙ではない方法でどう伝えたらいいんでしょうね?いろいろ考えさせられる本だった。

  • 大変なことになる・・・

  • 話題の新書。
    前半は日本の官僚制度について書かれていて、目を通すものの、ちょっと自分とは違う世界の話のようでさほど興味を持てず。。。

    ところが、最後の5章『バラマキはやめ、増税ではなく成長に命を賭けよ』が非常に面白かったです!!

    『ちょっとかわいそうな人は救わない』を基本として
    ・老人には働けるだけ働いてもらう。
    ・払った以上に受けとっている年金は死後返却してもらう。
    ・潰れそうな企業は潰してしまって、競合企業と合併させることで生産効率を上げる。
    等の政策を提言しています。

    これだけ読んでしまうと非情な案のように思えますが、その裏の実情についても記してあります。
    例えば、潰れそうになったら補助金が支給され、いつまでもゾンビのように生き永らえる中小企業や農家の実態です。
    また初めて知ったのですが、このような企業の新陳代謝が日本は諸外国に比べ非常に低く、生産性が上がらない原因となっているそうです。
    中小企業の倒産件数が増えることは悪のようにニュースでは流れていますが、それは一面的な話だということを知りました。

    また自動車部品メーカーの話では、利幅の小さな自動車部品から、大きく稼げる医療用部品に事業転換しようとしてる会社の話もあり、このような転換がなされないとなかなか日本の企業も生き残っていけないと感じました。

    飛び飛びになりましたが、最後の章だけでも読む価値がありますので、是非読んでみてください。

  • 官僚はそういった立場を手に入れるために努力してそのポジションについた、と思っていたのだが、実際のところは違うらしい。小さい頃から一番で、ずっと一番を目指していたら財務官僚になっていた、みたいな人が多いのではないかと著者は言う。自分もどうして官僚になったかよくわからないとさえ言う。
    そうだとすると、僕が考えていたよりも、この国はずっと深刻だ。
    最近、この著者は政治に翻弄されて、二転三転した上で、結局辞職してしまった。辞めてから、自分のことを棚にあげて好きなことをいう元官僚が多い中、内部にいながらこれだけ言えた人だけに、残念だ。
    本書中で、いくつかの解決策も示されてはいるものの、やはり官僚組織に期待してもダメなのか、という印象が強い。期待の仕方を変えなければいけない。

  • 恐るべきセクショナリズム。
    天下り先を作ることが評価につながるシステムでは、話にならないね。
    もともと著者の別の本を読む前哨戦で読んだ本なので、
    特に深い感想はなし。

  • 3刷17万部(新文化20110728)
    35万部(かけはし2011、9月)

  • 当時の官僚の考え方などが学べた。

  • 優秀な人たちの集まりである官僚がなぜ堕落してしまうのか?その解に迫る一冊です。ただでさえ同調圧力が強い日本社会において公のために奉仕すべき国家公務員が組織の利益(省益)に邁進していることに当時現役官僚だった著者は本書で警笛を鳴らしています。本書では官僚の世界の仕組みに問題点があると指摘されていますが、それは日本における全ての組織の仕組みの問題点に通じると思いました。

  • 2020.12.04 図書館

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著者プロフィール

1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。産業再生機構執行役員、経済産業政策課長、中小企業庁経営支援部長などを歴任。2008年、国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、急進的な改革を次々と提議。09年末に経済産業省大臣官房付とされるも、11年4月には日本ではじめて東京電力の破綻処理策を提起した。その後、退職勧奨を受け同年9月に辞職。著書・メルマガを通じ活発に提言を続けている。『官邸の暴走』(KADOKAWA)、『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(集英社)など著書の累計発行部数は100万部を超える。自身が企画・プロデュースし、本書が原案となったドキュメンタリー映画『妖怪の孫』が2023年3月に公開され、大きな話題を呼んだ。





「2023年 『分断と凋落の日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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