- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575243970
感想・レビュー・書評
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今も、日本のどこかに、この子たちみたいな高校生がいるんだろうな。
アホなことばっか言って、でも将来に夢も希望もとくになくて、とりあえず学校行って。
卒業したらどーするんだろうなーと考えなくもないけど、答えが出るわけでもない。
そんなん考えたこともないって子もいたり。でもそういう子が案外その先を想像していたりもする。
さびれた温泉街。客足もない商店街。
通りを歩けばどこん家の子か、みんな知ってる。
惰性でやってるとしか思えないような店。
この先、どうする?
ここから逃れたくもなるし、背負うしかないっしょ、と覚悟を決めたり。
そういう生活のなかで、二つの謎が描かれる。
主人公 怜には二人の母がいる。
「おふくろ」と「お母さん」。
普段はおふくろの土産物屋で暮らし、1ヶ月のうち第3週だけお母さんのいる豪邸で過ごす。
でも、その理由を本人は知らない。聞けない。
なぜ聞けないのか? ジレンマを抱えながらすでに高校生。
そして町の博物館から盗まれた縄文式土器。
歴史的価値はよく分からないが盗難にあっても管理がゆるくて、この町のありさまが出ているようだ。
この事件に、、アホ男子たちがアホなことを言い出すよね?
人生って人って、夢や希望に輝いている人はごく一部で、よくある小説や映画みたいに事件やドラマティックな展開はそうそう起こらない。
そういう「普通さ」を、高校生たちの視点で書かれている。
……もちろん全くないと小説として成り立たないから縄文土器が出てくるわけだけど。
モヤッとしている怜に、脳みそが筋肉でできている竜人、明るい能天気な心平、繊細だけど自分の好きな道があるマルちゃん、このメンバーではマトモで将来後を継ぐ心積りの藤島。
てんでバラバラな5人だけど友だちっていいなー。
青春っていいなー。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出ました、しをんさんマジック。
関係性の魔術師。
この共同体に入りたい大賞。 -
男子高校生のゆるくておバカな青春が愛おしいです。こんな風な仲間がうちの息子たちにもできるといいななんて思いながら読みました。餅湯温泉は熱海を想像しながら読んでましたけど、町の描写が細かくてこの小説の餅湯町で熱海が塗り替えられそう笑
最近の男子高校生の実態はよくわからないけど、違和感なかったなぁ。こんな感じの子たちいそうだなって。
6章でお母さんの伊都子さんから真実を聞いた怜が、ちゃんと涙流してるのがよかったなぁ。怜って子が本当いい子で大好き。
青春と人情が入り混じった、ほのぼのした温泉街の前向きなお話でした。 -
劇的な展開があるわけではないけれど、1人1人の人物やそれぞれの心の動きを丁寧に描いてくれる作品。
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ちょっと期待しすぎたかもしれない。
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しをんさんの好きな設定来た来たとニヤニヤしながら読んだ。登場人物の中ではマルちゃんが一番好き。急に一緒に美大を受けることになった友人に嫉妬するところとかそれを認めたりするシーンがいい。
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ちょっと複雑な家庭環境の男子高校生が主人公。商店街育ちで、商店街みんなが家族的なつながりも描かれていて微笑ましい。そういうウザさもう分かるけど、良いなぁとも思う。
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かつては、人生の目標を持って未来を先読みしながら障壁の少ない道を選んでいくことが一番だと考えていた。
この作品には、そんな考えでいると一番の道からは程遠くなってしまう人生ばかりが描かれている。
しかし、そんな人生を目の当たりにしても、それもいいのかも、そんな生き方もいいな、と思える自分に気がついた。自らの成長にも気づけた、そんな作品だった。 -
餅湯温泉。
架空の温泉街なのだけれど、
描かれた人々の生活が妙にリアルで
相変わらずのしをん節が堪らない一冊でした。
母親が二人、父なしの主人公・玲。
母親の一人は餅湯温泉の土産物屋を営んでおり、
もう一人は東京で会社を経営しつつ、
月に一度玲に愛に餅湯温泉の別荘にやってくる女社長。
主人公が特殊な境遇ながら、もっちもっち、もちゆ~
という餅湯温泉テーマソングと共に平和な日常が
繰り広げられる。
大きな事件も二、三起きるのだけれど
何かそれも含めて平和な物語。
でもしをん節に惹き込まれていく。
三浦しをんファンは読んでおいた方がいい一冊です。 -
どこが舞台かはっきりとは書かれていないのだけれど、静岡県の神奈川寄りかなぁと思い、最近熱海や三島に行ったばかりだったので、熱海や三島の辺りを思い浮かべながら読んだ。
主人公の男の子の友達や周りの人達との関わり方、この町の人と人とのつながり、登場人物達の考え方在り方がとても良かった。