贖罪 (双葉文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575515039

感想・レビュー・書評

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  • 4人の少女の人生を狂わされた1つの事件、被害者の親からの言われた一言。
    本人は軽く言ったつもりのことでも言われた側はずっと忘れられられずトラウマになりうる。
    被害妄想と思い込みの恐ろしさを知れる1冊です。
    自分が傷付いていて誰かに当たってしまうときは言葉を選ぼうと思う。

  • やるせない。誰が悪いとか、誰のせいだとか、簡単には言い切れない。良い方向に向かう可能性もあったはずだったすべての出来事が、裏目裏目に出て結局最悪の結末を向かえたような話。小説としては終わりだけど、人生はこの後もずっと続いていく。それを考えると恐ろしいな、どうか登場人物たちには救いがあってほしい。

  • ストーリー 3.0
    キャラクター 2.8
    読みやすさ 2.8
    衝撃度 2.7
    読了感 2.6

    湊かなえさんの作品は好きだけど、これは自分には合わなかったかな。。。

  • 日本一空気のきれいな田舎町で同級生のエミリちゃんが殺されてしまった。お盆の8/14に、紗英、真紀、由佳、晶子、エミリと遊んでいたあの日。
    わたしはあなたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。できないなら、納得できる償いをしなさい。という話でした。

    10歳の頃に起きた一つの事件から、みんなそれぞれが背負ってきた人生があり、誰も
    が苦しめられてきた。

    本当に、事件起こして犯人から関わる人物から4人の女性たちの共感できる部分と負の連鎖を生んだ部分が絡みあっていて、小説の中でないと描かれないし、戻ってきたり、現在になったり、どっちなのかと理解しながら読み進めた。想像したら恐ろしい風景だけど、先が気になる作品で大変面白かった!!

  • 田舎の殺人事件に関わった4人の当事者らが当時と今に至るまでの心境を話し、本当の償いとは何かをテーマにした本作。殺された被害者の母親が引き起こす悲劇の連鎖。それぞれの当事者らが事件をきっかけにどんな人生を送ってきたか。事件の重さとそれを抱えることの辛さを書き連ねている。

    湊かなえの作品はどれもハズレはありません。人間の悪意や心理を克明に描き、話の運び方が本当にうまい。当事者のそれぞれが被害者の母親に言われたことに怯えるシーン、自分の存在意義を疑うシーン、それが悲劇を起こすシーン。どれもがここぞと言う場面で引き出してくれる。僕は湊かなえに出会えてよかった。

    被害者と当事者のどちらに同情できるかは難しい問題だった。殺された側からすれば、「どうしてうちの子が」「なぜ助けなかったのか」と行き場のない本音を呟いても現実は残酷のまま。一方で当事者も、「何もできなかった」「まさかこんなことになるなんて」と言うしかなく、取り返しがつかない。被害者の母親が放った一言で彼らの悲劇は始まるのだが、事件に関わった全員が可哀想でならない。立場によって気持ちも考えも変わるし、それが望まない結果を生む事もあるし、理想は両方が理解し合うこと。でも事件という辛い出来事の場合、ヒステリックになってもおかしくない。

    僕は事件に関わったことがないからどれほどの辛さかはわからない。ただ、一方を悪と決めつけて他人の気持ちを踏みにじって自分を強く主張するのはしたくない。事件の当事者だからこそ、慎重な歩み寄りが必要なんだなと思う。

  • 初の湊かなえ作品。重い内容だったけど、引き込まれ一気に読んでしまった。そして結末を知った後、色々と確認したくなり直後に二度読みしてしまったわ。
    15年前に田舎町で10歳の女の子が殺害されてしまう。その時に居合わせた少女4人が被害者の母によって背負わされた十字架。それぞれがどのような15年を過ごしどんな悲劇が降りかかるのか、そしてその元凶となったのは被害者母の過去。
    それぞれが手紙や独白の形で綴られ、徐々に真相が明らかになっていく。この独特の手法、上手いなぁと思った。4人は人生を狂わされたよね。娘をあんな形で殺害されてしまったのはつらいけど、この母のせいだよね。そして殺害されたエミリちゃんが一番の被害者。自分の娘に近い年頃の事件にぞっとしたよ。それが自分のせいだったとしたら・・・。しかも過去の過ち自覚がなかったところが始末悪い。一番の償いをしなければならないのはこの母。

  •  15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
     娘を喪った母親は彼女たちに言った。
    「あなたたちを絶対に許さない。必ず犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できる償いをしなさい」
     十字架を背負わされたまま成長した四人に降りかかる、悲劇の連鎖


    鬱…、鬱だ。『告白』のように、事件にかかわった四人の手記や記録といった形で、事件が彼女たちに与えた恐ろしい影響が描かれていく。それぞれが意識的・無意識は別にして、この事件に対する贖罪を強いられる不条理さ。人の身勝手さ。
    女の子特有の人間関係のごたごたや親への気持ちなど、共感する部分も多い。読みやすく面白い。…ただし、スッキリしないエンディングに、読んだ後は暗い気持ちになった。

  • 「償う」とはどのようなことなのだろう。この物語は「償う」ことの重さ、尊さ、罪深さを教えてくれる一冊だ。本当に償うべき人はだれなのか、真実を読み進めながら、相手に放つ一言がどれだけ相手にとって重いものであるか、考えさせられていく。

  • かなりエグかったな

    女性は怖いと思ってしまった^^;

    女性作家の人間心理をエグる感じは
    本当に凄いというか、戦慄を覚える。
    でも、だから面白いんだよね~(笑)

    本当に負の連鎖だよな~
    人間って誰でもドロドロしてて
    それを見せつけられてる感じで
    肯定しながら読んでいる…。

    怖いわ…^^;

    でも、やめられん(笑)

  • やめられない止まらない湊かなえ。
    『告白』同様独白かと思ったら高まる期待で飛行機の中でもホテルでも車の中でも、旅が邪魔になるくらい、前に戻り、あ、この伏線とか思いながら一気読み。
    なんだかドラマも面白そうなんだけど見られないかなぁ。

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著者プロフィール

1973年広島県生まれ。2007年『聖職者』で「小説推理新人賞」を受賞。翌年、同作を収録した『告白』でデビューする。2012年『望郷、海の星』(『望郷』に収録)で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞する。主な著書は、『ユートピア』『贖罪』『Nのために』『母性』『落日』『カケラ』等。23年、デビュー15周年書き下ろし作『人間標本』を発表する。

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